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http://mainichi.jp/select/world/news/20081029k0000e030016000c.html
米国:タリバンと対話検討…対テロ戦争、転機に 米紙報道
【ワシントン草野和彦】ブッシュ米政権はアフガニスタンに対する包括的戦略見直しの一環として、武装勢力タリバンとの対話を検討していることがわかった。28日、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」が報じた。背景には「武力行使だけではタリバンを抑え込めない」との現状認識がある。新戦略は大統領選後の11月中旬にも発表されるが、ブッシュ政権が開始したアフガンでの対テロ戦争は、09年1月に迫った政権の任期満了とともに、大きな転機を迎えそうだ。
同紙によると、米国は今後サポート役としてアフガン政府のタリバンとの交渉を後押しする。ただし交渉相手は最高指導者オマル師ら強硬派の指導部ではなく、穏健派の部族長らになる見込み。
ペリーノ米大統領報道官は28日、タリバンとの対話について明言を避ける一方、「接触する必要性は認識している」と語った。また国務省当局者も同日、「(一部勢力が)考えを変え、武器を放棄するようならば、対話には意味がある」と述べた。
アフガンのハリリ副大統領は今月、毎日新聞に対し、タリバン最高指導者のオマル師に手紙で和平交渉を呼び掛けたことを認め、サウジアラビアで政府とタリバン関係者が接触したことも明らかになった。しかしオマル師は、アフガン政府との対話は「米軍撤退が条件」との立場を崩していない。米国やアフガン政府の交渉呼び掛けは、タリバン内部の強硬派と穏健派の分裂をうながす可能性もある。
ブッシュ政権のアフガン戦略見直しの背景には、武力行使に偏った戦略がタリバンの勢力回復を招いたとの反省があるとみられる。政権は「次期政権へ最良の戦略を引き継ぐ」(モレル国防総省報道官)との立場から、米軍増派やアフガン軍強化などの軍事面での対応とともに、周辺国の協力、復興・開発事業を統合した解決策を検討している。
毎日新聞 2008年10月29日 11時00分(最終更新 10月29日 11時59分)