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(回答先: クラスター爆弾 米次期政権は条約に参加せよ(毎日新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 7 月 18 日 17:06:26)
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20080718k0000m070141000c.html
記者の目:クラスター製造者への投融資中止=福原直樹
クラスター爆弾禁止条約案の採択と並行して、欧州の金融機関に「倫理的投融資」の考えが浸透しつつある。クラスター爆弾の非倫理性から製造者への投融資をやめた金融機関が、環境汚染など非倫理的行為を行う企業全般への投融資も自粛し始めたのだ。一方で日本の金融機関は、クラスター爆弾の製造企業への投融資を続けるなど流れに乗り遅れているように見える。欧州では、金融機関の倫理性を問う顧客が増えつつある。このままでは日本の金融機関は、世界の顧客に見放されるのではないか。
倫理的投融資が進展した大きな契機は、ベルギーの法制だった。06年、クラスター爆弾の製造を世界で初めて禁止。さらに07年には国内の金融機関に、爆弾製造者への投融資を禁止する世界初の法律を制定し、これに呼応する形で金融機関が動いたのだ。
まず、ベルギーの金融大手・KBCは、爆弾の製造企業約20社のリストを作成し、公表。06年までにこれら企業への投融資をやめたほか、対人地雷や生物兵器、劣化ウラン弾などの製造企業への投融資もやめた。これに続き、世界最大級の金融機関・アクサ(仏)や、オランダの年金基金なども同様の措置を取った。
この考えをさらに進めた好例が、北海油田の利益で作るノルウェーの年金基金(総資産約41兆円)だ。05年以降、クラスター爆弾や対人地雷の製造企業約10社への投融資を停止。さらに核兵器製造や人権侵害、環境汚染などを行う企業への投融資もやめた。
「我々の方針は、ノルウェー国民の良心そのものだ。非人道的な兵器製造と同様、環境汚染や人権侵害が非倫理的なことは、誰もが認めることだ」
基金で各企業を審査する「倫理委員会」のニステュエン委員長はそう話す。背景にあるのは「顧客のカネは、邪悪な目的には使えない」という信念だ。同様の考えの金融機関は、コーペラティブ・バンク(英)やASN銀行(オランダ)など欧州で増えており、動物虐待やギャンブル、たばこ関連の企業への投融資を自粛したところもある。
ここで指摘したいのが、欧州の金融機関の断固たる姿勢だ。例えばノルウェーの年金基金やKBCなどは、クラスター爆弾を製造していたとして「欧州航空防衛宇宙会社」(EADS)への投融資を一時やめた。EADSは軍事部門以外にも、民間機製造のエアバスなどを傘下に置く巨大国際企業で、クラスター爆弾の製造は企業活動のほんの一部だった。だがKBCのフーニンク融資担当は、こう力説した。
「カネに色はつかない。だから爆弾製造企業に融資すれば、1セント(ほんの一部)でも爆弾製造に回される危険性がある」
この考えの対極にあるのが、日本の銀行だった。
ベルギーの非政府組織「ネットワーク・フランデレン」は07年、過去3年間で世界のクラスター爆弾製造3企業に、日本の3大メガバンクが各100億〜300億円以上を投融資していたと指摘した。だが、日本のメガバンク幹部は融資の事実を認めたうえで、こう話した。
「融資使途が爆弾かそうでないかの線引きが難しく、融資はやめられない」
まさに「カネに色がない」という同じ理由で、両者の考え方は180度違ってしまったことになる。
20年前、警視庁を担当し、金融機関の不祥事を追ったことがある。当時はバブル経済のさなかで、背後に暴力団や実体のない「虚業家」が潜む企業に、融資する金融機関が多かった。だが、金融機関の答えは決まっていた。「カネに色はつけられない」。融資の使途の特定は難しい。利益さえ生めば預金者に還元できる……という理屈だ。
その後、暴力団などとの結びつきが表面化し、日本の金融機関の信頼は失墜した。無論、暴力団系の企業とクラスター爆弾の製造企業を同列には論じられない。だが当時と今と、日本の金融機関の考え方の根は同じなのではないか。
欧州では顧客の金融機関への目が厳しくなっている。「倫理的投融資」の姿勢を早期に打ち出したコーペラティブ・バンクの場合、調査で顧客の3割が、取引開始の理由にその「倫理的姿勢」を挙げた。一方、他行でこの理由から取引を始めた顧客は1%前後。「倫理的投資は利益をもたらす」(コーペラティブ・バンク)のも事実だ。
幸い日本にも「ここ一、二年、社会の目が厳しくなり、融資の厳格化を進めている」(大手銀行)との動きがある。日本の金融機関は、生き残りをかける意味でも、国際社会の流れを見極めるべきだと思う。(外信部)
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