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『犯罪不安社会〜誰もが「不審者」』浜井浩一・芹沢一也/光文社新書‘06年から抜粋
1章 犯罪統計はどのように読むべきか/浜井浩一
<実態と報道のギャップ>
・図14を見ると、殺人の認知件数は減少傾向または横ばいであるのに対して、「凶悪」+「殺人」とともに、98年以降、記事件数が上昇し、2000年に急に上昇していることがわかる。つまり、現実に起きている殺人事件の認知件数とは無関係に、記事件数、報道量が増えているのだ。
〈ユビキタス社会の犯罪情報〉
・以前、昭和30年代の犯罪についての新聞記事を調べた報道関係者が、北海道で起きた通り魔事件が東京では新聞に載っていないことがあると教えてくれた。近年、私たちはまったく反対に、日本中で起こっている大量の犯罪情報にリアルタイムで接するようになったのである。
4章 厳罰化が作り出した刑務所の現実/浜井浩一
<まるでリハビリ施設><元気な受刑者はどこにいる>
・一部学者やマスコミによると、受刑者が増加しているのは、治安が悪化し、犯罪が増加・凶悪化した結果であるとされている。ならば、「治安の最後の砦」である刑務所には、犯罪者があふれていなくてはおかしい。
しかし、現実には、元気な受刑者はほとんど見当たらない。健康でありさえすればできるような作業に従事させるための受刑者すら見当たらず、ほとんどの受刑者が何かしら作業上の支障をもたらす問題を抱えていた。どう考えても矛盾している。治安閣下が、高齢者や障害者によってもたらされているとは考えにくい。
受刑者像を統計で読み解く
・『平成16年版犯罪白書』からも明らかなように、最近、受刑者人口が急激に増加し、刑期が長期化していること、さらに過剰収容を生み出しているのは、高齢者、外国人、心身障害や重大な疫病を持つ受刑者、さらには、仕事や家庭を失った受刑者である。
いずれにしても、過剰収容をもたらしている受刑者の多くが、何らかのハンディキャップを持っており、また、社会の中に存在するさまざまなセイフティーネットからの落ちこぼれた人たちであることがわかる。
(つづく)