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http://diamond.jp/series/uesugi/10058/
ブッシュ米大統領に、靴を投げつけるという「ゲーム」が世界中で流行っているという。「AFP・時事」の配信記事によれば、次のようなものだ。
〈このゲームは英国のアレックス・チュー氏が立ち上げ、米軍のフセイン・イラク大統領打倒の「Shock and Awe(衝撃と畏怖)」作戦をもじって「Sock and Awe(靴下と畏怖)」と名付けた。演壇の後ろで30秒間、頭を出したり入れたりして身をかわし続けるブッシュ大統領の画像に向けて靴を投げつけるもので、チュー氏が16日語ったところによると、既に140万回のアクセスがあった〉
http://www.sockandawe.com/
(オマケ)http://mamechoja.blog22.fc2.com/blog-entry-277.html
早速、筆者もトライしてみた。結果は12回。イラク人記者のように、腕や肋骨を折られたり、逮捕されたりすることもなく、ブッシュ米大統領の顔面に靴を命中させることができた。どうやらゲームの中のブッシュ大統領は、実物の大統領よりもずっと反射神経が鈍そうだ。
靴を投げたイラク人記者は、エジプトのテレビ「アル・バクダディア」と契約していたムンタデル・アル・ザイディ氏だ。この事件後、ザイディ記者に対して、アラブ連盟各国で釈放を求めるデモなどが発生している。サウジアラビアでは、ブッシュ大統領に投げつけられた「靴」に10億円の懸賞金がかかり、リビアでは、カダフィ大統領の娘が、記者への「名誉勲章」の授与を発表した。
ただし、記者会見中にジャーナリストが靴を投げるという行為自体は許されるべきではなく言語道断の行いだ。取材会見に応じた人物が、いかなる「極悪非道」な者であろうと、了解して会見に臨んでいる以上、物理的な危害を加えるということは絶対にあってはならないことだ。
そうした意味で、靴を投げたザイディ記者はジャーナリストとして失格であり、二度と取材活動を行わせるべきではないという意見に筆者も賛同する。
とはいえ、現実問題として、彼、ザイディ記者の政治目的は十分に達成されたとみていいだろう。なぜなら、靴を米大統領に投げつけたという行為によって、イラクは決して米国を歓迎していないという印象を世界に植え付けることに成功したからだ。
また、退任直前の「イラク電撃訪問」というブッシュ政権にとっての大ニュースを、少なくとも「イラクの靴」と「大統領の反射神経」という問題にすりかえることには成功している。
一方で、米国内では、大統領の身辺を案ずる真摯な意見よりも、今回の事件そのものをネタにしようという声が圧倒的に多い。すでにテレビ、ラジオ、またウェブ上でも盛んにジョークが飛び交っている。それらは、「風刺」という意味以上に、ブッシュ大統領の不人気を示す例として参考になる。CNNを中心に各メディアからジョークをいくつか拾ってみよう。
・「靴に対して失礼だ」(アラブ世界では「犬」「豚」「靴」は侮辱的なモノとされる)
・「あのイラク人記者はとんでもない野郎だ。なにしろ2度も的を外したんだ」
・「みなさん、就任8年目にしてやっと大統領の特技がみつかりました。それは……、ドッジボールです」
・「イラクを訪れていたブッシュ大統領は、当地で外交政策変更を行いました。大きく左に傾いたのです」
・「クリントン前大統領から、ブッシュ大統領に激励文が届きました。『あなたは、私以上に、靴や、皿や、家具を除けるのがうまい』」
こうした「靴に失礼だ」的なジョークは、ブッシュ大統領周辺にも広がりをみせている。ペリーノ米大統領報道官は、事件後初の会見でこう語っている。
「記者のみなさん、本日の会見の前にひとつお願いがあります。どうか、靴を脱いでください」
こうしたジョークを最初に発したのは、ほかでもない当事者のブッシュ米大統領だ。靴を投げつけられ、ザイディ記者が拘束された直後、「靴のサイズは10だな」と語り、その後、こう続けている。
「結構、身をかわすのがうまいだろう。もちろん、君たち(記者)の質問に対してだが……」
米大統領の危機に際した時のこの種の余裕は、ブッシュ大統領だけのものとは限らない。かつて、レーガン元大統領が狙撃された時、心配して病院に駆けつけたナンシー夫人に向かって、最初に投げかけた言葉も見事だった。
「ナンシー、ごめん。弾をよけそこなったよ」
“未曾有”すらジョークで
流せない麻生首相の偏狭
驚くのは、大統領側近がこうした事件の一部始終を隠すことなく映像に残していることだ。その理由は、大統領は24時間の公人であり、その存在が国家自体を体現し、いかなる場合であっても、国のトップの情報は国民に知らせるべきだという姿勢があるからだろう。
だからこそ、ジョークも活きるわけである。生命の危機に晒されている大統領が、余裕を持ってジョークを語る姿を知って、どれほどの国民の不安が解消されただろうか。実際は、かなりシビアな状態にあったレーガン元大統領だが、こうして米国民は「安心」という何よりの政治的恩恵を受けるのである。
翻って日本はどうだろう。漢字の読みを指摘され、ホテルのバー通いを咎められた首相は、ジョークで返す余裕もなく、本気になって若い記者たちを叱り飛ばす。景気対策、第二次補正、給付金――、自らが宣言してみせて、自らが取りやめたものを国民から批判されて、逆に怒っている始末だ。
なぜ、同じ不人気ながら、日米のトップが国民に見せる姿にはこんなにも差があるのだろうか。
自己の危機にですら余裕を失う偏狭な人物が、国家の危機に際してどういった対応をするのかということは容易に想像がつく。些細なことで余裕を失い、他者を攻撃する政治家を、いったい国民の誰が支持するというのだろうか。
景気は落ち込み、世知辛い世の中だからこそ、せめて、自国のリーダーくらいは超然とあって欲しいものだ。そしてそれこそが国民がもっとも望むリーダー像ではないか。
麻生首相と親しい藤本順一氏(ジャーナリスト)は、事務所を通じて、首相本人にこう進言したという。
「正月の書初めは、『未曾有』とか『踏襲』で決まりですね。それが宰相の余裕ですよ」
果たして、麻生首相にこうした進言を受け止める余裕はあるのだろうか。
国家のリーダーにとっては、「風刺」も「批判」も等しく、政権運営に必要な「情報」に他ならないである。欧米のリーダーにはそうした余裕があり、危機の時こそユーモアのセンスを忘れないという「矜持」がある。
「矜持」という言葉が何より好きな麻生首相にこそ、そうした余裕が必要なのではないだろうか。
http://www.47news.jp/PN/200811/PN2008111501000190.-.-.CI0003.jpg
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