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「温暖化の学問 (3) 日本の気温」 by 武田邦彦教授
http://www.asyura2.com/08/nature3/msg/237.html
投稿者 スパイラルドラゴン 日時 2008 年 6 月 02 日 05:47:27: 0zaYIWuUC0gac
 

http://blogs.dion.ne.jp/spiraldragon/archives/7228250.html より全文転載。

「らくちんランプ」の管理人スパイラルドラゴンです。今日は、2008年6月1日です。
 中部大学の武田邦彦教授が、御自身のHPにアップされた、「温暖化の学問 (3) 日本の気温」というタイトルの日記は、環境省・気象庁がお墨付きを与えている「温暖化影響総合予測プロジェクト」が先日発表した「地球温暖化が及ぼす国内の被害予測結果」などは、犬語翻訳機バウリンガルの的中率と大差がないレベルの地球シミュレータによる気候予測結果を前提とした被害予測結果に過ぎないので、とても人々に伝える価値がないと思っている気象予報士の方々に、ぜひとも読んでいただきたい内容ですので、以下その全文を転載します。

(以下転載)

 温暖化の学問 (3) 日本の気温
http://takedanet.com/2008/06/post_2857.html

 先回、温暖化の学問の(2)で、気がかりなことが二つあると書いた。その一つが、IPCCの地球の平均気温の記述が学問的に疑問があること(地球の周期的な気温上昇を無視していること)、それによって人為的な二酸化炭素の寄与が94%という事になっているので、根拠が薄弱であることを示した。

 もう一つの気がかりは「日本はどうか」ということだ。

 「日本」は「世界」ではない。まして、もし現在の地球温暖化が「これまで人類が体験したことがないこと」とすれば、それによって「日本はどうなるのか」という問いは日本列島に住むものとして強い関心を寄せざるを得ない。

 ここに一つの問題がある。それは「観測値の問題」である。

 気象庁は温暖化などのデータを出すときに、「基準となる17地点」を選んでいるが、その半分ぐらいは県庁所在地またはそれに準じるような中都市である。そして中都市が「地球温暖化」ではなく「都市化」によって温暖化していることはすでに指摘されている。

 日本の温暖化を考える以前に、よって立つべきデータがないのだ。近藤純正先生が整理しておられる日本の田舎の気温はこの100年で0.2℃ほどしか上昇していないが、このぐらいなら400年前からの全世界的な気温の変化の範囲内である。

 都市化による気温上昇を差し引くと、二酸化炭素による温暖化は日本では起こっていない、と結論される。この結論は特別なものではなく、単に学問的に普通に処理すれば日本は気温が上昇していないということになるという意味だ。
 
 この頃、学問と社会、そして政治がいりくんでいて、「そんな結論を出しては困る。IPCCと違う」などと言われるが、学問は「事情によって事実が変わる」というものではない。困ろうが都合がよかろうが、事実は事実である。

 そこで次の段階として、測定結果では「温暖化していない」のに、なぜ「日本は温暖化している」ということになるかということだ。対象があまりに簡単なのでかえって難しい。

 このような疑問を呈すると必ず、2つの反撃が来る。

1) 事実を探求するのではなく、気象庁の発表を信用しろ!

2) 温暖化を軽視するの!

 学問でなければいずれもまともな反撃だ。気象庁の権威を保たなければならないし、環境は大切だから事実をゆがめてもよいということになる。でも学問はあくまでも事実を大切にする。・・・それでも地球はまわっている・・・

 IPCCが地球の気温の変化を無視したこと、気象庁の基準となる気温変化が都市化の影響を受けていることから、現在の日本人は「温暖化が進んでいるか?」というもっとも基本的なデータを見ることができない。

 これはまさに10年もペットボトルをリサイクルしているのに、「リサイクル量」を見ることができないのと同じである。年金、医療、リサイクル、温暖化・・・いずれも「民はよらしむべし、知らしむべからず」というのが現在の日本である。

 環境省や環境の専門家は「なんで、国民は温暖化の防止に協力しないのか?」という。国民は「東京と名古屋の間に、リニアーモーターカーを走らせて、名古屋を通勤圏にするという政策と温暖化防止はどういう関係か?政府は二酸化炭素を減らす意思があるのか?」と訝っている。

 このような不信感を払しょくする唯一の方法は、データの開示と批判を許すことである。批判を許せば疑問がある人が少なくなり、意思の統一もできる。封建社会ではないのだから、「リサイクル量は知らなくてよい。分別回収だけやり、税金を払えばよいのだ」という高圧的な態度では国民はついてこない。

 「温暖化懐疑派」などとレッテルを貼るのは学問ではない。

(平成20年6月1日 執筆) 武田邦彦

(転載終わり)

参照:温暖化は進んでいるか by 近藤純正
http://www.asahi-net.or.jp/~rk7j-kndu/kenkyu/ke04.html

 また、本日武田邦彦教授がご自身のHPにアップされた、隠されたデータというタイトルの日記は、武田邦彦教授を誤解されている方々にこそ読んで頂きたい内容なので、以下全文転載しておきます。

(以下転載)

 隠されたデータ
http://takedanet.com/2008/06/post_06a4.html

 昨日、あるシンポジウムでとてもよい話を聞いた。

 その先生が紹介してくださった方は西村先生という方で化学系のシステム工学の先生である。大学をご退職の後、水俣病のご研究をされ、メチル水銀と病気の因果関係を調べられた。大部の書籍も出しておられる。

 その折、水俣病の多くのデータは、政府や会社の思惑で捨てられたり、焼却されたりしたという。そんな中でなんとかデータをかき集めて先生は解析を進めた。

 社会というものはいつもそのようなもので、権力やお金を守ろうとしている人たちは都合の悪いデータを廃棄するが、それを新聞記者や学者が追いかけて掘り起こし、事実を明らかにしていく。

 だから学問の自由や取材の自由が必要となる。

 権力というのはどうしてもわが身を守ろうと悪いことをする。それは人間というものがそういう性質を持っているからで、野放しにしていると社会が被害を受けるので、政府から妨害を受けないように、学問の自由や報道の自由、取材の自由が保障されている。

 しかし、自由はあっても「失ったデータ」、「提供されないデータ」を探し出し、掘り出し、そしてそれをまとめるのは大変な作業である。西村先生も多くの妨害があり、それを克服するのに長い年月を要した。そしてご定年後、さらに調査に時間を費やして整理をされたと、そのシンポジウムでお話があった。

 先生のご研究が水俣病の被災者の救済や今後の薬害の発生の防止に役に立つことを祈りたいし、おそらくそうなるだろう。

 現在でもカネミ油症事件など、多くの薬害に苦しんでいる方がおられ、またその人たちを救おうとして運動をしておられる方々も多い。そのような方に西村先生のご努力はとても大切なものである。

 ところで、西村先生に比較することもできないが、私も「ペットボトルは本当にリサイクルされているだろうか?」という数字を出すのに10年ほどかかった。これほど国民的な運動としてペットボトルのリサイクルをしているのに、「どの程度の量がリサイクルされているのか」という数字はまったく出ていないのだ。

 名古屋市に問い合わせると「分別収集したものは業者に渡しています」というし、業者は「商売の秘密だからデータは出せない」といい、時に脅されることもある。

 だから、学問の自由が必要となる。かくして、私は調査を行い、理論計算をして、「資源の節約になっているのは、50万トン余のうち約3万トン」と発表した。

 反撃は激烈だった。

・・・武田は公的なデータがないものを発表した。

・・・独自のデータで当てにならない。

・・・愛知と岐阜を中心としたデータは全国平均ではない。

・・・理論計算などあてにならない。

・・・ペットボトルリサイクル協議会のデータをもとにしていていも名前を出してもらっては困る

・・・  ・・・  ・・・

 それに加えて無言の電話、差出人不明の脅迫メールなどが相次いだ。リサイクル関係の方のほとんどが読んでおられる「日経エコロジー」に詳細に根拠を書かせていただいても、「まったく数字の根拠を示していない」と言われる。

 でも、すべて織り込み済みである。権力が隠すことを明らかにすれば反撃は当然である。歴史的には私とは比較にならないほどの苦痛を味わった人は数限りない。

 「額に汗して働いて得られるもので人生を送る」と決めれば簡単なのに、人間は「なんとかズルしてもっと楽な生活をしたい」と思う動物である。そこで、税金を狙い、特需を期待し、賄賂を贈る。

 人間の性(さが)だから仕方がない。

 でも、「環境が大切」と思っている人、「水俣病の患者さんを救いたい」と願っている人、ぜひ、「権力に反してデータを掘り起こし、発表することの大変さ」を理解してもらいたい。それは、未来の明るい日本を子供たちに残すためにどうしても必要なことだからだ。

(平成20年6月1日 執筆) 武田邦彦

(転載終わり)

 上記の文中の西村先生とは、たぶん西村肇東京大学名誉教授のことだと思います。
http://jimnishimura.jp/

スパイラルドラゴン拝  

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