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【新自由主義政策下では、破綻して当たり前】「新銀行東京」は、業務を停止して、会社清算するべきだ【BLOG「猫の教室」】
http://www.asyura2.com/08/senkyo48/msg/334.html
投稿者 一市民 日時 2008 年 3 月 11 日 18:23:37: ya1mGpcrMdyAE
 

(回答先: 石原慎太郎知事はなぜ逮捕されないのか(日刊ゲンダイ) 投稿者 スタン反戦 日時 2008 年 3 月 11 日 10:58:50)

http://heiwawomamorou.seesaa.net/article/89118449.html
2008年03月11日
「新銀行東京」は、業務を停止して、会社清算するべきだ

 東京都の石原慎太郎知事の肝いりで設立された、「新銀行東京」が、1000億円を超える損失を出して、問題となっている。都知事側は、経営陣を入れ替え、さらに400億円の追加出資をして、営業を継続するとしているが、議会では、都知事の責任や、400億円の追加出資の妥当性などをめぐって、議論される予定になっている。

 まず、あらかじめ断わっておくが、普段の記事からご想像いただけるとおり、私は極右の石原都知事が大嫌いである。
 しかし、今日のこの記事においては、知事への好悪の感情による偏った記事を書くつもりはない。

 新銀行東京は、3年前、石原都知事の発案で、現在の新自由主義経済体制のもとで、厳しい競争にさらされ、経営が困窮している中小企業を救済するために、一般の銀行より緩やかな審査基準で、低利の融資を行うことを目的に、都が1000億円を出資して設立されたものである。

 私は、この施策を間違いと断定することはできない。東京都の産業を支える中小企業は、東京都に本社を置く大企業からの税収入に比べれば、都の財政への寄与は少ないかもしれないが、東京の地場産業として、地元の雇用を多く引き受けてきた存在であり、中小企業の経営悪化による倒産の続出は、単に税収の悪化という問題を超えて、東京と言う都市の活力を削いでしまう危険があった。

 だから、公的金融機関を作り、中小企業を支えようという、設立の趣旨は、批判されるものでは無いと思う。
 しかし、設立時に既に予想されていたはずであるが、一般の金融機関から融資を断られるほど経営が行き詰っている中小企業への融資は、その企業の倒産による、債権回収不能、つまりは「貸し倒れ」による損失のリスクが高いことは、誰にでもわかる。

 それでも設立した以上は、最初から経費をとことん切り詰め、極論を言えば、職員は全員都の職員として扱いその人件費を都がすべて負担するなど、一般金融機関以上の経費削減が必須条件だったはずだ。
 ところが、新銀行東京は、通常の銀行と同じ株式会社として設立され、役員、職員には、一般の金融機関の経験者を採用して業務を開始した。
 都の目的を承知している以上、新銀行東京の経営陣、職員は、予想されたリスクを負ってでも、緩やかな審査基準で、他の銀行などに融資を断られるような企業にも融資を行ったのである。

 もし、新自由主義による市場競争原理の暴虐がこれほどで無ければ、景気が回復し、その過程で融資先の中小企業の経営が立ち直り、融資の回収ができた可能性はあったはずだ。
 しかし、そうはならなかった。それは、予想されていたことでもある。しかし、都という行政機関として、そのリスクを覚悟の上で、新銀行東京が融資を続けていたことを、経営陣の見通しが甘かったと言って、非難することは誰にもできないと思う。

 問題は、上記のリスクが現実のものとなり、貸し倒れが続出し、損失が1000億円以上と、原資を上回り、債務超過状態になるほどに、経営が悪化したという現状にどう対処するかである。
 石原都知事側は、このままでは損失を回収できず、業務ができなくなるとして、金額の根拠を示さずに、400億円の追加出資を議会に求めている。
 私は、現在の内外の経済情勢を勘案するに、新銀行東京が、従来と同じ方針で業務を続けても、損失を拡大するだけであると考える。
 中小企業の経営が悪くなった根本の問題である、新自由主義政策を、政府が続けている限り、また、今、アメリカのバブルが崩壊する危機がささやかれ始めている時に、3年前よりも悪化した経済状態で、同じことを続けるのは無謀である。

 また、新銀行東京の損失の拡大を、当初の設立趣旨に沿っただけの前経営陣にすべて責任があるとして批判する、現経営陣と、都知事側が、設立趣旨を見直して、これまでの損失を穴埋めしていくための利益をだすため、審査基準を厳しくし、融資して儲かる企業だけを相手に業務を続けるというのでは、一般の金融機関と同じであり、都が出資して、中小企業救済のために作られたはずの新銀行東京の存在意義は失われる。

 というわけで、基本となるビジネスモデルと見通しがはずれ、現実の経済がさらに悪化する方向に向かっている今、新銀行東京が存続する意義は失われていると考えるべきだ。
 ここで追加出資をして、業務を継続するよりも、撤退する方が得策である。そうでないと、追加出資の400億円も回収できなくなって、泥沼に落ち込んでいくだけである。

 では、どのようにして撤退してその後始末をするかというと、まず、現在貸し出しをしている債権はすべて都が買い取ることにする。都は、その債権の回収期限を延長することで、中小企業の負担を減らし、長期的に回収していくしかない。貸し倒れが発生したら、それは破産関係法規上、もはやどうしようもない。行政の損として、予算内で処理するしかない。
 しかし、こうすることで、株式会社新銀行東京は倒産する可能性があるが、東京都が倒産(自治体で言う財政再建団体化)する可能性は極度に低いので、同じ税金による損失を抱えるとしても、まだ融通が利く対処ができるはずである。

 債券を都に売却した新銀行東京は、その分、キャッシュフロー上の損失は減ることになる。その上で、会社を清算して、業務を停止する。都は、買い取った債権はその時点ではまだ有価であり、すぐには損失は出ない。貸し倒れが起きたときにのみ損失が発生するが、それは都財政の中でやりくりできる範囲のものである。
 はっきり言ってしまえば、都の財布の中で、税金があっちに回ったり、こっちに回ったりしているだけで、新銀行東京が出した損失分はそのまま都が負担することになるだけであるのが現実であるが。

 上記の意味では、これは失政である。
 だが、当初目的は、定性的には良かったのである。現実が厳しかったということであり、株式会社形式の銀行を都の出資で設立するというビジネスモデルが甘かったというほかは無い。

 他にも、都自身が、低利の融資を行ったり、経営の厳しい中小企業の法人住民税などの減税または免除するなどの方策に、そのお金を使った方が良かったと、今思えば言える。しかし、それは後知恵というものであり、都知事以下、都の財政当局者が、石原知事自身が支持する自民党政府が行っている、新自由主義政策の、自由競争の暴虐がここまでひどいと気づかなかったのであろう。
 最終責任は、石原都知事とそのブレーンにあるのは確かだが、設立時、それに反対しなかった議会も同罪である。

 と言うことで、私は、新銀行東京の清算、撤退を提案する。

 ただである。現在、新銀行東京の損失の責任がすべて前経営陣にあるとして現経営陣が批判し、都知事までもがそれに便乗しているのは、誤っているし、卑怯である。責任は、最終的には、都行政の最高責任者であり、発案者でもある石原都知事に帰趨する。その点を言い逃れようとする態度は大いに批判されるべきである。また、責任を旧経営陣になすりつけてごまかして、3年前より悪い環境の下で、さらに400億円を出資するというのは、もはや失政を通り越して、暴挙である。

 都知事を含め、人間である以上、間違いを犯す可能性は誰にでもある。ただ、あくまでも自らの責任を回避し続けて、間違いを認めず、それを糊塗するために税金からの追加出資により業務を継続させて、損失を拡大し続けるというのであれば、その態度は厳しく糾弾されなければならない。

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