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(回答先: 歴史を変える新エネルギー技術の公開<大阪大学>と小泉という悪夢の時代 投稿者 国際評論家小野寺光一 日時 2008 年 5 月 22 日 05:02:20)
http://env01.cool.ne.jp/ss03/ss03039.htm より一部転載。
(以下転載)
核開発に反対する物理研究者の会通信 第39号2001年12月【怪物・EATER物語】核融合発電は実現不可能 ITER誘致の裏目的は核兵器 槌田 敦
【核融合にはリチウムなど希少資源が必要】
核融合反応は、化学反応と似ている。重水素(D)にトリチウム(T)を反応させて、中性子(n)とヘリウム(He)にし、熱(q〉を得る。D + T = n + He + q
燃料の重水素は、海水から得るなどという人がいるが、そのような工場はどこにもない。普通は湖か川の水を使う。ことさら「海水」というのは、誇大広告で大量に存在することを印象づける手段であり、奇弁術のひとつである。
ところで、核融合に必要な資源は重水素だけではなく、トリチウムが必要である。これは一般に金属元素のリチウム(Li) を原子炉に入れて、中性子照射して作る。または重水炉(たとえぱ、カナダのCANDU炉)という特殊な原発の副産物として生産される。特にリチウムは、希少資源のひとつであって、水爆の原料だからその資源はアメリカとロシアが抑えていている。この外にも、超電導磁石に使うニオブやこれを冷却するヘリウムなどが大量に必要になる。これを生産するのに大量の石油が消費される。
核融合炉に使用する鉄材は、定常トカマク炉の設計では2万4千トンと計算された。これは原発の20倍以上ということになる。これだけでも核融合は無意味であろう。その外、チタン、銅、錫などの金属資源も大量に使う。
そしてこの資源を金属精錬するのに石油を大量に使用することになる。石油枯渇説が消えたのになぜまだ核融合かというと、核融合推進派は核融合は温暖化ガスを出さないからと言い逃れしている。しかし、核融合の材料を作り、また運転するために石油を大量に使う。核融合が炭酸ガスを少ししか出さないとはどういうことか!
核融合推進派は、「ゆめ」の核融合にこだわり、「思考停止」状態に陥っている。
【燃えない物を無理に燃す固有の危険性】
核融合推進派は、核融合には固有の安全性があるという。その意味は、原発は核分裂反応を制御棒の出し入れで制御して運転しているので、この運転操作を誤ると、原子炉暴走の危険がある。事実、チェルノブイリ原発事故はこの核暴走から核爆発に至った事故であった。核融合では、そのような制御をしている訳ではないから、暴走などあり得ない。これを、推進派は核融合固有の安全性といっている。
しかし、固有の危険は暴走だけではない。核融合の場合、核分裂と違って、反応を制御する訳ではないから、暴走事故などあるはずがない。核融合推進派は、このような当然のことを言って、素人を煙に巻こうとしている。
核融合は、原子核を衝突させ、結合させて反応させる。ところが、原子核はともに正の電荷をもっているので、反発しあって結合したがらない。そこで、1億度という高温にして原子核を加速し、無理に結合させて反応させようというのである。これがなかなか達成できないから、核融合はもたもたすることになる。
この1 億度という温度は、真空槽の中の重水素とトリチウムの混合気体を加熱してイオン化(プラズマ状態)にし、これに強力な磁場を掛けることによって得られる。問題はこの無理から始まる。この磁場にはTNT火薬約60トンのエネルギーが溜まっている。この磁場は超電導磁石によって得られるが、超電導は不安定状態だから、クエンチといって突然一部が崩れて安定な常伝導になることがある。そうするとこの場所で熱化が進み、液体ヘリウムが気化して爆発し、装置を壊す可能性がある。
また、プラズマにはTNT火薬約1トンに相当するエネルギーが溜まっている。このプラズマも不安定で、しばしば崩れることがある(ディスラプションという)。この時、瞬時にエネルギーが放出されて、真空槽の壁を壊せば、内蔵しているトリチウムを全量大気中に放出することになる。
このように核融合には、燃えない物を無理に燃すことから生ずる固有の危険性がある。これは、原発とはまったく違った危険性であり、核融合炉が暴走しないことだけで、核融合の安全性をいうのは、やはり奇弁術のひとつである。
このような運転上の固有の危険だけでなく、核融合にはもっと本質的な固有の危険がある。それは、核融合で発生する中性子の数が、発生エネルギーあたり原発の4.5 倍もあり、しかも、発生する中性子のエネルギーが、核融合では14Mev(ミリオン・エレクトロン・ボルト)であって、核分裂の6倍もある。そして、原発ではこの中性子は冷却水などで消費され、またエネルギーは1億分の1程度に減速されてから原子炉の壁に衝突する。ところが、核融合ではこの14Mevの高エネルギーの中性子が全部いきなり真空槽の壁に衝突する。これによる装置の放射化と劣化は厳しいことになる。
したがって、核融合では真空槽の痛みが激しく、短期間に真空の維持ができなくなって、プラズマの温度が上がらなくなる。そして、無理に使えば真空槽の破壊となる。それに14Mevの中性子が真空槽の炉壁でどのような挙動をするのか、未だに分かっていない。この14Mevの大量の中性子は、核融合反応でなければ得られないから、ITERの真空槽が何回の核融合実験に耐えられるのか、まったく分かっていない。
その結果、真空槽は短期間の運転で放射性廃棄物になってしまう可能性がある。ITER 計画では、その量は運転終了時に、7万5千トンと発表された。設計変更の半値ITERでは3万9千トンというが、放射化した鉄材は真空槽だけでなく、周辺構造材や機器も廃棄物となり、またその他超電導材のニオブやコンクリートなどを含めればとてもその量では収まらないであろう。20年間使用すると言っているが、その場合おそらく一年に数回程度しか核融合実験はできないであろう。
高エネルギーの中性子による影響だけでなく、物体に多数回衝突して低エネルギーになった中性子も一筋縄ではいかない。この中性子の漏れだしを約2 メートルの厚さのコンクリート壁で防ぐという。しかし、壁を2メートルのコンクリートにすることはできても、広い天井のコンクリートは重くて、とても2 メートルの厚さにすることはできない。そのため、中性子は宇宙に向けて漏れ放題で、上空を通った航空機の乗客は被爆することになる。そのうえ、この中性子は大気中の水蒸気の水素原子に衝突して地表へ逆戻りし、住民を被曝させる。これをスカイシャインという。
それだけではない。低エネルギーの中性子は、普通の気体と同じ挙動も示し、配管の中を伝わって流れ出る。ITERなどの核融合炉は原発では考えられないくらい膨大な数の配管が、炉室との境のコンクリートを貫いているので、漏れ放題ということになる。
これらの対策をするには、膨大な予算が必要である。しかし、半値ITERでは、予算の節約でその対策は絶望に近い。
V.嘘ばかりついてきた核融合研究者
【1970年代では、物理学者のほとんどすべてが核融合推進】
私が、核融合に反対したのは、今から27 年前であった。当時、原研がJT60という核融合実験装置を建設するというので、大キャンペーンをはり、物理学会誌の核融合特集で「核融合が成功すれば、人類の生存期間は大幅に延長されることは確実である」とまで書いた(日本物理学会誌、1975年11月号)。そこで、私はこれに反論する投稿をした。
そのころ、原発に反対していた物理学者も、ほとんどすべてが核融合は原発よりクリーンと信じて、核融合を支持しており、公然と反対したのは私だけであった。したがって、会誌の審査委員の受け入れられるところとはならず、却下寸前となった。
しかし、当時の物理学会誌の有馬朗人編集委員長(後の東大学長)には、会って直接意見を聞いてもらった。そして、この投稿論文をふたつに分けて採用してもらうことができた(日本物理学会誌、1976年8月号p598と12月号p938)。前編は『核融合発電の限界』であり、後編は『核融合発電の限界と資源物理学』であって、「開放系のエントロピー論」というその後の私の研究方向を決める最初の論文となった。
【1970年代の核融合推進の理由】
当時の核融合推進の理由は次の5項目であった。@地上の太陽、A核融合は安価、B資源無尽蔵、C原発よりクリーン、D固有の安全性。
地上の太陽。これは、まったくのウソである。太陽の中心の温度は1400 万度であって、ほとんど核融合していない。その発生のエネルギーは、1g,1秒あたりわずか2ergに過ぎない。蚊の鳴く程度と言えばよいであろう。これに対して、人間の発熱量は、20,000ergだから、太陽の1万倍も発熱している。太陽の発熱量が大きいのは図体が大きいからである。核融合炉は、『地上の太陽』ではなくて、『地上の超新星』である。この超新星の爆発を装置の中で実現しようとしていることにそもそもの無理がある。
安価。核融合をするには巨大な装置が必要なことが分かって、そのウソはすぐにばれてしまい、言わなくなった。
資源無尽蔵、原発よりクリーン、固有の安全性については、すでに述べた。
【ITERではなく、怪物・EATER】
このようなウソのうえに、核融合研究は、遅々として進まない。砂漢の逃げ水のように完成目標は遠のいていく。1950年代には、10年後に完成すると言っていた。それが、10年研究すると10年完成時期が伸びることになって、50年研究した現在、完成時期は50年後という。量初から言えば100年後である。
核融合を研究しているのは、原研のJT60だけではない。大学での核融合開発費用も巨額である。すでに累積額は約1兆円で、世帯あたり約3万円になる。そして、やっと、わずかに核融合反応の中性子が発生したに過ぎない。
そのうえ、ITERは怪物で、『big EATER(大食い)』という方が実態を正しく表現できる。この怪物は、膨大な資金と資源を喰らい、膨大な放射性廃棄物を垂れ流す。
【核融合は核分裂と本質的に異ならない】
東大の山地氏は、すでに引用した論文の中で次のように言っている。
「核構造の中に閉じ込められたエネルギーの開放という点で核融合は核分裂と本質的に異なる点はなく、資源・環境の点からも決定的に有利とはいえない。ましてや、経済性は未知数であり、実用化を目指して今ただちにプロジェクト化する必要性は認められない。(中略)。実用炉として想定されているDT反応では、Li資源の制約、中性子による誘導放射能の問題がある。
核融合の利用法として、電源としての経済性・環境特性に決定的に有利な点はない。(中略)。「地上の太陽」の実現というロマンだけで核融合の開発が許された時代は終わっている」、と。
そして、彼は、大型装置ではなく計算で代用すべきと結論したのである。
Y.しかも、低コストlTERはもっと問題
【半値ITERは片肺核融合】
ITER は、当初計画では、100億ドル(1兆円)計画であった。これを米欧露日の4極で分担することにしていた。しかし、米が抜けると予想され、また実質的には露も抜けて、欧日だけでは負担できない。そこで、何の根拠もなく半額にして、compact ITERと呼ぶことになった。費用の節約で、手抜きすることにしたのである。
その結果、ITER の性能は大幅にダウンすることになって、十分な加熱も無理となっている。結局、DT燃焼の実験としてはアメリカのTFTR、ヨーロッパのJETがすでに発表した程度の成果しか望めないことになり、何のために高額の投資か、まったく意味不明の『半値・EATER』となった。
【トリチウムの確保が困難】
建設費削減で、このITERではDT核融合に必要なトリチウムを生産しないことにした。そこでトリチウムを全量を購入することになるが、その輸送の危険については何ら考えられていない。
また、トリチウムは、後に詳しく述べるが、水爆や中性子爆弾の材料である。アメリカはこの不足に悩み、原発を改造してトリチウムを生産しようとしている。したがって、簡単にはトリチウムは買えないことになる。その場合、ITERを誘致した国は、自国の原発を改造し、発電効率を抑えて、トリチウムを生産することになる。
【かえって高価となる半値ITER】
政府は、日本がこの半値ITER を誘致する場合、7000億円の負担が必要と試算した(朝日01.11.25)。これは、おそらく原研の試算であろうが、その内容は、建設費5000億円、運営費700億円、運転費毎年300億円プラス解体費の合計で約13,000万円、その55%負担として7000億円という。
まず、建設費について、原研のJT60でさえ建設費は2000億円を超えている。これよりもはるかに大きいITERが5000億円で済むはずがない。
JT60 では、当初建設費は1000億円と言っていたが、建設開始後2000億円となり、最終的には2800億円となった。これからも分かるように、研究者は常に始めは安く建設できるかのように言い、建設を始めてから、政府に泣きつくという方法を取る。打ち切れば、それまでの開発費はパーになる、と脅すのである。この予算獲得の方法は、動燃の高速炉『もんじゅ』でも、再処理工場でも同様である。したがって、建設費は当初計画の2倍以上ということになる。建設費は、 ITERでは、すくなくとも1兆円となるであろう。
運転維持費について、ITERは費用節約のため安価なステンレスを使用することになるから、装置がすぐに放射化し、長谷川氏のいうように1年前後でオシャカになってしまうだろう。年300億円、20年で6000億円でおさまる訳がない。運転維持費は、2兆円を超えることになるであろう。
そして、原発の30倍を超える放射性廃棄物の処理費用は、1兆円を超えるであろう。建設費、運転費、廃棄物処理費を合計すると、4兆円を超えることになる。
政府試算では、その55% が誘致国の負担ということになるが、アメリカはすでに脱退している。ロシアも支払い能力はない。残るはEUであるが、残りの45%を引き受けることはありえない。誘致に名乗りを揚げもしないのだから、せいぜい10%であろう。その結果、日本は、3兆6千億円の負担をすることになる。建設が始まれば、途中で止めることの難しい国際協力であることにも注目する必要がある。
このITER 開発の金額は、小泉内閣が約束した国債30兆円の1割を超え、世帯あたりにして10万円負担という巨費である。すでに医療への政府支出も減らされることになった。エネルギー問題では、九州最後の池島炭鉱も、政府の補助が減らされて採算がとれず、閉鎖された(日経01.11.29)。残る日本の炭鉱は北海道の太平洋炭鉱だけとなった。
核融合は3兆6千億円もの費用をかけるに値しない。エネルギー開発なら、炭鉱への補助金や石油の備蓄など、他にすることがたくさんある。これは、すでに述べた日経新聞の社説を再引用するまでもなく、自明である。
(転載終わり)
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