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Re: 鼻くそ論、かならずしも鼻くそならず。 医学の細菌学が本当に絶対なのか? http://www.asyura2.com/09/buta02/msg/620.html
(回答先: Re: 簡単版 【ウイルス、細菌の自然発生説】のヒント集(口蹄疫騒動の原点に迫る) 投稿者 metola 日時 2010 年 5 月 21 日 23:18:35)
素人にはよく分からないからと言われますが、どうもそのパスツールとかコッホは細菌学では神格化されてしまい、後に続く医学者たちは批判精神を持たなかったのではないでしょうか? こんな記事を読んだことがありますけど。 ーーーーーーーーーー以下引用ーーーーーーー 『培養できない微生物たち −自然環境中での微生物の姿−』 もしも目の前に感染症を疑わせる患者がいたら,どのようにするだろうか。 症状である程度あたりをつけ,血液検査などを行い,同時に細菌検査を行うはずだ。 特に,「細菌は培養して同定する」というところに疑問を持つ医者はほとんどいないと思う。細菌は培養できるもの,というのが常識だからだ。 ところが,この20年くらいで,微生物の専門家の間では,この「常識」が完全に否定されている。 自然界には「生きているが培養できない細菌 Viable But NonCulturable (VBNC)」がたくさんいて・・・というより,圧倒的多数の細菌はVBNCの状態で存在していることがわかったからだ。
要するにこれは,ミツバチの研究家が,たまたま巣からはぐれたミツバチを見つけて研究し,「ミツバチは巣を作らず,単独で生活するハチである」と結論づけるようなものだ。 パスツールは偉大である。最も尊敬すべき科学者の一人である。しかし,彼が余りに偉大過ぎたため,その方法論を無批判・盲目的に受け入れてしまったことが,近代から20世紀後半までの細菌学の悲劇だったのだ。
実は「培養」という操作自体が,細菌をセレクトしていたのである。つまり,培養そのものが実験系のバイアスだったのである。 これは古細菌と呼ばれる細菌(私の記憶が間違っていなければ化学独立栄養細菌,メタン生成菌,硫酸還元菌などがそうだったと思う)で以前から指摘されていた。 なぜ大部分の細菌は生きているのに培養できないのか。 これには様々な要因があるらしいが,そのほとんどは環境からのストレスだ。 温度の変化(低下や上昇),食料の減少,PHの変化など,あらゆる環境の変化はもろに細菌に直接的に影響する。このようなストレスを受けると細菌は矮小化する(容積あたりの表面積が大きくなるため,表面からの物質浸透に有利となるためと説明されている)。同時に代謝活性を低下させる。ある細菌は条件がよくなればまた代謝を再開させるし,別のある細菌は不可逆的な変性のため半死半生となっている。 ではなぜ,自然界の細菌のほとんどがVBNCなのだろうか。 それは,土壌中の細菌も海水中の細菌も,その大部分が飢餓状態にあるためとされている。世の中,甘くないのである。この過酷な自然で生きていくための戦略がVBNC化なのである。 同時にこのことは,なぜ自然界のバクテリアが浮遊状態でなく,バイオフィルムなどの固着状態で生きている理由が明らかになる。栄養が使い果たされた環境におかれたバクテリアは,何かの「表面」に固着しようとする。物の表面は帯電しているために有機物を吸着しているからだ。その有機物をねらうなら表面にとにかくくっつくことだ。だから,表面があればそれに固着するのがバクテリア本来の生き方であり,基本戦略である。 そのわずかな吸着有機物を利用し,次第に代謝が活発になり,次第にそこに複数の細菌が集まり,やがてそれはバイオフィルムとなる。 つまり自然界のバクテリアたちは,バイオフィルムで生きて行くしか道がないのである。 要するに,細菌たちはこの変化しやすい地球環境に生まれたときから,バイオフィルムを作って生き延びてきたわけだ。
そしてこの本でも,バイオフィルムの驚くべき姿を教えてくれる。バイオフィルムは複数の細菌が生存している場だが,それは「単細胞生物がたまたま集まったもの」ではなく,高度の組織化された多細胞生物に類似した機能を実現しているのである。 バイオフィルムのマトリックス間には水が循環しているが,これは最も原初的な「循環システム(腔腸動物などの開放血管系の始まりですね)」であり,互いに代謝物をやりとりをしている様は機能分化である。これらの機能はホルモンやフェロモンに類似する化学物質のシグナルで精妙に制御されているのである。まさに多細胞生物そのものである。 しかも,バイオフィルムの分布拡大は,フィルムから離脱する浮遊細胞によって行われているが,これはようするに,植物が成熟した胞子や種子をまき散らすのと本質的に同じだ。だからこそ,浮遊細胞は培養できたのだ。
例えば,コレラ菌は流行期には水の中から検出できるが,非流行期には全く検出されない。後者はVBNC状態である。ところが,この状態でもコレラ菌は毒性を失っていないのだが,なんと,人体の腸管を経由することで,培養可能な状態となり,感染力を有して復活するのだ。
要するに,コレラ菌と人間は同じ生態系で生きていて,万年飢餓状態に置かれているコレラ菌が増殖するためには,ある種の動物の腸管にもぐりこむことが必要であり,たまたまその動物として人間を利用しているだけだからだ。 また,大腸菌を海水中で培養すると急速に培養できなくなる。 大腸菌交じりの糞便を海水に投棄すると大腸菌が死滅しているわけではないし,大腸菌が検出されないからといってきれいな海水だというわけでもないのだ。 従来,抗生剤の効果は浮遊菌を対象にさまざまな濃度の抗生剤を作用させ,その半分が死に絶える濃度で求められてきた。 しかし,上述のように浮遊状態は細菌の特殊な状況であり,自然状態ではVBNCが基本である。 要するに,浮遊細菌という,「最も活性が高く,最も抗生剤が効きやすい」状態で実験されてきた物である。
これは消毒薬も同じだ。 消毒薬の効果を調べるためには,試験管や寒天培地に細菌をばらまき,それに消毒薬を作用させ,それを新たに培養してコロニーを作った数で調べている。しかし,本書でも繰り返し述べられているように,VBNCの細菌は全て死滅しているわけでもないし,復活できる菌が含まれている。 まして,殺菌効果を生理食塩水に浮遊させた細菌で調べた場合,消毒薬は失活しにくいことは明白だ(生理食塩水では消毒薬は失活しない)。 従って,このような条件が異なる実験データを比較して,「人体には安全な消毒薬の濃度」なんて議論をするのは愚の骨頂である。
間違った知識(=従来の常識)を前提に感染管理を論じることは,根本から間違っているからである。
ーーーーーーーーーーーー引用終わりーーーーーーーー
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