★阿修羅♪ > 環境・エネルギー・天文板3 > 433.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
太陽活動周期で洪水・干ばつを予測?Carolyn Barry in Sydney, Australia
for National Geographic News
December 10, 2008
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=13535947&expand
太陽活動の変動を基にして、地球における今後数十年間の劇的な気候変動を予測できるかもしれないという最新の研究成果が発表された。
太陽活動は11年周期で繰り返されている。各周期には活動が活発な時期と静穏な時期があり、その間太陽表面にある黒点の数も増減する。太陽の磁場変動に起因するこの活動周期が、エルニーニョ南方振動をはじめとする地球上の気候現象に影響を与えている可能性があるという。エルニーニョ南方振動は、主に南半球で発生する洪水や干ばつに関わりがある周期的な気候現象である。
研究チームのリーダーを務めるオーストラリアのニューイングランド大学ロバート・ベイカー氏は、「太陽は、地球の気候変動の源である。太陽活動はそれ自体周期的に変化しているため、過去の変動に基づいて将来の変動を予測することが可能だ」と話す。これらの変動は、太陽磁場の周期的な“ねじれと復元”に伴うもので、周期が移行する際には太陽の磁極が反転する。
これまでの観測記録から、周期が約90年と約400年の2種類の磁場変動があることも分かっている。ベイカー氏は、「エルニーニョ南方振動の度合いを表す南方振動指数が、90年周期の太陽活動の変動に則して変化しているように見える」と話す。
例えば、現在の指数値を見ると1920年代の観測データとよく合致している。ベイカー氏によると、大規模な太陽嵐が発生する時期にはオーストラリアで降水量が増大することが多く、太陽活動が比較的穏やかな時期にはオーストラリアで干ばつが起きることが多いという。
また、宇宙物理学に基づいて計算した今後の太陽活動の周期と1940年代の観測データから、2030年前後に地球上で起こる干ばつや洪水を予測できるかもしれないとベイカー氏は話す。「過去のデータに基づいて10〜20年先の気候を予測することは十分可能だ」。
エルニーニョ現象や、それとは逆の気候状況を生み出すラニーニャ現象は、北アメリカにも影響を及ぼす。このことから、深刻な干ばつがたびたび発生するメキシコやアメリカ西部でも、降水量の長期的な予測が可能になるとベイカー氏は話す。
太陽活動が地球の気候にどの程度影響を与えているのかは今のところよく分かっていないが、ベイカー氏は宇宙線放射が地球の気候に影響を与える1つの要因になっていると推測している。
ベイカー氏の研究によると、宇宙線放射が活発な時期はラニーニャ現象が長期化する時期に合致するという。現在の指数値が今後も1920年代の気候変動に則した数値を示すようであれば、2009年は1990年代に比べて気温の低い年になると考えられる。
ただベイカー氏によれば、2010年から数年間については予測が若干難しいかもしれないという。これは、通常11年とされている太陽活動の周期にずれが生じているためだ。ベイカー氏は、長期的な変動の影響でこうした周期のずれが生じているのかもしれないと指摘する。
ベイカー氏らの研究に対して異論を唱える研究者もいる。オーストラリアのメルボルンにあるモナシュ大学の環境生態学者スチュアート・ラーセン氏は、太陽の活動周期が地球の気候変動に影響を及ぼしているということは認めつつも、ベイカー氏の研究については「統計的な部分に不備がある」として懐疑的な態度を取っている。「エルニーニョ現象と太陽の活動度との間に因果関係があることはまだ立証されていない。私としては、直接的な因果関係がある可能性は極めて低いと思う」とラーセン氏は話した。
Image courtesy NASA/STEREO
▲このページのTOPへ HOME > 環境・エネルギー・天文板3掲示板
フォローアップ: