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道路より人口減悩み 高齢化の村・上小阿仁 3自治体ルポ
かつては秋田杉の産地として栄えた秋田県上小阿仁村。林業の衰退とともに人口は約3000人に減った。そして65歳
以上が4割を超える。秋田県内で最も人口が少なく、高齢化率が最も高い自治体だ。
村内の幹線道路は国道285号だけで、県道も5本しかない。各集落を結ぶ村道が住民生活を支える。道幅の狭い場所
や、冬の低温で傷んだアスファルトも目立つ。
村の面積の9割が山林という事情もあって村道改良率は30%台にとどまる。それでも、高齢者を病院などに送迎する
仕事をしている男性(68)は「昔に比べれば、ずいぶん立派な道路になった」と、不満は口にしない。
「村民には我慢してもらっている」(村産業建設課)。村道の新規整備は、ずっと前から見送ってきた。人口減で税収が
細る半面、過去の施設建設などによる借金が膨らんでいるためだ。小林宏晨村長は「道路の穴を修理するのも大変だ」
とこぼす。
村の借金は2007年度末で約54億円に達する。一般会計予算の2倍超。08年度は前年度比9%減の緊縮予算を組ん
だ。村道の維持に充てる予算は、除雪機械を購入した前年度に比べ、ほぼ半減した。
そんな厳しいやりくりが続く中で、道路特定財源となる暫定税率の期限切れが近づく。試算では、暫定税率の廃止で関
連収入の約46%(1700万円)が消える。対応は「まったく白紙」(村総務課)の状態だ。
「努力して身の丈に合った財政運営をしているのに、突然、国からの財源がなくなる事態は許されない」。小林村長はこ
う訴え「財源不足を補ってくれるなら、特定財源でも一般財源でもどちらでもいい」とまで言い切った。
全国の知事や市町村長と一緒に特定財源維持、暫定税率延長を求めていたのではなかったか。はなから道路整備を
あきらめ、人々がつつましく暮らす村の本音は、どうやら違うようだ。
村商工会の佐藤真二会長は「道路にお金を使うくらいなら、人口減少を食い止める施策に使うべきだ」と考えている。
「立派な道路が整備されれば地域が発展する」という理屈がもはや通用しない現実が、過疎の村にはある。
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/03/20080324t41022.htm