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豚インフルエンザをめぐる対応のおかしさ。
1. 感染源や経路、または、感染しやすさがはっきりしない。
ニューヨークの私立高校の生徒がメキシコ旅行をして豚インフルエンザにかかったと報道されているが、何人が旅行して、そのうち何人がかかったのかとか、旅行しなかった生徒で発症例があるのかについての報道が多分無い。このことは次に引用する記事からも分かる。つまり、メキシコ旅行に行った生徒数が明示されていないのだ。また、教員に伝染しているとは明示しているので、人間の間で実際に伝染が起こっていることになるが、家族や友人などへの広がりについては触れられていない。The Associated Press の記事で、今が4月29日の午前3時だから、日本時間の28日(月)午前6時にリリースされたものだ。(*は要約)
(http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5jDrS0zyM9U2lh372d7r1FMjLVHrAD97R1HIG3 より引用)
NYC school says teacher is among swine flu cases(*豚インフルエンザ感染者に教師含まれる)21 hours ago(*21時間前)
NEW YORK (AP) — The head of a New York City high school says one of the 28 people who have confirmed cases of swine flu at the school is a teacher.(*ニューヨークAP伝、ニューヨーク市の高校長は、豚インフルエンザと確認された28名中教員が一名いると発言した。)
Brother Leonard Conway of St. Francis Preparatory in Queens said Monday that 10 teachers are experiencing flulike symptoms.(*校長は、10名の教員が風邪のような症状を呈していると語った。)
He says that 160 students have called out sick since last week and that parents have called about other new cases.(*先週、160名の生徒が体調が悪いとし、保護者からは依然として新しい報告が続いている。。)
City officials said earlier that tests had confirmed 28 definite cases and 17 probable cases of swine flu at the school.(*市当局は、学校関係者の内、28名の豚インフルエンザ感染を確認し、17名の感染を疑っている。)
An outbreak of swine flu has killed dozens in Mexico, where some St. Francis students recently went on spring break.(*メキシコでは数十名の豚インフルエンザによる犠牲者が出ているが、最近、セントフランシズの生徒の何名かが春休みにそこを訪れた。)
St. Francis has closed at least for the day. Conway says officials will meet Tuesday to decide when to reopen.(*セントフランシズ高校は本日閉鎖されていて、火曜日にいつ再開するかを決定する予定。)
以上、引用終わり。
2. 弱毒性というのはどういうことか?
厚生労働省の「豚インフルエンザに対する対応について」と言うページに、「豚インフルエンザウイルス(H1N1)に関する米国疾病管理センター Q&A(仮訳)」と言う文書がある。(*http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090426-02c.pdf)
そして、それによると、豚インフルエンザ感染による死亡例が米国内であったことが次のように記されている。
1988年に32歳の健康な妊婦が肺炎にかかり入院後8日で死亡、豚インフルエンザの感染がその後、確認されたとしている。また、1976年にはニュージャージー州のフォートディクスで5名の兵士に肺炎が確認され、内一名が死亡したがやはり豚インフルエンザのウィルスが確認されている。
また、この2例だけしか死亡例が無いとも書いてはいない。つまり、もっと死亡例があった可能性もあるのだ。更に、これらの時のウィルスが弱毒性だったとも書いてはいない。多分、これらのウィルス株は保存されていて、今でも生きたウィルスが手に入るはずだから、弱毒性かどうかの判定は既にされているはずだが、CDCの公開文書には今のところ記されていない。
つまり、現在の豚インフルエンザウィルスが弱毒性だからと言って、いつまでも症状が軽いとは言えないはずなのだ。現実にメキシコでは100名を大きく越える死者が出ていて、本当に症状が軽いものなら幾ら医療水準が低くても死者がこんなに出るのはおかしいはずだ。
更に、日本時間の午前3時ごろのニュースでは、カルフォルニアで豚インフルエンザが疑われる死亡例が二名あるとされている。
なお、ウィキペディアの「スペイン風邪」の項目には、アメリカで発生したインフルエンザが第一次世界大戦へのアメリカ兵の出征のためヨーロッパへ広まり、数ヶ月から一年で悪性化して世界中に広まって死者を大量に出したとある。だから、今回の豚インフルエンザもこれから強毒性化する可能性が無いとはいえないのではなかろうか。
3. なぜ、原因ウィルスの発生源が究明がされていないのだろうか。
メキシコ政府当局によると今回の豚インフルエンザの感染源の豚はまだ確認されていないと言うことだ。アメリカの新聞で報道されているスミスフィールドと言う養豚業者のメキシコ子会社の養豚場での検査でも何らウィルスは確認されていない様子だ。しかし、2で引用した「豚インフルエンザウイルス(H1N1)に関する米国疾病管理センター Q&A(仮訳)」によると、豚インフルエンザ自体は、全米の養豚場の豚に広まっていて、5割を超えて感染が確認されている地区もあると言う。だから、より衛生状況が悪いだろうと思えるメキシコで豚インフルエンザウィルス自体が確認されていないのは不思議だ。今回のウイルスと同定できるものがないという意味なのかもしれないが、豚インフルエンザにかかっている豚自体がいないとされているので、やはり、この政府発表そのものがおかしいのではと思う。
4. なぜ、メキシコ支援の動きがアメリカや他国から出てこないのか?
普通、隣国で、しかも陸続きの国で、道路や空路での行き来が盛んなところで伝染病が確認されたら、自国への波及を恐れると共に、その隣国内でその伝染病が早く収束することを願うだろう。つまり、マスクや治療薬の支援をなるべく早く行うはずだ。アメリカ一国でやらなくても、メキシコと貿易などでつながりのある国へ支援をするように呼びかけることはするはずだ。ところが、今回は、全くそのような動きが見られない。そればかりか、ニューヨークなどで薬局にマスクを買いに走る市民に対して、過剰反応であり、マスクはまだ必要ないとテレビで流していると言う。しかし、インフルエンザは一人患者がいれば、一週間で数万人以上に感染が広がるとされている。
また、メキシコとアメリカは2000キロ以上の国境線で接していて、当然、歩いたり車での行き来が日常的にある。普通だったら、商業車の規制は出来ないにしても、市民が買い物などで行き来することは規制するはずだと思うが、それさえもしていない様子だ。ただ、まあ、不法移民が1日に数千人国境を行き来するとも言われていて、そのため、多少規制するぐらいでは全く効果が無いと考えているのかも知れない。しかし、それにしても、マスクや治療薬の支援をメキシコへしようとしないのはどうにも納得が行かない。日本が率先してそれをやったらどうかと思う。少なくとも、手洗い用の洗剤やマスクぐらいは、日本製のものを送ることが出来るのではないだろうか。
5. ウィルス株を先進各国へ送ってワクチンの準備をするべきではないのか。
なぜ、WHOとか、アメリカのCDCが、原因ウィルスを世界各国へ配って、ワクチンを製造するように促さないのか?または、製造するしないは各国政府の判断に任せるとして、少なくとも、情報公開として、先進各国へは、原因ウィルスを渡し、各国で分析、研究するようにすると言うことは、多分、当然のことのはずだ。4月28日時点で日本はまだウィルス株を持っていないと報道されている。メキシコにある日本大使館の職員がメキシコ政府に言ってウィルス株をもらって来れるのではとも思うのだが、なぜそれが出来ないのだろうか。
6. なぜメキシコ国内でだけ死者が出ているのか。
まだ、感染初期なので、今後、メキシコ以外の国でも大量に死者が出る可能性もあるが、少なくとも今のところメキシコ国内でだけ大量死が確認されている。もし、メキシコでの死者が豚インフルエンザが原因で、治療薬が無かったりや栄養状況が悪いと言う理由であったら、これは貧しい国を、または、低所得者層を狙い撃ちしたウィルステロと言うことにならないだろうか。ちなみに、メキシコはアメリカを遥かに凌ぐ格差社会だ。1980年代でさえ、国民の多くは裸足で生活していた。今でも識字率は90%程度で、中産階級が存在せず、大金持ちと貧乏人の二極化がますます進んでいる。
所得の偏りを示すジニ係数と言うものがあり、ウィキペディアの「国の所得格差順リスト」によると、メキシコは主要国で最も格差が激しく、2005年の調査でジニ係数が50だ。日本は、2002年で38、韓国は2006年で35、ドイツが2005年で28、アメリカは2007年で45だ。これの原因として言われているのが、ナポレオン時代にフランスに征服され、そのときの独立運動でアメリカの手助けを受けたため、未だに政治の中枢にアメリカの影響力が強く残っていることだ。
また、メキシコの真南に位置するグアテマラは2007年でジニ係数55となっている。また、グアテマラについては、ウィキペディアに次のような記述がある。
「グアテマラ内戦
CIAはグアテマラ社会の広い支援を得て、1954年、PBSUCCESS作戦と呼ばれる政府転覆を実行し独裁的な親米政権が生まれたが、これはグアテマラ国家に社会不安の時代をもたらした。1960年からグアテマラ内戦が始まり、36年間にわたるゲリラとグアテマラ政府の戦争は、1996年に平和条約の調印によって終わった。グアテマラの政治的暴力は1983年に終わり、それに続いて1985年以降は民主的な選挙が現在に至るまで行われ続けている。」
「貧困問題が恒常化しており、国民の生活水準は全体に低い。平均寿命は64歳。識字率は67.3%は中央アメリカでもっとも低い部類に属す。貧富の差は激しく、人口の10%が国民全体の所得の47%を占める一方、国民の57%が貧困層に属する。
一部の富裕者層は巨額な所得を抱えているが、所得税がないため所得の再分配は行われていない。アルバロ・コロン政権は社会連帯審議会を設置し、調整役にサンドラ夫人(サンドラ夫人は公務員でもなければ、政治家でもない単なる大統領夫人)を据えて、これまで見放されていたグアテマラ貧困層に現金をばらまいているが、戸籍のない国民に資金をばらまいているとの批判がある。右資金はサンドラ大統領夫人の次期大統領選挙資金あるいはコロン大統領の大統領選挙資金の返済に回されているとの噂もある。他方、サンドラ夫人が省庁予算を取り上げているため、本来の省庁予算が適切に支出されないという事態が発生している。
都市部と農村部の貧困差も大きく、地方農村では、貧困層が76%に達する。国民の大多数を占めるマヤ族など先住民は、概して零細な小規模農業に従事し、また多くはスペイン語の読み書き能力をもたないため、他の職業に就く機会も少ない。」
この記述を読むと、アメリカによるグアテマラ支配の苛烈さがよく分かるように思う。