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第4回 時間外取引、村上ファンド、顧問弁護士解任の舞台裏 (2005/03/25)
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/531.html
投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 06 日 01:23:01: Dh66aZsq5vxts
 

(回答先: 第3回 立役者、リーマン・ブラザーズ800億円融資のシナリオ (2005/03/25) 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 06 日 01:11:54)

第4回 時間外取引、村上ファンド、顧問弁護士解任の舞台裏 (2005/03/25)
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050325butaiura/

2005年3月25日

 ニッポン放送問題では、吸収したあとに、堀江社長にはそのあとニッポン放送をどうするのかのビジョンが何もないと批判されているが、堀江社長が自分のところと一緒になったほうが必ずうまくいくと自信を崩さないのは、これまで毎年次から次にM&Aを仕掛けて、それがほぼうまくいってきたという実績があるからだろう。

 ここで、ほぼうまくいってきたとしか書かないのは、失敗例もあるからだ。買収の歴史に関しては、「儲かる会社の作り方」の巻末資料がいいが、その後の買収についてと、失敗例に関しては、3月24日付け日経新聞の記事「買収後問われる経営」が情報量が多くていい。ここでは以下、あまり詳しくは書かない。

 

バリュークリック買収劇でみせたアメリカ流TOBの手腕
……………………………………………………………………
 吸収合併した相手には、社名まで吸収してしまったプロバイダー会社、「ライブドア」の他に、アスキーの電子商取引部門「アスキーEC」、インターネット金融サービス会社「ビットキャッシュ」、インターネット広告会社「バリュークリックジャパン」などがある。

 米事業法人の子会社であるバリュークリックジャパンの場合は、ライブドアの幹事証券会社となった外資系証券会社の支援を得てだろうが米国本社が持っていた51%の株を、株式公開買い付け(TOB)で堀江社長が全株買い取るというアメリカ流のビジネス手法を用いている。このような直接的買収ビジネスを通じてM&A、TOBは堀江社長の得意業となっており(04年だけで14件)、その専門的実行部隊が社内ですでに育成されている。

 バリュークリックジャパンの元社長、ジョナサン・ヘンドリックセン(ニュージーランド出身)は、同社のTOBが実にスムーズに素早く進行した例をあげて、堀江社長のビジネスのやり方は全くのアメリカ流だが、それは、インターネットの世界が元々アメリカ流だからだと解説し、堀江という人物の持つ資質は、ビル・ゲイツのそれに近いところがあるとまでほめちぎっている。

 今回のニッポン放送乗っ取りが、このようなビジネスの積み重ねの延長上に生まれたのか(ことの進め方、人脈)というと、それはちょっと異質なものがあるような気がする。確かに、堀江社長は、アメリカ流のビジネスのやり方を身につけており、日本のIT市場でそれなりの成功を収めた将来有望な若手経営者の一人に数えられており、アメリカの投資家からもそれなりに評価されていた(モルガン・スタンレーが前から第4位の大株主に入っている)。

 

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http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050325butaiura/index1.html

800億円投資のカギ握る村上ファンド
……………………………………………………………………
 しかし、リーマン・ブラザーズがいきなり800億円投資して可と判断するほどの人物とは映っていなかったはずだ。誰かが、堀江社長とリーマン・ブラザーズを結びつけ、堀江社長に800億円投資すれば、その目論見が成功するに違いないということを解説的に紹介した人物がいるはずで、それがミッシング・リンクだと思っていたら、この数日で、そこがほぼ明らかになってきた。「週刊現代」の「ホリエモン『影の指南』の大笑い」という記事は、次のような外資系証券会社の関係者の証言を紹介して、ミッシング・リンクが、村上ファンドの村上世彰氏であったということを明らかにしている。

 「ニッポン放送株に真っ先に目を付けたのは村上氏で、今年になってホリエモンを巻き込んだ。村上氏はゴールドマン・サックス証券(GS)と親しい。そのGSをホリエモンに紹介したのも村上氏。GSはニッポン放送のM&Aのシナリオをホリエモンに提供し、後にリーマン・ブラザーズ証券がシナリオを引き継いだ。つまり今回の買収劇の影の立て役者は村上氏なんです」

 村上氏は、堀江社長が2月8日の東証の取引開始後わずか30分の間のうちに6件の巨額時間外取引を成立させて、ニッポン放送の株式の35%を一挙に押さえた電撃的ドラマが始まったときからささやかれていた影の人物で、この証言に近い話が他のメディアからももれてきているから、ことの真相は大筋こんなところなのだろう。堀江社長がその日に買い集めた株式は、村上氏の持っていた株式プラス、おそらくリーマン・ブラザーズ経由で話が詰められた何人かの大株主(米法人もいた)の株で、この30分間での一挙取引こそ、事前に練りに練られたシナリオだったわけだ。

 

事前に練りに練られた時間外取引のシナリオ
……………………………………………………………………
 このような取引が許される「時間外の時間」というのは、たった30分間しかないから、この取引は事前にできあがっていた完全シナリオに沿ってササッと行われたと考えられる。しかし、このような巨大取引が事前の談合の上でなされたとすると、証券取引上のルール違反となるから、関係者は、事前の談合があったとは口がさけても言えない。

 それなのに、堀江社長は、3月3日に外人記者クラブに招かれて質問を受けたとき、思わず村上と事前に会ったことを認めてしまっている(談合したことまでは認めていない)。それを知った堀江社長の顧問弁護士であった猪木俊宏弁護士(後に突然辞任した)は、堀江社長の「しゃべりすぎ」を厳しくたしなめたといわれるが、それは、このルール違反の事実が明るみに出ることを恐れたからだろう(そのような違反行為が行われるのを弁護士が知っていて、それを止めなかったとすると、弁護士の責任問題になり、下手をすると違法行為を使そうしたとして、弁護士資格が問われることになりかねない)。そして、これは、関係者がとことんシラを切り通せばこれ以上の問題にされることはないだろうが、同時に同じ理由で、これ以上真相が明らかにされることもないだろう。

 ここは、ウラの事実関係をあくまで明るみに出して、それを糾弾しようとする場ではないから、この問題のこれ以上の追及はやめて、むしろ、この問題の背景にあるもっと大きな事実に目を向けておこう。

 それはこの問題で、決して明るみに出ることなく、背景の薄暗がりの中にひっそり身を沈めているリーマン・ブラザーズという影の主役の存在である。

 

立花 隆

 評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。

 著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。
 

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