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http://www.news.janjan.jp/living/0812/0812012638/1.php
疑問多く理解得られず奇怪な裁判員制度、一刻も早い修正か廃止を
古井利哉2008/12/02
検察庁が主催する裁判員制度の勉強会に行ってきました。しかし担当官からは制度を国民に理解してもらおうという姿勢は感じられませんでした。国民的理解も得られないままでの実施は無理。一刻も早く国会で修正するか、あるいは廃止法案を検討すべきだと考えます。
つい先日、裁判員制度の勉強会に行ってきました。地方検察庁が主催するもので、内容は、地検から派遣された担当官２名がビデオを放映した後に簡単な補足説明を加え、質疑応答を行うものでした。
このビデオが、俳優の中村雅俊の監督・主演になるもので、真剣な裁判をテーマにするというより、ホームドラマの味付けを加えた、男女混交の井戸端会議風のタッチで、なんとも締まりのないものです。
担当官との質疑応答では、厳しい質問には言い逃れやはぐらかしに終始し、時には裁判員は国民的義務と強弁する始末です。この制度を分かりやすく説明し、なんとか国民に理解してもらおうという姿勢は感じられませんでした。
明確な回答が得られない３つの疑問
質疑の中で、問題点を指摘したことに対して明確な回答が得られなかった点を列挙しますと、以下の３点に絞られます。
（１）裁判員制度導入の目的――裁判官の資質向上が先ではないか
説明書類および担当官の説明のいずれにおいても「国民の視点・感覚を裁判の内容に反映させるため」であり「国民が司法に対する理解と信頼を深めるため」という。
しかし現行の裁判が国民の視点・感覚からずれているならば、裁判官の資質向上をまず図るべきであり、後段の国民の理解と信頼は何も裁判に参加しなくとも、積極的に情報を開示し、国民に開かれた裁判を重ねることでこそ求められるべきだろう。
（２）対象とする事件――身近な事件をなぜ扱わないのか
殺人・強盗などの凶悪刑事事件を対象とする。だが、普通の生活をしている国民にとっては、ここに列挙された対象はすべて非日常的事件であって、判断に戸惑うばかりであろう。なぜ、もっと身近な事件を対象にしないのだろうか？
たとえば、振り込め詐欺・マルチ商法さらには医療事故などの民事訴訟が思い浮かぶ。さらに言うならば、年金問題にからむ厚生労働省や、汚染米の農林水産省、さらには数々の不祥事が頻発する防衛省などへの行政訴訟も、むしろ今日的な対象として選ばれるべきであろう。
（３）裁判員を拒絶できない――働き盛りが職場を抜けられるか
いくつかの原因を除き、自己都合による裁判員辞退は認められないことになっている。しかし、現職者が数日間裁判で拘束されることで、場合によっては、計り知れない損害を本人はもとより、所属する職場に与える事態も考えられる。
この場合を想定して、法は、有給休暇を設けるなどにより、裁判員に対する不利な取り扱いを禁止するとある。だが、非正規社員が３分の１を占め、正規社員でも、世界的な大手自動車企業や電気産業がリストラの対象とする最近の労働実態を見るとき、誠にむなしいと言わざるを得ない。
以上、疑問点を列挙してみましたが、何より不可解なのは、この裁判員制度について、テレビはもとより新聞ですらほとんどこれまで報道してこなかった事実であります。
これを裏付けるように一昨日から候補者に対する通知書が発送されると、まさしく寝耳に水の国民があわてて関係当局に電話照会（ほとんどが辞退希望）しているとの新聞記事（３０日）が見られましたが、今後この混乱はますます増大するものと思われます。
このように多くの疑問を包含しながら、また国民の理解が得られない状態で、来年５月から実施される不合理は決して許されるべきではなく、一刻も早く国会において取り上げ、修正あるいは廃止法案を検討すべきであろうと考えます。
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フォローアップ:- 『痴漢冤罪の恐怖』を読んで（JANJAN) Palapala 2008/12/02 17:18:37
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