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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008041602003954.html
負担増数万円 『ひどい』 後期高齢者医療
2008年4月16日 朝刊
後期高齢者医療保険料の天引き額が書かれた通知書を受け取り、「納得できない」と語る女性=東京都内で
「引き落とし額の多さに驚いた」−。後期高齢者(長寿)医療制度で、年金からの保険料天引きが始まった十五日。各地の役所の窓口には、制度の内容などを確かめようとするお年寄りが次々訪れ、担当部署の電話はひっきりなしに鳴り続けた。国民健康保険(国保)で手厚い助成をしていた東京二十三区では、新制度で負担増となる人が続出。不満や戸惑いが広がった。
東京都世田谷区役所を訪ねた内藤成子さん(81)は、二カ月分で約三万円の天引き。「一割も増えた額を見てびっくりした」という。糖尿病の治療費と薬代で月約一万二千円が消える。「介護保険料などを払えば手元に残るお金はわずか。老人は死ねということか」と怒りをあらわにした。
「年金生活者に年五万円近い負担増はきつい」。府中市で妻(78)と二人暮らしの芝敬一さん(79)は年金からの天引き額を見て驚いた。年間保険料は、二人で十七万五千四百八十二円。前年の国保の保険料と比べ、四万八千円余の負担増だ。「七十五歳以上を従来の医療制度から切り離すのは、社会保障制度からの除外を意味する」と訴えた。
十月から月額六百円の負担増となるという豊島区の独居女性(86)は「年金保険料や道路財源で無駄遣いをしている話を聞くと、本当に大事なことをもっと考えてほしい」。同区の丸山文佐雄さん(80)は「肺の病気が進んで費用がかさんだら…」と顔を曇らせた。
墨田区役所に来た菅原三治さん(82)は三万四百円の天引き。「夫婦で年間三万−四万円の負担増。八十を超えた年金生活者には正直言って厳しい」。保険料が年間四万円以上上がるという男性(88)は「弱者にしわ寄せするのはどうか。国のため、家族のために働いてきたのに寂しい」と話した。
「取りっぱぐれがないようにするという感じでひどい」。江東区役所に相談に来た男性(77)は、天引き制度をこう批判する。「分割で払うしかない。誰がこんな法律をつくったのか」と憤った。
「全員が天引きされる」との誤解も広がっている。国分寺市や府中市では「なぜ引かれないの」との問い合わせが目立った。武蔵野市の担当者は「天引きされないことで保険を受けられなくなると誤解している人がいた」と話した。
消えた年金と“二重苦”
「厚生年金は消えたままなのに、先に保険料だけが天引きされるなんて…」。東京・多摩地区の賃貸住宅で一人暮らしをしている女性(79)は、年金からの後期高齢者医療保険料の天引き額通知書を見てこう憤った。
月五万円余の国民年金が唯一の収入だが、十五日、二カ月分の医療保険料千八百円と介護保険料四千八百円が天引きされた。家賃と共益費で月三万三千円余、光熱費や電話代などで月約二万円、食費は月一万円に切り詰める。蓄えを少しずつ取り崩して暮らす。
女性は二十二歳で離婚し、働きながら女手一つで娘二人を育て、年金保険料を払ってきた。六十五歳になったときに受給申請をしたが、「七四年に厚生年金の脱退手当金約四万九千円を支給済み。九年五カ月分の厚生年金は受け取れない」と窓口で言われた。
脱退手当金は結婚や退職で厚生年金を脱退する際、納めた保険料を精算して支払われる一時金。女性は「受け取った覚えはまったくない」と驚き、“消えた年金”を取り戻す戦いを始めた。昨年八月に総務省の第三者委員会に訂正を申し立てたが、結論が出るまで「早くてもあと三カ月かかる」と言われている。
新医療制度の混乱ぶりにもあきれる。保険証を受け取った際に市役所から聞いた保険料は「二カ月で千百円」だったのに、天引き額は千八百円。「いつの間に七百円も増えたの」。年金と医療。老後を支える制度に不信感は募るばかりだ。