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国籍法改正案にかかわる国会での動き・断片情報
2008/11/21 15:21
今朝の産経は政治面で国籍法が参院で審議入りしたことを伝えています。参院の委員部に聞いたところ、参院でのスケジュールは今のところ、26日には二人の参考人から15分ずつ意見を陳述した後、「民主党・新緑風会・国民新・日本」、「自民」、「公明」など5会派が15分ずつ質疑を行う(計1時間45分)。
27日には4時間の一般質疑を行い、28日の参院本会議での成立を目指す――という流れのようです。一応、わずか3時間の審議で批判を浴びた衆院の2倍近い時間は確保しているものの、ことの重要性に照らしても、これで十分とは言い難いように思います。自民と民主は今月12日に、30日までの会期内に改正案を成立させる方針で合意していますが、国会も延長されることだし、そんなに急がなくてもよさそうなものですが。
(※追記15時40分 本日、参院法務委の日程が変更され、25日午後に1時間20分の質疑を行い、26日は休んで、27日の午前中に1時間20分の参考人意見聴取、同日午後に4時間の質疑をした後に委員会採決という運びになりました。審議時間を計6時間40分確保し、体裁は整えた形ですね。)
さて、私はこれまでこの国籍法改正の問題について、産経紙面で3本の記事(15日付、19日付、21日付)を書き、あわせてこのブログでも確か3つのエントリをアップしました。ただ、それでもまだ書き漏らしていることがあるので、本日はその補足をしたいと思います。断片的な情報にすぎませんが、何かの参考になれば幸いです。
まず、国籍法改正案が衆院で審議入りしたのは14日ですが、その前日に知人のジャーナリストが、民主党の法務委員会メンバーである保守系議員に電話をかけ、改正案の問題点を指摘したところ、この議員は「ワシもよく知らんのよ」という反応だったそうです。与野党とも、次期衆院選への対応で手一杯で、法務委の一員であってもこの程度の認識だったということです。
でも、さすがに国民の側が騒ぎ出し、国会議員にファクスやメールが殺到するようになると、議員の側も「あれ?何なんだこれは」と思い、中には改正案の内容に疑問を持つようになった人もいるわけですが、改正案は予定通り18日に衆院を通過しました。ただ、事後の記者ブリーフでは一切説明されませんでしたが、この日午前の自民党役員連絡会では改正案が話題になったそうです。
役員会の中で、ある衆院議員が「国籍法改正は問題があるのではないか」と発言し、「そうだそうだ」という声が上がったほか、別の議員からは「衆院での審議は終わるが、今後、この法案の扱い方を考えてほしい」という意見が出ました。これを受けて細田博之幹事長が「これは確かに犯罪ビジネスに利用される懸念がある。これはちょっと、幹部で引き取らせてほしい」とその場を収める場面があったと聞きました。
また、この日昼の自民党参院執行部会では、山谷えり子氏が改正案に関する一連の経緯を説明し、「私自身も非常に問題があると考えている。慎重に議論し直す必要があるんじゃないか」と問題提起しました。
これに対し、国対幹部も「運用で(犯罪行為の)歯止めをかけていくことが必要だ。参院では通過の仕方を考えないといけない」と指摘し、尾辻秀久参院議員会長も「もう一度検討した方がいい」と発言しました。さらに、吉村剛太郎政審会長も「勉強会を開いていきたい」と述べました。
そのため、19日には自民党の参院政審で法務省の担当幹部を呼んで、勉強会が開かれました。すでに党内手続きも終わり、閣議決定までしている法案について、改めて勉強し直すというのは異例のことだと思います。
実は、同じく18日の公明党代議士会でも国籍法改正が話題になり、ある議員が「みなさんのところにもかなり来ているかもしれないが、メールでかなり反対の、または見直しをちゃんとしてもらいたいという話が来ていると思う。これ、実は地方議員の方のところにかなり来ている」と発言したほか、
別の議員からは「何でDNA鑑定はダメなの」との質問を出て、法務委メンバーの大口善徳氏が「(法の下での平等を定めた)憲法14条違反になる」と答えています。本当に憲法違反となるかは怪しい限りですが、とにかく彼らも国民の声を気にはしているのです。
19日の自民党の参院政審勉強会は、法務省に対する批判が相次ぎました。これはマスコミに公開されていたわけではありませんが、ドアの外に耳を当てて根気よく中の声を拾ってくれた(これを業界用語で『壁耳』と言い、国会では若手官僚もよくやっています)後輩記者の取材メモによると、次のようなやりとりがあったそうです(声だけでは誰だか分からない議員は某議員にしています)。
尾辻氏 きょうは国籍法改正案の勉強会をやることになった。国籍法は衆院を通過している。勉強は勉強として、取り扱いについては現場で取り扱ってもらう。
法務官僚 略(法案説明。DNA鑑定はだめ、偽装防止はできると説明)
某議員A 最高裁の判決自体が疑問だ。
原告の中には父親がどこかに行ってしまっていない子供がいた。そういうケースでも国籍を付与するとなると、事実上、防止策も機能しなくなる。
憲法14条違反というが、そもそも憲法10条では、国籍については別の法律で定めると書いてある。日本人であることを証明することが大事であって、行政府は厳格に対応するべきだ。
DNA鑑定を導入すると問題が出てくるというが、犯罪捜査では使っている。主権者の権利を付与することなので、主権者の地位を簡単に渡してしまうことになる。子供たちは帰化申請すればいい。
ところが申請せずに憲法判断にもってきた原告の政治的意図がある。衆院では可決されてしまったが、良識の府である参院では徹底的に審議をしないと汚点になる。
佐藤正久氏 国籍は非常に重要だ。しっかり議論してほしい。
偽装(認知)をやろう、商売でやろうという人たちの偽装をどう見破るか。届け出の窓口は市町村役場と法務局だが見破れるかどうか疑問だ。役場は人が少なくて忙しい。法務局も大きなところもあれば、小さいところもある。
有村治子氏 歴史の評価に耐えうるのか。
DNA鑑定は万能薬ではないという意見が出たが、それ以外に偽装を見抜く手だてはない。家族関係の絆を証明する手だてとしてDNA鑑定は選択肢に入るのではないか。外国人に対する差別だというが、国家の出入国で区別するのは当たり前なんだから、国籍でも区別があっていい。
山谷氏 衆院ではたった3時間しか審議していない。
虚偽かどうか調査する方法を通達で定めるとあるが、これでは私たちに見えないところで決められてしまう。付帯決議して修正に持ち込まなければ、とても国民の願いに答えられない。審議入りする前にもんでもらいたい。
某議員B 罰則が厳しくても偽装結婚は相当ある。
男性は暴力団員が多く、刑罰を科しても何とも思っていない。DNA鑑定を使うのは当然だ。我々も選挙でいっぱい、いっぱいになって知らなかった。反省しているが、法務省はどういう手を使ったのか分からないが、3時間で衆院を通すやり方に失望している。
尾辻氏 最高裁判決の原告には父親がどこかに消えていない子供もいたということだが、そうすると法務省の「父親にも話しを聞く」という説明と矛盾する。そこを整理してほしい。(父子関係が)事実であれば、いなくなってもかまわないということか?(法務省「そうだ」と回答)
某議員C (唯一の法案容認意見?)自分の子供じゃなくても認知するケースは昔はいろいろあった。周りもみんな知っているが、言わないケースはいろいろあったんだ。
衛藤晟一氏 日本の家族は完全に血統主義ではない。
文化概念としての家族という考え方がある。しかし、国籍ではハッキリした方がいい。新しい時代の変化の中でDNA鑑定が可能になったから、使えばいいじゃないか。
尾辻氏 この話は党内手続きを完全にクリアしている。
与党の手続きもなされ、閣議決定され、衆院では審査が終わりとされて、参院に送付されてきた。その事態で、私が出ている役員会や役員連絡会でもかなり議論があり、モヤモヤしている。先日、参院の執行部会で、たしか山谷先生だったと思うが、問題提起されたので、政審で勉強会をやってくださいと言った。何かあったら私が矢面に立つから、私の責任でこの会を開いてくださいと。先生方のご意見を今後も出してください。議論したうえで、国会にどう臨むか判断する。私も覚悟して、参院らしく臨みたい。
…ただ、この尾辻氏のいう「覚悟」がどういう意味なのかよく分からないのですよね。私はこの人のことをよく知らないので、何を意図してどの程度の重みをもってこの言葉を発したのか推測もできません。うーん。また、某議員Aが指摘している裁判の進め方と帰化の問題については、19日の「国籍法改正案を検証する会合に賛同する議員の会」で法務官僚(参院政審に来た官僚とは別人)も「私どもは簡易帰化でいいではないかと主張したが、こういう判決が出た」と語っていました。
そして、翌20日は木曜日で、自民党の各派閥の定例総会が開かれました。津島派総会では、戸井田徹氏が国籍法改正について発言し、会場がざわめく場面もありました。
戸井田氏 「後で気が付く寝小便」という言葉があるが、
国籍法をずっとみていてそう思う。この中で国籍法の一部を改正する法律案を全部理解している人手を挙げて下さい(約30人の出席者、誰も手を挙げず)。あらあらは分かっていると思うが「最高裁の判決が出たのだからそれ以上追及する余地はない」と思考停止になっていると思う。
これをよく調べると、将来日本人の血を引いてなくとも日本人になれる。そういう状況が出来上がってくる。偽装結婚もあり得る。その可能性を探っていったらある意味恐ろしい部分がある。
それ以上に恐いと思ったのは、「全会一致」と決まったら、誰かが気が付いておかしいと思ってもストップできない。この仕組み。自民党内でも法務部会で10月17日に(了承手続きが)行われた。その時には幹事長も国対委員長も「選挙だから地元に帰れ」といい、我々は地元に帰らされた。そんなことを考える余地も余裕もない中、こんなものをスッと通していって、将来の日本人に禍根を残すことがあったら、我々は将来の子供にどう顔向けできるか。
あの時法律を通したメンバーは全部名前が出てくる。公文書を調べると。将来の子供達に「自分たちは本気で判断したのか」と自ら問いかけた時、さほど分からず答えを出してしまった状況だ。また党内でもって、もしそういう内容の微妙なところがあるなら、きちんとオープンにして議論した上で決定すると。最後は逆に党議拘束をかけるのでなく自由投票という選択肢もあっていい。そうでなければまさにファッショでしかあり得ない。
議会制民主主義ってのはどこにあるのか。
我々は大して頭も良くないし、分からないことがほとんどだが、これはおかしいと思ったなら、何か声を上げなければと思ってやってきた。だけど今回の国籍法の一部を改正する法律案ってのは明らかにおかしいと思う。参院の方で何とかできるとしたら何とかしてほしい。同時にどうしても通さなければならないという事なら、党内でもきちんと全部成立してからでもいいから、みんなが納得できる議論の場を作ってほしい。(会場ざわめく)
櫻田義孝氏 法案のどこがおかしいのか説明を。
戸井田氏 日本人の父親と外国人の母親に生まれた子が、日本国内にいる時、父親が認知すれば日本国籍を取れると。だけどそこにDNA鑑定があってもいいのでないかというのが我々の考えだ。
誰か不明議員 そりゃおかしい。もうそこは議論しているのだから。(会場のざわめきが大きくなる)
戸井田氏 そこらの議論を事前にやっているのかやっていないのか。
僕は正直言って、法務部会が開かれたときを後で振り返ると、その時は他の日程なんかないですよ。みんな「帰れ帰れ」と言われている状況を考えてみたら、どこかそこに「誰か騒ぐのが出てくる」と予期しながらそれを避けて通ろうとする意志がどこかにあったんじゃないか。そういうものがあるとしたら、自由に討論できる自民党という立場の中ではおかしいのでないかと申し上げたい。
脇雅史氏(参院国対副委員長) そういうものを参院に送って頂き、大変困惑している(笑い)。動きのあることは重々承知している。私の理解するところ、この法律の精神そのものが否定される物でないと思うが、様々なことが予想され、運用によっては変なことが起きてくる可能性が存在する。
従って、運用面で相当のことができないか、少し工夫できないかということで、今日(昨日の間違い?)も法務省を呼んでいる。2院制の中、参院側でしっかりした議論をして、(尾辻)会長のご命令でしっかり検討するようにとのことなので、国対だけでなく、幹事長政審も含め、間違いのないよう検討しながら、そう簡単に上げないように(したい)。来週も2〜3日と参考人を呼びながら審議する。来週木曜(27日)くらいには決着させなければならないと思っているが、慎重な対応をしたい。参院側だけの話では済まないので、途中には幹事長室も入ってもらい、衆院もひっくるめた、もし修正でもしたら(衆院に)戻ることもあるので、しっかりとした対応をご相談したい。
…尾辻氏もそうですが、この脇氏のコメントも解釈が難しいですね。ただのリップサービスで「修正」の可能性を口にしているのか、それとも多少は本気なのか。その場にいた知人の議員に「どう思いますか」と聞いてみましたが、「よく分からない」とのことでした。また、「木曜の決着」とは委員会採決のことでしょう。ともあれ、同日の参院法務委員会理事懇談会で、もう審議日程を固められてしまったので、仮に本気であったとしても、なかなか厳しい状況です。
国籍法改正案の話題は、町村派の総会でも出ました。中山成彬事務総長の記者ブリーフによると、次のようなことでした。
「国籍法の話についても、参議院の国対報告でもありましたけど、与野党ともに問題にしていると。協議しているということがあって、ちょっと時間が足りなかったんじゃないかと。これは赤池(誠章)君から話がありましてね、問題提起しますということでした。いろいろ犯罪が横行するのではないかと。最高裁だって判決を出したけれども、実は仕組まれた裁判だったんだという話も、後から知ったんだとかね。そういう話もありましたが、参議院のほうでしっかり審議してくれという話でした」
…議員によって認識に濃淡はありますが、今頃になってようやくことの重大性に気付いたという人が多いようですね(弊紙を含むマスコミもそうですが)。
中には、森英介法相のように「(ファクスを送るなどの)こういう手法をとる人は、好ましからざる人物だと思う」と語る人もいますが、多くの議員は殺到するファクスやメールを見て、それなりに真剣に受け止めているのではないかと思う次第です。そして、それが、今回は間に合うかどうかは分かりませんが、リアルな政治に間違いなく影響を与えている様子がうかがえますね。その点も興味深く感じており、今後の展開を注目していきたいと思います。
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/805033/
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