★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK51 > 942.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080718k0000m070136000c.html
社説:クラスター爆弾 米次期政権は条約に参加せよ
市民を無差別に殺傷するクラスター爆弾を大量に保有し使用してきた米国が新政策を発表した。
日本を含む111カ国が「オスロ・プロセス」に加わり、5月、禁止条約案を採択した。参加しない米、中、露などの大国に対し使用禁止を求める国際圧力が高まっている。米国も抗しきれず、新しい政策の採用に追い込まれた。しかし、苦肉の策であり、その内容には重大な疑問がある。
国防総省の新政策は、2018年以降、子爆弾の不発率が1%以下の爆弾だけを使用するという内容だ。今後10年間は不発率1%超の旧型爆弾の使用を続ける。また旧型爆弾の外国への輸出も18年まで続ける。
各国がオスロ・プロセスで事実上の即時全面禁止と廃棄に同意したのに、米国が10年間も現状を維持するのは、軍縮の流れにさからうものであり、後退と批判されるべきだ。
米国は、05年以降は不発率が1%以下のクラスター爆弾しか製造しないという製造規制策を01年に発表した。人道上の問題は当時から政府内でも認識されていた。今回の新政策でも「意図しない市民への危害を最小限にとどめる必要性を認識する」と市民の殺傷を防ぐ原則を確認している。製造はやめても使い続けるのは矛盾ではないか。
クラスター爆弾が軍事上、効果的で有用だという公式の立場も揺らいでいる。マル国務次官補代行は5月、「アフガニスタンやイラクのような(テロリストと戦う)戦闘では、クラスター爆弾は適切ではないし役に立たない」と述べ、03年のイラク侵攻を最後に米軍は使っていないことを明らかにした。
広い地域を制圧する攻撃兵器であり、敵がどこにいるかわからない自爆テロやゲリラに対する兵器としては効果がない。議会調査局が6月、議会に提出した報告も「将来の米国の軍事作戦でクラスター爆弾の有用性はほとんどないだろう」と指摘している。
米国が保有するクラスター爆弾は親爆弾が550万個で子爆弾は7億2800万発にものぼる。禁止条約は新しい国際規範として影響力を持ち、加盟しない国であっても使用すれば国際的な非難を浴びるだろう。
ブッシュ政権のイラク戦争や単独行動主義で傷ついた米国のイメージを回復し、世界の平和と安全に指導力を示す。11月の選挙で選ばれる次の大統領がだれであれ、それが重要な課題となるのは確実だ。
基本姿勢の転換を世界に示すためにも、クラスター爆弾禁止条約への加盟を次期大統領に求めたい。米国が使用した爆弾による被害者を救援し、中露などに禁止を呼びかけることも重要だ。日本や英仏独などオスロ・プロセスに参加する米国の同盟国は、米国に政策変更を促すべきだ。
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK51掲示板
フォローアップ: