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http://www.tokyo-np.co.jp/feature/yui/news/080411.html
2008年4月11日
もやいのスタッフと話す湯浅誠さん(左)=新宿区で
労働者が食い物にされているに違いない−。貧困の現場一筋に十年以上歩んできた直感だった。
もやいの事務局長、湯浅誠(38)は昨年九月、「派遣ユニオン」と協力し、東京都の建設請負会社に日雇い労働者として登録。倒産したサウナの解体現場に派遣された。がれきを運び出す作業が十時間以上で七千七百円。汗をぬぐいながら見た支給明細書にぴんときた。「おかしい」。天引きされた安全協力費と福利厚生費計五百円の根拠はどこにもない。
翌月、作業員に呼び掛け労働組合をつくる。「えっ」「本当か?」。給料を受け取りに来た作業員に「おかしな天引きがある」と話すと、驚いて何人もが足を止めた。不当な天引きを夢にも思わず、日当の現金を黙って受け取っていた。請求しない限り、会社は明細書も配っていなかった。
初めて臨む団交。ところが…。「分かりました。過去にさかのぼって返還しましょう」。クレームを予想していたかのような会社側の反応に「違法と分かって労働者を食い物にした」との確信が深まる。
“潜入”した建設請負会社を当初から「怪しい」とにらんだのは、日雇い派遣の若者たちを対象に宿泊施設を経営していたからだ。湯浅は実際に十二人同宿の部屋に泊まり、仲介される仕事の内容や料金システムから「お金がたまらない仕組み」と見抜いた。交渉は今でも完全には決着していない。
この建設請負会社だけではない。二重派遣、偽装請負…業界では労働者を商品化し、不当・違法行為がまかり通る。カネもうけのための「何でもあり」が横行。そんな企業のトップが最近まで日本経団連の若手理事として、スポットライトを浴びていた。
「路上の若者たちが増え続け、いよいよビジネスのターゲットになる時代が来た。安い賃金で使われ、割高の家賃を払わされる。利用者の蓄えは増えず、貧困から抜け出せない」
悪質消費者金融、高率のピンハネをする派遣業者…。立場が弱い貧しい人の足元を見て利益を吸いあげる商売を、湯浅は「貧困ビジネス」と呼ぶ。
「世の中に貢献する社会的企業というなら貧困層の手助けにならなければ」。湯浅は今も自ら発足させた労組の副委員長を務める。貧しい人らの輪の中に入り、地道な抵抗を続ける。 =文中敬称略
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社会の流れにあらがうように都会に結いをはくぐむもやいはどこへ向かうのか。とるべき針路を考える。
<派遣会社の不当天引き問題> 派遣会社が「データ装備費」など不明朗な名目で給与から1日数百円を天引きしていたことが表面化。「フルキャスト」(東京都)は全額返還を決定。「グッドウィル」(同)は昨年8月、労働組合が訴え訴訟になった。
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