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(回答先: 社説:新銀行東京出資 知事や議会はどう責任取る(毎日新聞) 投稿者 gataro 日時 2008 年 3 月 26 日 08:56:36)
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_b7f9.html
2008年3月26日 (水)
新銀行東京への追加出資 PartU:まやかしの付帯決議は石原都政に追随する免罪符にならない
採決を目前に控えて
新銀行東京への追加出資案は今日、都議会の予算特別委員会で採決される。各紙の世論調査によると、都民の7割以上が追加出資に反対している。それでも都議会与党の自民・公明両党は賛成する意向と伝えられている。その際、両党は、
1.400億円が毀損されないよう、再建計画に基づいて全 力を挙げる。
2.外部委員による監視組織を整備する。
3.再度の追加出資は認めない。
などを盛り込んだ付帯決議を付けて、無条件の賛成ではないことをアピールする準備を進めているという。しかし、このような決議を付けても追加出資に賛成するアリバイづくりにはならない。以下は、そう考える理由の説明である。
280億円は損失補てんのために取り崩すことを織り込み済み
本年3月に都産業労働局が都議会経済・港湾委員会の要求に応じて提出した資料の中の「追加出資400億円の考え方」と題する資料によると、今回の追加出資は、「新BIS規制〔自己資本比率規制のこと――醍醐〕により、従来の自己資本比率確保に加え、貸倒引当金ではカバーできない将来発生の可能性がある損失を自己資本で手当」するためと記され、400億円を次のようなリスクへの備えとして割り当てるとしている。
1.貸出金が回収できなくなるリスク、保有資産に損失が 生じるリスク等々への備え 280億円
2.銀行における最低所要自己資本比率を確保するため 80億円
3.その他(中小企業のニーズにきめ細かに対応するため の資本、災害発生等のリスクに対応するための資本) 40億円
このうち、80億円は自己資本比率規制(国内業務行の場合は4%)をクリアするために必要な自己資本という意味でひとまず別にするとして、再建計画では400億円のうち280億円は貸倒損失や保有する有価証券の値下がり損失の補てんのために取り崩すことを織り込み済みなのである。もちろん、この場合の損失は予想の潜在的な損失であって、確定した損失ではない。しかし、2007年9月末の中間決算の段階でいうと、新銀行東京には次のとおり、金融再生法で不良債権に分類される債権(破産更生債権、危険債権)のうち担保・保証等で保全もされず、貸倒引当金でカバーもされていないものが約102億円存在する。また、保有する有価証券には約20億円の評価損(値下がり損)が発生している。
表1 新銀行東京の不良債権の保全状況
(2007年9月末現在)
(単位:百万円・%)
不良債権(A) 29,066
担保・保証等による保全額(B) 538
貸倒引当金(C) 18,310
非保全額(A−B−C) 10,217
保全率(B+C)/A 64.85%
このように、再建計画の想定どおりに経営が進捗したとしても、すでに追加出資額280億円のうちの120億円前後は不良債権の貸倒損失や保有する有価証券の値下がり損失を補てんするために毀損される可能性が生じているのである。こうした現実を直視せず、「400億円が毀損されないよう、再建計画に基づいて全力を挙げる」と決議しても<おまじない>にしかならない。
新銀行東京は貸し手を選別できる銀行ではなく、借り手に選別される銀行
では付帯決議案の二つ目の<外部委員による監視組織の整備>はどうか? ここでの監視組織とは新銀行東京のずさんな与信審査体制の改善が目的のようである。その理由として新銀行東京の経営破たんは甘い、ずさんな貸出審査にあったという指摘が多い。しかし、新銀行東京はその出自からして、厳格な審査体制の整備という一般論が通じる銀行ではなかったことを認識することが重要である。その理由は新銀行東京の預貸金の利子構造の特異性にある。後発の新銀行東京は預金獲得のために開業以来4回にわたる預金キャンペーンを実施し、民間銀行の利率を大幅に上回る利率を付けていた。たとえば、2006年5月から9月にかけて5年定期で1.7%、3年定期で1.5%の利率で預金を集めた。これは当時の国内行の5〜6年物の定期預金の平均金利0.51〜0.79%と比べて破格の水準であった。今年1月末の預金残高4,000億円のうちの約1,250億円はこうした破格の水準の利率が付いた定期預金だった。
ちなみに、新銀行東京の預金債券等利回りを地方銀行のそれと比較すると次のとおり、同行の利回りが地方銀行より4倍かそれ以上、高かったことがわかる。
表2 新銀行東京と地方銀行の預金債券利回り
の比較(%)
2004 2005 2006 2007中間
地方銀行 0.04 0.03 0.11 0.25
地方銀行U 0.07 0.07 0.14 0.28
新銀行東京 0.55 0.68 1.03 1.12
(出所)地方銀行は『全国銀行財務諸表分析』各
年版、新銀行東京は各期決算説明資料
そうなると、順ざやを保ちつつ所要の経費や信用リスク分を上乗せして決まる新銀行東京の貸出金利は他行と比べ、割高にならざるを得ない。それなら、信用リスクが低い優良な事業者は割高な利率の新銀行東京の融資を受けるよりも、自己の相対的に低い信用リスクに見合った利率で融資に応じてくれる他行の貸出を選ぶことになる。新銀行東京の預貸率が38%前後と異常に低いのは、融資先を確保するのに四苦八苦する同行の実態を物語っている。逆に、それでも、新銀行東京から融資を受ける事業者は他の金融機関からは融資を受けられない信用リスクの高い顧客になってしまい、どうしても貸倒れ率が高くなる。
このことは、新銀行東京が貸し手を選別できる銀行ではなく、借り手に選別される銀行であったことを意味している。かといって、新銀行東京が融資にあたって審査を厳しくすると、貸倒損失を引き下げる効果はあっても、借り手がさらに狭まり、融資実績はいっそう細る結果になる。同行が審査体制を問題にする以前に、借り手に選別される銀行であったとみなすゆえんである。
付帯決議は免罪符にならない
以上のような検討結果から、都議会与党(自民党、公明党)が新銀行東京への400億円の追加出資案に賛成する条件として準備している付帯決議案は追加融資の毀損を防ぐ手段としても、新銀行東京の再建を図る手段としても無力同然の便法と言って差し支えない。これでは、無謀な追加出資の免罪符にならないことを両党は思い知るべきである。また、東京都民はこうしたまやかしの付帯決議で無謀な石原都政への追随を糊塗しようとする都議会議員の行動を鋭く見極める必要がある。
融資の引き継ぎ先の確保・あっせん
――石原都政に求められる真の責任――
新銀行東京の支配株主でもある石原都政に今、真に求められるのは死に体の銀行を公金を投入して延命させることではなく、新銀行東京の債権・債務を丁寧に仕訳して清算を進めながら、引き続き、融資を必要とする中小企業等について、現在の融資残高を都の制度融資に切り替える、あるいは民間金融機関の融資へとスムーズに移行できるよう、あっせん等を責任を持って完遂することである。
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