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保険料「天引き」スタート 「ひ孫におやつも買えぬ」
4月15日16時1分配信 産経新聞
■役所窓口 高齢者怒り、不安の「4・15」
後期高齢者医療制度の年金からの天引きが15日始まった。「4・15ショック」とも呼ばれる中、窓口となる各地の役所には「なぜ天引きなのか」「しっかり説明してほしい」などの苦情や問い合わせが相次ぎ、担当者らが対応に追われた。新保険証が届かなかったり、対象外の人を徴収リストに加えるなどトラブルも多く、天引き額を確認するため金融機関を訪れたお年寄りからは「ひ孫におやつも買ってやれない…」との声も漏れた。
大阪市大正区役所ではこの日午前、4つの窓口で対応したが、常時約10人が順番待ち。3月末からこの状態が続いているという。高齢者からは「天引き額が高いのでは」「年金が少ないのに、これほど引かれるのか」などの訴えがあったという。担当者は「4・15ショックとまではいかないが、かなりの相談、苦情が寄せられている。年金から直接引かれることがショックを与えているようだ」。
大阪府後期高齢者医療広域連合事務局にも、問い合わせ電話が殺到。「年金問題が解決していないのにどういうことだ」という怒りの声や「物価が上がっているのにこれ以上年金が減ると生活が困る」という切実な声などさまざまで、事務局の松本考史次長は「新制度により、今までの医療が受けられなくなるのではと心配して電話をかけてくる人も多い」。
天引き額の確認に同事務局を訪れた大阪市中央区の無職、古田隆三さん(77)は「区役所に行ったら分かるのかと思ったが、分からなかった。対応は丁寧だが、制度自体はまったく不案内」と話した。
金融機関などで天引き額を確認する人も多く、大阪府東大阪市の布施郵便局を訪れた無職女性(79)は「介護保険料の天引きもあるし、制度が難しくてどうなっているのか分からへん」。名古屋市西区の郵便局を訪れた同区の女性(77)は「長生きして良かったのか悪かったのか分からない。年寄りにはこたえる」。同市内の別の郵便局に立ち寄った女性(78)は「ひ孫に買ってあげるおやつの回数を減らして節約しなければならないかも」と話した。
一方、こうした声を受けて、京都府では公費補助を実施。平成20年度は約7865万円を投入し、平均的な加入者で1人あたり年間約230円の負担軽減となる。府医療保険課は「額はわずかだが、可能な限りのセーフティーネットを張った」。奈良県でも、75歳以上の制度対象者に対し、広域連合が任意で行う健康診断の費用助成として1000万円の支出を決めた。