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【労働者が食い物にされているに違いない】針路さがして(中)生きる『溜め』再生を(下)社会の役割取り戻せ(東京新聞)
http://www.asyura2.com/08/senkyo49/msg/251.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 4 月 13 日 16:33:41: twUjz/PjYItws
 

(回答先: 【労働者が食い物にされているに違いない】針路さがして(上) 『何でもあり』に抵抗(東京新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 4 月 13 日 16:27:32)

▽【結いの心】
針路さがして(中) 生きる『溜め』再生を
2008年4月12日
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/yui/news/080412.html

家族、お金、人間関係…。あらゆる“溜め”を失った状態が貧困である=東京都内で


 もやいの事務局長、湯浅誠(38)には、小学一、二年のころの記憶が鮮明に残っている。

 車いす生活だった三つ上の兄のために、家にはいつもボランティアの大学生たちがいた。風船でやったバレーボールや、壁にぶつけて跳ね返るラグビーボールの捕りっこ。晩ご飯を食べて帰る家族同然のお兄さんに「楽しい思い出」をつくってもらったという感謝の気持ちが、路上生活者ら弱者の側に立つ今につながっている。

 なぜ路上生活をする事態になるのか、この十年、考えてきた。

 路上生活になった若者たちがもやいで打ち明ける。「頼れる人がいないんです」「職に就けないうちにだんだん自信をなくして」。話を聞くうち「お金がなくなった、というだけの問題じゃない」と気づいた。

 湯浅は、貧乏と貧困を「貧乏は金がない状態。貧困はあらゆる“溜(た)め”をなくした状態」と区別する。

 貯金や収入があることはお金の溜め。家族や友人、近所との支え合いは人間関係の溜め。能力や経験によって支えられる自信は気持ちの溜め。いずれの溜めもなくした時、人は絆(きずな)を断たれて孤立し、居場所を失う。

 アパート入居の保証人を始めたころ、もやいの理事長、稲葉剛(38)は、資金援助の申し出が、都市の企業や裕福な層より、地方の年金暮らしのお年寄りに多かったことを、印象的に覚えている。

 数千円から一万円。時には気持ちがこもった手紙も添えられた。「自分も若い時に苦労したから、少しだけど役立ててください」「つらい時、人にお世話になったので、恩返しのつもりです」。助け合いの思いがあった。

 稲葉は思う。地方にはまだ、困った人たちに「溜め」をつくってあげる人たちがいる。逆に、地方から人とカネを吸い集め膨張する都市は「溜め」の井戸が涸(か)れ、渇ききっている。

 もやいでは、夫から暴力を受けた女性スタッフが被害女性たちで語り合う場を設けたり、二十代スタッフが定職に就けない若者たちがくつろぐ集まりをつくるなど、活動の幅を広げる。

 「自分がやりたいから、人にしてあげる。それがもやいのいいところ」

 稲葉と湯浅は「溜め」をつくる場がもやいで再生されていくのを、見守っている。 =文中敬称略

▽【結いの心】
針路さがして(下) 社会の役割取り戻せ
2008年4月13日
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/yui/news/080413.html

生活相談の終わった夜に行われるスタッフ会議。時には深夜に及ぶ=新宿区で


 もやいの誰もが限界に気付き、将来を考えあぐねる。理事長の稲葉剛(38)は「つながることが大切だと思って『誰でも来てください』ってぼくらは言ってる。でも、気心が知れた親密な関係って、ある程度閉じてないとできない。なのに外に開かれている。根本的に矛盾してるんですよね、もやいは」と自嘲(じちょう)気味に笑う。

 稲葉は最近、ある男性の死にショックを受けた。こもれび荘からわずか数十メートルの神田川の川べりでその老人の遺体が見つかったのは真冬。稲葉が知ったのは夏になってからだった。「こんなに近くで人が亡くなったのに、気が付くことさえできなかった」。路上生活者の相談は増え、電話での問い合わせは全国から。一方で、すぐ足元に目が届かない現実。いら立ちは募る。

 「そういえば、最近あの人来ていないねぇ」

 壁に張られた集合写真を見て、宇鉄(うてつ)昭子(38)がつぶやいた。カフェの来客や新たな相談者が増えた一方、昔からの仲間が来づらくなっている。

 「引っ込み思案や交わるのが苦手な人は、新しい人が現れると逃げるようにいなくなってしまう」と、宇鉄はため息をつく。誰でも助けてくれる−そんな幻想をもやいに抱いて来る人は、後を絶たない。

 「この方の相談、お願いします!」。こもれび荘でのスタッフ会議の最中、突然、ドアが開き、通り掛かりの二十代女性が路上生活者の男性の手を引いて入ってきた。「おれは中に入らない! おれは別にこのままでいいんだ!」。男性がいら立たしそうに言い放ち立ち去るのを見て、女性は泣きだした。事情を聴くと、路上の男性を見て、矢も盾もたまらず連れてきた、という。

 「最近、こういうことが多いんですよ」。女性をなだめ、見送った後、スタッフは「人と人がつながるには時間がかかる。もやいが何でもできるなんて、あり得ないんだよね」と疲れた顔で首を振った。

 稲葉は最近、親しい住職に「昔からお寺がやっていたことを、もやいがやっている」と言われ、あらためて思った。「つながりづくりは本来、社会の役割。もやいだけではなく社会全体で考えなきゃいけない」。もともとは地域の共同体にあった場所。そんな場所が東京のような大都会に戻るのか。「あきらめたくない」。もやいの誰もが思っている。 =文中敬称略

 (「結いの心・市場原理と街」は終わります)

  ■ ■ 

 取材班・秦融、布施谷航、島崎諭生 写真・笠原和則

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■関連投稿―社会問題版
交流のカフェ(1) 絆築く『皆の居場所』【都会の片隅に生まれた「カフェ」から、結いの価値を見つめ直したい】(東京新聞)
http://www.asyura2.com/07/social5/msg/492.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 4 月 13 日

【結いの心】新たな一歩(上)〜(下)頼られる喜び知った、相談は『お互いさま』、『弱さ』見せてもいい(東京新聞)
http://www.asyura2.com/07/social5/msg/494.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 4 月 13 日

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