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米軍再編に揺れる山口・岩国 落選の前市長、何を思う(毎日新聞)
http://www.asyura2.com/08/senkyo48/msg/339.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 3 月 12 日 00:31:54: twUjz/PjYItws
 

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080311dde012010058000c.html

◇井原勝介氏に聞く

 米軍再編に伴う岩国基地への空母艦載機移駐を容認するかしないかを争った山口県岩国市長選。当選した福田良彦市長(37)は3月市議会の冒頭、容認する方針を表明。国は凍結していた新市庁舎建設補助金(35億円)を交付する見通しだ。“基地のまちの優等生”とされる岩国でも初めて騒音訴訟が起こされようとしている今、敗れた井原勝介前市長(57)は、何を考えているのか。【山田道子】

 ◇我がまちのこと、決めるのは市民で

 ◇国のやり方に危機感 補助金頼り強く反省

 −−福田市長が厚木基地からの艦載機移駐を基本的に受け入れる方針を示しました。

 井原氏 容認することは分かっていたが、拙速だ。受け入れを認めてお金をもらってしまったら、安全安心策について納得できない場合でも受け入れ拒否はできなくなる。国としっかり協議し、その結果を議会と市民に十分に説明し理解を得ることが先決ではないか。

 −−選挙結果は1800票の小差でした。06年3月の住民投票では9割が移駐反対。同4月の市町村合併後の市長選でも3万票差で圧勝しました。

 井原氏 住民投票を経て自らのまちのことは自ら決めるという住民意識は高まっていたと思うし、私もそれに自信を持っていた。しかし2月の市長選では補助金凍結という国の圧力で市民の不安が高まっていたうえに、争点が艦載機受け入れの是非から財政問題にすり替えられてしまった。市民の不安を取り除く努力不足は反省している。財政が厳しい中、合併した町村部対策が十分でなかったことも影響した。

 −−地方自治とは何かが問われました。

 井原氏 補助金は沖縄・普天間基地の空中給油機12機の受け入れ合意(97年)に基づくものだった。後から浮上した米軍再編を受け入れないからと凍結したのは国の暴挙だ。米軍再編には多くの自治体が関係しているし、基地のない自治体にとっても人ごとではない。国のやり方に危機感を持ったのではないか。

 −−これまで空中給油機やハワイの大型ヘリの受け入れに合意してきましたね。

 井原氏 未来永劫(えいごう)米軍基地があるというのは普通の状態ではないが、市長としてはあるものは受け入れて協力するという立場でやってきた。しかし、空母艦載機59機がやってくると基地の規模は2倍になる。しかも激しい訓練をすることで有名な部隊だ。これ以上負担を市民にかけられないと判断した。それでも安全安心策について納得できれば譲歩してもいいと考え、条件も提示した。ところが国は全く聞く耳を持たず「アメとムチ」で一方的に押し付けようとしてきた。

 −−「外交安保は国の専管事項」といいますが、地方の意見を反映できる仕組みが必要ではないですか。

 井原氏 私は国に対し2回ほど、協議機関を作って歩み寄ろうと提案した。しかし国の答えは「容認しなければ作らない」だった。その前段階でも、当時の防衛庁長官から「正式発表前には必ず連絡する」と約束いただいたが、すべてほごにされた。地方との信頼関係を築くことなく金にものを言わせるやり方で、国防が成り立つのか。

 −−米軍基地滑走路の沖合移設工事と、その埋め立て土砂を採取した愛宕山の開発も進んでいます。

 井原氏 沖合移設は騒音や安全対策だったのが、艦載機受け入れのためになり、公有水面の埋め立ての違法性を問う行政訴訟が起きている。爆音訴訟の動きも具体化している。愛宕山も大規模団地を開発する際の法律を適用したのに、そこに米軍住宅を造ることが許されるのかという議論は当然あり得るだろう。市民の強硬な反発はアメリカも困るのではないか。被爆地・広島の近くに原子力空母艦載機が来る意味も考えてほしい。

 −−国の交付金や補助金に頼ってきたことをどのように考えますか。

 井原氏 悪い癖だが、基地のあるまちは何かを作る際、防衛省関連の補助金が使えるかをまず考えてしまう。だから防衛省はそれを使うことで基地のまちをコントロールし、我々もそれに慣らされている面があるのは事実だ。でも結局、良いまちになっていないのではないかという強い反省もある。岩国にとってこれが必要だから作ろうではなく、補助金が出るからこれを作ろうでは、いびつなまちになってしまう。

 岩国には戦後60年で1000億円近い金が(交付金や補助金として)防衛省から下りているが、それで近隣のまちより格段よくなったかというとそうではない。滑走路の沖合移設工事は97年に始まり、2400億円が投下されたが、地元に大きな経済効果はなく、米軍移転の格好の受け皿になってしまった。基地に頼ってまちを発展させようとしたものの限られた効果しかなく、逆に基地の負担が一層増すという連鎖は断ち切らなくてはならない。

 −−今後、どう行動しますか?

 井原氏 再編問題の決着がついたわけではないし、自らのまちのことを自らが決めるという民主主義の大きな流れを逆行させてはならない。これからも言うべきことは言っていく。

 ◇新藤宗幸・千葉大教授「地方の依存体質が出た」

 ◇住民による騒音訴訟の動きも

 ほぼ完成した新庁舎から歩いて数分の所に井原氏の事務所はあった。壁には市外からの激励メッセージが張られ、2月の市長選に対する関心の高さをうかがわせた。関心を持つ一人、新藤宗幸千葉大教授(行政学)は「三位一体改革に加え小泉政権の経済政策で地方経済は非常に落ち込んだ。岩国も例外ではなく、少しでも多く補助金をもらったほうがいいという国への依存体質が出た。市町村合併の影響も大きかった」と選挙結果を分析した。「住民投票の成果を活(い)かす岩国市民の会」は2日、厚木爆音訴訟原告団を招き勉強会を開いた。代表の大川清さんは「地方のまちが希望を持てるようにするのが国なのに、市を分断したのは許せない。地域のしがらみの中で生きていかざるを得なかったが、これからは声を上げていく」と断言。爆音訴訟で被害が認定されたのと同じ騒音レベルの住民に原告団への参加を呼びかけている。

 岩国基地の滑走路沖合移設事業目的が艦載機移駐計画で変わったとして県を相手取り、埋め立て変更の承認取り消しを求める訴訟の原告の一人、田村順玄岩国市議は「米軍再編の完了年度は2014年。沖縄・辺野古でも反対運動でヘリポートの建設計画は足止めされている。それに学び、他の自治体のためにもがんばりたい」と話した。

 地方分権が叫ばれながら、道路特定財源を巡ってもほとんどの首長が存続を求めている。新藤氏は「福田康夫政権では、族議員がばっこして岩国のように地元にお金を持っていこうとする自民党全盛期の土建政治に戻ったようだ」と指摘した。

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 ■人物略歴

 ◇いはら・かつすけ

 1950年、山口県錦町(現岩国市)生まれ。岩国高、東大法学部卒業後、76年旧労働省入省。タイ大使館1等書記官、労相秘書官、労働福祉事業団総務部長などを経て、99年岩国市長初当選。新市庁舎建設資金を合併特例債で穴埋めする予算案を4回市議会に否決され3期目の昨年12月、「民意を問う」と辞職した。

毎日新聞 2008年3月11日 東京夕刊

■関連投稿
【アメとムチ、もう許すな!】「国と地方」に直面する岩国の新市長(毎日新聞)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 2 月 27 日

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