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(回答先: test 投稿者 姉葉大作 日時 2009 年 1 月 27 日 23:43:23)
ジム・ロジャーズ―すべては、欧米からアジアへ動く
プロが指南!動乱時の投資、運用の新常識
プレジデント 2009年2.16号
<最新号2/16号からチョイ読み!>私は近い将来、世界的な通貨危機が訪れると考えています。
木下明子=構成 Paul Goh=撮影
■下落する商品相場はいずれ反転する
もし今、誰かに1万ドル運用してくれと頼まれたとしたら。長期投資であれば、私は中国株とコモディティ(商品)を買うでしょう。逆に短期で売却益を出したいというなら、日本円、スイスフランなどの通貨に投資するかな。今後2、3年は、通貨を買って売却するのに非常にいい時期だと思います。なかでも日本円は現在、世界で一番強い通貨ではないでしょうか。円は過去40年、対ドルで約400%も上昇したことになります。
私は近い将来、世界的な通貨危機が訪れると考えています。米ドルをはじめとしたほとんどの通貨の価値が大きく下がる。その前に一度揺り戻しがくるでしょうから、そこで売却するつもりです。
その後は、本格的な商品の時代です。常々私が言っているように、18〜20年くらいのスパンで商品と株式の強気相場の波がやってくるのですが、1999年に商品の上げ相場がはじまったので、あと10年は続くと思います。
今、原油をはじめとした多くの商品価格は大きく下がっていますが、これは一時的な調整局面にすぎず、いずれ反転するはずです。現在、投資の指標となるファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が損なわれていないのは商品だけなのですから。ビジネス全体の基盤が非常に悪くなっている時代の後には商品、実物がさらに強くなるはずなのです。
どの商品が上がるかは、需給バランスを考えればわかります。需要が供給を上回っているものが有望なのです。例えば、過去20年にわたって原油の供給量は増えておりませんが、中国、インドなど新興国の需要は増え続けています。すぐに原油に取って代わるエネルギーがあるわけではないし、遠からず相場は上昇基調に乗るでしょう。亜鉛、砂糖、コーヒーなども見通しは明るいと思います。
長期的に見れば、太陽エネルギーや原子力など新エネルギー関連も注目されるべきです。いつか世界中の人々が太陽エネルギーを使う日もくるでしょう。時間はかかると思いますが、そこに誰もが殺到したときにはもう遅いのです。
現在、米国における連鎖倒産といった最悪の事態は思った以上に早く進んでおり、米国の債務は半年ですでに3倍に増えています。オバマ新大統領も、有効なビジョンを打ち出しているとは思えません。さらなる消費を推奨し、投資や貯蓄を制限しているだけです。ほどなく米国は超大国としての地位を失い、米ドルは基軸通貨でなくなるでしょう。
現在、GMやシティバンクなどは完全にファンダメンタルズが損なわれている。公的資金の注入などせず、一度バランスシートをきれいにして、やり直すべきなのです。むろん失業者があふれ、一時的に大変なことになるでしょうが、それを覚悟して政府がセーフティーネットを用意しておくべきでしょう。
例えば、日本のバブル崩壊後の90年代後半、政府は、事実上経営破たんしている「ゾンビ会社」に資金を注入し続けました。結果、その後8年間にわたって、株価は8割下落し、10年以上にわたり不況に苦しむことになりました。
一方で、同じく90年代後半、韓国経済は一度崩壊しました。が、すべて清算した後、世界でも有数の経済成長を遂げたのです。このような過去の歴史に学び、一度痛みを受け入れてから、新たにスタートすべきなのです。
今、お金の流れは、西から東へと動いています。アングロ・サクソンを中心とした西洋モデルが行き詰まり、世界の債権国は今、中国、日本、韓国、シンガポール……すべてアジアでしょう。人、モノ、芸術、すべてはお金の流れについていくものです。どんな逆境でも儲ける人はいるものですが、変化をいち早くキャッチできる人が勝者となるのです。私も2年前、家族とともに米国からシンガポールに引っ越しました。娘たちもこのままアジアに定住するでしょう。
米国に代わり、21世紀の超大国に躍り出るのは中国です。現在、米国が世界最大の債務国であるのに対し、中国は最大の債権国となりました。金融危機以降、米国の政治家は、ウォール街の友人を救うために資金を切り崩しているのに対し、中国政府はいち早く、4兆元の景気刺激資金をもって、農業やインフラ整備といった未来への投資を行おうとしています。私はこれを評価しており、中国株も、いずれ値上がりするでしょう。
■台湾、モンゴル、カンボジアにも注目
中国以外の国で注目しているのは、台湾、カンボジア、モンゴルといったところです。3年前、車で世界一周の旅をしたとき、これらの国を訪れました。どの国も過去に比べ、非常に平和でいい状態にありました。逆に資本主義が行き届かないインドや政治的に不安定なロシアに投資しようとは思いません。
日本は健闘していると思いますが、環境の変化に適応していかなくてはなりません。70年代、日本メーカーのほとんどは米国と取引していましたが、現在はアジア諸国が中心で、工場も海外に移転している。成熟国家として、輸出産業に依存し続けていては厳しいでしょう。
さらに深刻な問題は、少子化です。政府の政策は目立った効果をあげておりませんし、子供が増えないなら、移民を受け入れるしかありません。そしてもう一つの問題は巨額の財政赤字です。このまま手を打たずにいれば、今のティーンエージャーが40歳になった頃、日本は大変な事態に直面するでしょう。私が今10歳の日本人であったら、怒って革命でも起こすかもしれませんね(笑)。
私も若い頃、子供はお金と時間の無駄だと考えていましたが、それが完全に間違いだったとわかりました。2人の娘は本当に可愛く、24時間一緒にいたいと思います。中国人ベビーシッターをつけて、中国語を話せるように教育しています。中国の時代がやってくる今、それが親として最良の教育だと思うからです。
娘たちにMBAを取らせようとは思いません。これからお金持ちになるためには、農業学、鉱山学といった学問がより大切になってくるでしょう。不動産を買うのなら、農園のほうがいいと思います。
2、3年後に、かつての第二次世界大戦よりひどい状況になる可能性も否めません。今回は金融危機で終わるのか、それとも世界の終わりがくるか。私にとって、世界の終わりとは自分自身が破産することなのですけれどね。
しかし、過去の歴史や哲学から学び、自分の目で現実を確かめ、次に起こりくることを予測し、準備しておけば生き延びることができるはず。世界大恐慌後の1930年にも、多くの人々は新たなビジネスを立ち上げましたし、日本も例外ではありませんでした。もちろん戦争のせいで一度だめになりましたが、戦後、見事に立ち上がったのですから。