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広島女児殺害殺害事件 高裁が破棄、差し戻し (来栖宥子 午後のアダージォ ブログ)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 12 月 10 日 13:39:00: twUjz/PjYItws
 

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広島女児殺害殺害事件 高裁が破棄、差し戻し
2008-12-10 | 死刑(終身刑)問題


朝日新聞2008年12月9日
 広島市安芸区で05年11月、下校中の小学1年生木下あいりさん(当時7)が殺害された事件で、殺人、強制わいせつ致死、死体遺棄などの罪に問われたペルー国籍のホセ・マヌエル・トーレス・ヤギ被告(36)の控訴審判決が9日、広島高裁であった。楢崎康英裁判長は「一審は審理を尽くしておらず違法」と述べ、無期懲役とした一審・広島地裁判決を破棄して審理を地裁に差し戻す判決を言い渡した。弁護側は殺人などについて責任能力を争って無罪を主張しており、差し戻し判決を不服として上告する方針。
 一審は来年5月に始まる裁判員裁判のモデルケースとして、争点を事前に絞り込む公判前整理手続きを採用。証拠調べを初公判から5日間、計25時間で終える集中審理も実施した。高裁判決は一審の訴訟指揮や検察側の立証活動の不備を指摘しており、裁判員となる市民の負担軽減のための裁判の迅速化と、必要な審理を尽くすことの両立の難しさを強く印象づけた。
 06年7月の一審判決は、検察側が犯行場所を被告の「アパート自室内」から「アパート及びその周辺」と広げた訴因変更を認めた。高裁判決はこの点を問題とし、室内であれば「どのように連れ込んだか」で犯行形態が大きく異なる▽通行人に容易に見られるような場所での犯行であれば、刑事責任能力に疑問が生じたり、逆に悪質性が強まったりする――と指摘。刑事裁判には真相を明らかにする使命があることからも「あいまいなまま判断するのは相当でない」と一審を批判した。
 また、一審は被告本人の捜査段階の供述調書を証拠採用しなかったため、犯行場所について事実を誤認したのではないかと考えざるを得ないと指摘。ヤギ被告の自室から押収された毛布には被害女児のものと思われる毛髪と血が付いており、被告の「事件当日、毛布を部屋から外へ出していない」と受け取れる供述が信用できれば、犯行場所は室内と認定できたはずだと述べた。
 そのうえで、一審の訴訟指揮について、公判前整理手続きで被告の供述調書について弁護側が不同意と述べた際、検察側と弁護側に具体的な主張や釈明を求めず放置したことは「手続きの目的に反する措置」と非難。公判でも証拠調べの請求を却下したのは訴訟手続きの法令違反だと判断した。さらに検察側についても、犯行場所特定のために必要だとはっきり主張しなかった不手際があると述べた。
 被告がペルーで少女に性犯罪をした前歴を証拠採用したことについては「量刑や公判供述の信用性を判断するうえでも有用」とした。
 一審判決は、確定的な殺意に基づくわいせつ目的の犯行と断定。被害者が1人で前科がないことなどから「矯正不可能な程度までの反社会性、犯罪性があるとは言い切れず、死刑をもって臨むには疑念が残る事案と言わざるを得ない」と判断し、検察側、弁護側双方が量刑を不服として控訴していた。
    ◇
 「死刑か無期懲役以下の刑か、どちらか言い渡されると思っていたが、差し戻しとは……。非常に残念です」。公判終了後、記者会見したあいりさんの父、木下建一さん(41)は予想外の判決に無念さをにじませた。
 一審では、殺人などの罪に問われたペルー国籍のホセ・マヌエル・トーレス・ヤギ被告(36)の死刑を望み、無期懲役判決に強い衝撃を受けた。この日は、「無期懲役以下でも受け入れよう」と覚悟を決め、両手で元気いっぱいにピースするあいりさんの遺影をひざの上に置き、妻と一緒に傍聴した。「結論が出なくて残念だったね」。そう心の中で語りかけ、法廷で遺影を抱き直した。
 会見では、「苦しみがさらに長引くのかと、つらい思いになりました」と漏らした。判決文の朗読中に何度も取り乱したヤギ被告については「苦しんでいるのだろうが、それ以上にあいりと遺族は苦しんだ。最後まで判決を聞いてほしかった」と憤った。
 来年5月の裁判員制度スタートを想定し、異例の早さで進んだ一審。「遺族の心の負担を考えれば、非常に良かったと思っていた。ただ、今回のように複雑な事件では、争うべき点が審理で漏れることもあるのだとつくづくわかりました」と語った。
 裁判員制度については、「いい制度だと思うが、事件によっては限られた時間では審理できない。裁判所が(事件を)選別していかないと、今回のような差し戻しがあり得る」と指摘した。(加戸靖史)
     ◇
 「原判決を破棄する。本件を広島地裁に差し戻す」。楢崎康英裁判長が読み上げる主文を、ヤギ被告は両手を胸の前に合わせて聞いた。裁判長に着席を促されると、ぼうぜんとした表情でうつむいた。顔は紅潮し、「ハァハァ」と速い呼吸で肩を揺らした。
 判決理由の朗読を聞いていたヤギ被告が急に動揺し始めたのは、犯行場所に関する一審の事実誤認を指摘する部分にさしかかった開廷から2時間20分後。突然涙ぐみ始め、拳で自分の顔を殴ったり、「シー」と唇に指を当てたりした。
 裁判長が注意したが、ヤギ被告は「そこに誰かいる」「あいりちゃん。あなた、あいりちゃんですか」と繰り返し、朗読は数回中断した。
    ◇
 〈元最高検検事の土本武司・白鴎大法科大学院長(刑事法)の話〉 量刑を不当として検察、弁護側が控訴した裁判のはずが、広島高裁はそれらに見向きもせず、手続きの違法性を指摘した。
 重要な調書も採用してもらえず、犯行現場の立証すら不十分だとして高裁から批判を受けるとは一審の検察官は何をやっていたのかと思う。
 かつて大変な時間がかかった刑事裁判の反省に立ち、裁判員制度などの司法制度改革が進められてきた。しかし、審理を早く片づけることを重視して中身が粗雑になってしまうのは問題で、公判前整理手続きで証拠を過度にそぎ落としてしまうことの危険性を指摘した判決と言える。迅速化のみを図るのではなく、スピードを緩めて、刑事裁判の目的である真相の解明を追求すべきだ。
     ◇
 〈解説〉9日の広島高裁判決は、審理の迅速化が求められるとしても、粗雑になることは許されない、と警鐘を鳴らした。
 裁判員制度に向け、裁判所は事前に公判の骨格をつくる公判前整理手続きと集中審理の準備を進めてきた。重大事件の審理は2〜3年かかるのも当たり前だったが、市民を長くは拘束できないからだ。
 だが、高裁判決は一審の公判前整理手続きで、重要な争点が見過ごされたと批判する内容だった。 また、市民が大量の記録を読むことは難しいため、裁判員裁判では口頭審理が重視される。しかし、公判での供述は捜査段階と変わることもある。この点について高裁判決は、捜査段階の供述調書を証拠採用しなかった一審を批判。供述調書が重要な内容を含む場合、取り調べる必要があることを強調している。
 公判前整理手続きはその後、多くの事件で採用され、手続きに1年以上費やす例も珍しくなくなった。ただ、高裁判決が求めた点に対応すれば、公判前整理手続きだけでなく、裁判員が参加した審理に想定以上の日数がかかることもありうるだろう。
 一審で調べられる証拠が不十分であってはならないのと同時に、審理に長い時間もかけられない。高裁判決は克服すべき課題を突きつけている。(鬼原民幸)

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「犯行場所に疑問」差し戻し あいりちゃん事件で高裁 〈中国新聞 '08/12/9〉
 広島市で二〇〇五年、下校中の小学一年木下きのしたあいりちゃん=当時(7)=が殺害された事件で、殺人、強制わいせつ致死などの罪に問われたペルー人、ホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(36)の控訴審判決公判が九日、広島高裁で開かれた。楢崎康英ならざき・やすひで裁判長は、「犯行場所の認定に疑問がある」などとして、無期懲役とした一審判決を破棄、審理を広島地裁に差し戻した。検察側は死刑を求めていた。
 楢崎裁判長は判決理由で、女児の血液などが付着した毛布を、被告が「屋外に持ち出していない」と供述したととれる検察官調書について、「弁護人が公判前整理手続きで任意性を争うとしたのに、一審は争点整理をせず、当事者に任意性の主張すらさせないで証拠請求を却下した」と指摘。
 「調書を調べれば犯行場所が分かる可能性があり、犯行態様も明らかになると思われる」として、訴訟手続きに法令違反があるとした。
 一審判決が犯行場所を「アパートおよびその付近」とし、屋外での犯行可能性を認めたことについては「アパートの敷地は市道に面していて通行人に丸見え」などとして事実誤認があると認定。「犯行場所があいまいなまま双方の主張を判断するのは相当でない」とした。
 昨年十一月に始まった控訴審で、被告のペルーでの女児への性犯罪歴に関する資料を初めて証拠採用した点については「前歴でも、被告の犯罪が確実なら量刑で考慮すべき場合がある」とした。
 一審広島地裁は〇六年七月、被害者が一人で、前科が認められないことなどを理由に死刑を回避。検察、被告双方が控訴した。控訴審で検察側はあらためて死刑を求め、弁護側は殺意とわいせつ目的を否定している。
 一審判決によると、トレス被告は〇五年十一月二十二日、広島市安芸区であいりちゃんにわいせつな行為をし、首を絞めて殺害。遺体を段ボール箱に入れ放置した。
 ▽あいりちゃん殺害事件
 2005年11月22日、広島市安芸区の空き地の段ボール箱から、小学1年木下きのしたあいりちゃん=当時(7)=の遺体が見つかった。広島県警はペルー人のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ容疑者を逮捕。広島地検は殺人、強制わいせつ致死、死体遺棄などの罪で起訴し、死刑を求刑した。広島地裁は06年7月、無期懲役を言い渡し双方が控訴。トレス被告は一貫して殺人と強制わいせつ致死罪の無罪を主張している。
 ▽あいりちゃん小1女児殺害事件の経過
 2005年11月22日 広島市安芸区で、下校中に行方不明になった小学1年木下あいりちゃん=当時(7)=の遺体発見
 30 広島県警が殺人と死体遺棄容疑でペルー人のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ容疑者を逮捕
 12・21 広島地検が殺人、強制わいせつ致死、死体遺棄の罪で起訴
 06・5・15 初公判でトレス被告が殺意を否認
 6・9 地検が死刑を求刑、弁護側は死刑回避を求め結審
 26 あいりちゃんの父建一さんが記者会見し、性犯罪抑止のため実名での報道を要望
 7・4 広島地裁で無期懲役の判決
 07・11・8 二審初公判
 08・5・20 被告のペルーでの前歴2件の資料を証拠採用
 7・31 検察側があらためて死刑を求め結審
 12・9 広島高裁が審理を地裁に差し戻す判決
 ▽差し戻しは予想外
 山舗弥一郎広島高検次席検事の話 (一審差し戻しは)予想外の判決だ。内容を検討の上、適切に対処したい。
 ▽双方の主張を無視
 トレス被告の弁護人、井上明彦弁護士の話 控訴審での当事者双方の主張を無視して裁判所が職権で判断している。差し戻して被告に不利な証拠を採用するよう言っており、検察官がもう一人いるようなものだ。今週中にも上告したい。
 ▽死刑選択もありうる
 板倉宏・日本大名誉教授(刑法)の話 一審判決はペルーでの「前歴」がないとの前提で無期懲役としたが、高裁は考慮する必要性に言及しており、今回の差し戻し判決で死刑を選択する余地もありうる状況になった。妥当な判断だ。差し戻し審では「前歴」が量刑判断の重要な材料になるだろう。また、裁判員制度が始まると、専門家でない市民が審理するため事実認定がアバウトになる可能性もあり、厳密さを求める意味合いもあるのかもしれない。


 

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