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所謂「旧字・旧仮名遣い」を尊重するとはどういうことか、さらに「人格的著作権」について >Re: 何かが引っかかっています
http://www.asyura2.com/09/bd56/msg/345.html
投稿者 passenger 日時 2009 年 5 月 30 日 03:59:19: eZ/Nw96TErl1Y
 

(回答先: 何かが引っかかっています 投稿者 日 日時 2009 年 5 月 30 日 01:39:35)


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何かが引っかかっています
http://www.asyura2.com/09/bd56/msg/344.html
投稿者 日 日時 2009 年 5 月 30 日 01:39:35: IR1H95zbmUf8k
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日さん、あなたのおっしゃることはよくわかります。

著作権については、財産権の側面と、人格権の側面があります。
わたしもJASRACなどの「財産権としての著作権」に寄生するマフィアの
存在を許し難く感じているので、そうした金色夜叉に対しては、
「言論は私有物でなく公共財なのだ」という思想に立脚して、戦わねば
ならないと考えています。 朝日新聞に典型的に見られるような、
非営利的個人による引用も許さぬ金色夜叉についても、同様のレジスタンスが
必要であると考えています。  

しかし、著作権には人格権の側面もあります。 人が書いたものは、
その表現様式を尊重すべきです。 私は、現在の日本政府が強制
している「旧字・旧仮名」弾圧政策には心の底から反対です。
旧字も旧仮名も、日本の歴史が育んできた歴史的合理性の結晶であり
一大成果なのです。 だから、これを浅薄な政治経済的気まぐれで
弾圧し、文化を断絶してしまうことは許せません。

(私もできることなら、なるべく旧字・旧仮名遣いで書きたいとは思うのですが、
 この願望を簡単に実現できる表記用のソフトウェアを持っていませんし、
 阿修羅掲示板のような場所で、「新表記」の記事や文章を引用紹介する
 場面において旧字・旧仮名表記を行なうのは適切ではないと考えているので、
 こうして「新表記」を使っています。 しかし「新表記」しか出来ないというのは、
 「歌を忘れたカナリア日本人」というか……「故郷喪失者」の悲哀を
 噛みしめる行為に他なりません。)

それゆえ、現代の出版社が、「新表記」版などと銘打って、旧字・旧仮名
遣いで記された文学作品を、勝手に改竄するのは、許容すべかざる
文化的犯罪行為だと思っています。 それらは作品に対する強姦行為
に他なりません。
 
旧漢字・旧仮名遣いで綴った作家は、そうした文字なり表記体系の
なかで、日本語の美を追求し、その結果として、そうした作品を
書き上げたわけですから、それを現代人の都合で改竄するのは
破廉恥な文化犯罪なのです。

戦後日本政府の愚作によって、現在「旧漢字・旧仮名遣い」と呼ばれて
いる正統的な歴史的表記体系は木っ端微塵に破壊され、いまやラテン語
のごとく、死にかけています。 そうであればこそ、この表記法を敢えて
用いるのであれば、正しく用いなければなりません。 言語文化における
「規範的」体系として、ミイラや生物標本のごとくに固定されてしまったので
あれば、その規範を忠実に守って、せめて保存に努めるべきであるし、
できることなら、その規範にもとづいて、現代にこの表記を復活させる
べきでしょう。 いずれにしても、間違っても「規範的」な表記体系を
汚すようなイタズラを面白半分で行なうべきではないのです。

(ラテン語は世間ではもはや「死語」だと思われているようですが、
 学術の世界では立派に生きていますし、北欧にはラテン語で
 放送されているラジオ局もある、と聞いたことがあります。
 たしかに日さんがおっしゃるように、「言葉は生き物」であり、時代の
 移り変わりで姿を変えていきます。しかし日本の古典的な言語体系
 やラテン語のようなコトバは「規範的」体系として、或る意味、永遠の
 生命を獲得した、とも言えるわけです。 言語というのは、無限に
 表現を創発できる“約束ごと”の体系であり、その核心は“約束ごと”
 である以上、きわめて保守的です。 保守的であればこそ、無限の
 表現を創発できるわけです。この保守的な“約束ごと”の核が揺らいだら、
 他者とのコニュニケイションはたちまち困難になってしまいます。)


それと、もう一つ。 日さんはこうおっしゃいましたね――
《国語の乱れなども含めて、それは否応無しに容認しなければならない
時の流れであり、それに対応して行く中で死守すべきは、その内容が
第一義かと。》

内容というのは、形式があってこそ、表出され、コミュニケイション
(相互共有)が可能になるのです。 形式が壊れていたり、誤解を
与えるカタチをしていたり、コミュニケイションを拒否するカタチで
あるならば、内容は他人に伝わりません。 我々は、相手が
意味のある発話を行なっている、と信じて、その解釈や
コミュニケイションに臨むわけですから、他人にわかる、わかりやすい
形式で発信するのは最低限のマナーです。 我々は精神病患者や
ヒト以外の動物を相手にしている医者や研究者ではないのです。

以上のようなことを、日さんの問いかけに応えるかたちで
つれづれに綴らせていただきました。 ……が、このスレッドで
問題になっていることは、こうした議論以前の問題でありましょう。

すなわち、他人の書いたものは、勝手に表記を改竄するな。
そして、日本の伝統的・正統的な表記体系(いわゆる「旧字・旧仮名遣い)
を用いて自分の思想を綴る際には、せめて文法的に正しい表記を
行なえ、という、作文におけるイロハのイの問題なのです。


 

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