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ジム・ロジャーズ―すべては、欧米からアジアへ動く
プロが指南!動乱時の投資、運用の新常識
プレジデント 2009年2.16号
<最新号2/16号からチョイ読み!>私は近い将来、世界的な通貨危機が訪れると考えています。
木下明子=構成 Paul Goh=撮影
■下落する商品相場はいずれ反転する
もし今、誰かに1万ドル運用してくれと頼まれたとしたら。長期投資であれば、私は中国株とコモディティ(商品)を買うでしょう。逆に短期で売却益を出したいというなら、日本円、スイスフランなどの通貨に投資するかな。今後2、3年は、通貨を買って売却するのに非常にいい時期だと思います。なかでも日本円は現在、世界で一番強い通貨ではないでしょうか。円は過去40年、対ドルで約400%も上昇したことになります。
私は近い将来、世界的な通貨危機が訪れると考えています。米ドルをはじめとしたほとんどの通貨の価値が大きく下がる。その前に一度揺り戻しがくるでしょうから、そこで売却するつもりです。
その後は、本格的な商品の時代です。常々私が言っているように、18〜20年くらいのスパンで商品と株式の強気相場の波がやってくるのですが、1999年に商品の上げ相場がはじまったので、あと10年は続くと思います。
今、原油をはじめとした多くの商品価格は大きく下がっていますが、これは一時的な調整局面にすぎず、いずれ反転するはずです。現在、投資の指標となるファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が損なわれていないのは商品だけなのですから。ビジネス全体の基盤が非常に悪くなっている時代の後には商品、実物がさらに強くなるはずなのです。
どの商品が上がるかは、需給バランスを考えればわかります。需要が供給を上回っているものが有望なのです。例えば、過去20年にわたって原油の供給量は増えておりませんが、中国、インドなど新興国の需要は増え続けています。すぐに原油に取って代わるエネルギーがあるわけではないし、遠からず相場は上昇基調に乗るでしょう。亜鉛、砂糖、コーヒーなども見通しは明るいと思います。
長期的に見れば、太陽エネルギーや原子力など新エネルギー関連も注目されるべきです。いつか世界中の人々が太陽エネルギーを使う日もくるでしょう。時間はかかると思いますが、そこに誰もが殺到したときにはもう遅いのです。