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(回答先: 「沖縄密約」とマスメディア (FujiSankei Business i.) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 3 月 11 日 18:07:35)
http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200706130002o.nwc
ラスプーチンと呼ばれた男 佐藤優の地球を斬る
危機のときの外交官
ベルリン陥落時に逃げた幹部たち
FujiSankei Business i. 2007/6/13
5月23日付で述べたように筆者は現在、外務省元アメリカ局長の吉野文六氏から聞き取りを続けている。マスメディアでは吉野氏について、沖縄返還において日米両政府間に密約が存在したことを日本側の交渉当事者として初めて明らかにした人物という点でしか関心を示していない。しかし、吉野氏の証言は沖縄密約にとどまらず、20世紀の日本外交を検証する上でもきわめて貴重だ。
1945年4月、ソ連軍によるベルリン攻撃が必至になったとき、大島浩駐独大使以下、日本大使館のほとんどの職員はドイツ南部の温泉地バードガシュタインに避難する。ドイツの軍人や政府高官はソ連軍の捕虜になることを恐れていた。戦争末期にこれらのドイツ人は、アメリカ軍の捕虜になることを織り込み、西部や南部に逃げる。当時、ソ連と日本は外交関係をもっていたので、国際法的にはベルリンにソ連軍が侵攻してきても、日本人が捕虜になることはない。しかし、大島大使以下の幹部外交官は、ソ連軍と遭遇するよりもアメリカ軍の捕虜になる方がましと考えたのである。
しかし、ベルリンには在留邦人がいる。日本国籍保持者を保護することは、外交官としての基本だ。そこで10数名の日本人外交官とドイツ人職員が「決死隊」としてベルリンの大使館に残留することを命じられる。その内の一人が吉野文六外交官補だった。外交官のランクは、大使、公使、参事官、一等、二等、三等の各書記官がいるが、さらにその下に外交官補(アタッシェ)がいる。ベルリンの日本大使館は、陥落に備え、自家発電装置と空調施設を備えた地下事務室を作り、食料も十分に備蓄していた。ちなみに東京との国際無線電話が4月初めまではつながり、日本に残した家族とも電話で話ができた。また、仕事絡みの話は、盗聴を警戒して、鹿児島弁で行ったそうだ。吉野氏は長野県出身なので鹿児島弁は話せないが、大使館と外務本省の鹿児島出身者が連絡を鹿児島弁で行うのだ。
温泉地にいる大島大使から「酒とつまみを持ってこい」という連絡が入り、吉野氏は米空軍P51戦闘機の機銃掃射を避けながら、酒とつまみを運んだことをユーモラスに話す。
「吉野さんが車を運転したのですか」
「いや、ドイツ人の運転手です。ドイツ人の若者は根こそぎ動員でベルリン防衛にあたっているので、運転手は50歳を過ぎた年配者だった。私は助手席に乗って、運転手が眠りそうになると肩をたたいたり、チョコレートを渡したりして、励まし、なんとか目的地に行きました」
「大島大使以下、大使館の連中はバードガシュタインでどういう生活をしていたのですか」
「それは温泉地なのでみんなくつろいでいましたよ」
この話を聞いたとき、筆者は吉野氏の原点がこの体験にあるのだと思った。ヒトラーに心酔し、日独伊三国軍事同盟を強力に推進した勇ましい大島大使が、いざベルリンが陥落するときには、若い外交官たちを決死隊として大使館の地下壕に残し、温泉地に逃げ、しかも「酒とつまみを持ってこい」と命令するのだ。このときと同じ「物語」が沖縄密約問題でも繰り返されたのである。
沖縄密約問題について、安川壮外務審議官の秘書が情報漏洩(ろうえい)を行ったので、吉野氏には責任はない。しかし、その後の人事上の処遇を見てみると、吉野氏は決して恵まれているとはいえない。本省の外務審議官にはなったが、外務事務次官にはならなかった。在外でも駐西独大使が最終ポストだ。アメリカ局長として難しい沖縄返還協定をまとめあげただけでも外務事務次官、駐米大使のポストが保証されるのが相場観だ。吉野氏は、沖縄密約事件の絡みでは国会でうそ答弁、刑事裁判で偽証までして外務省組織を守った。しかし、人事で見る限り、その「努力」は報われていない。
これに対して、安川氏は確かに外務事務次官にはならなかったが、管理責任が問われる決定的な不祥事を起こしたにもかかわらず、駐米大使になった。他省庁と異なり、外務官僚のトップは事務次官ではなく駐米大使だ。吉野氏は「外務省では出世するためには、仕事をしすぎない方がいいのです。とくに事務次官になるためにはそうですね」と述べていたが、沖縄密約事件の背景に、吉野氏を何としてもつぶしたいと考える外務官僚グループの意向が働いたのではないかと筆者は考えている。
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