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(回答先: 米司法省、警官の非致死性レーザーガン携帯を本格検討(テクノバーン) 投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 12 月 26 日 22:05:52)
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2007/01/active_denial_s.html
【BBC News】が報じたところによるとアメリカ軍は1月24日アメリカ国内のジョージアのMoody空軍基地において、対人用非致死性掃射型兵器「Active Denial System」を公開した。アンテナでミリ波のエネルギービームを掃射し、周囲の敵性人物を制圧するのだという(【参照:エルエル】)。
「Active Denial System」は敵性対象の生命を奪うものではなく、あくまでも「制圧・無力化」するもの。パラボラアンテナのような掃射装置から目標に対して不可視のミリ波によるエネルギービームが掃射され、最長で500メートル先の対象を「制圧」する。アンテナには自動目標追尾装置が搭載され、対象物に適切な照準セットと掃射を行うことができる。「制圧」鎮圧用装備としては現在ゴム弾が一般的だが、この射程はせいぜい50メートル前後。それと比べれば約10倍もの有効射程距離を持つことになる。
Active Denial System概念図
Active Denial System概念図
また制圧効果だが、ビームを浴びた対象は衣服をすり抜け、表皮のみを50度程度にまで加熱するという。ただし継続性・浸透性はないため、「軍側の説明によると」けがを負うことはないとのこと(But it penetrates the skin only to a tiny depth - enough to cause discomfort but no lasting harm, according to the military. )。ただ、元記事ではロイター通信の記者が実際に放射されたビームに当たってみた感想が書かれていたが、それによれば「オーブンにあてられたようで、爆裂的に痛く、とてもではないがたえられない(A Reuters journalist who volunteered to be shot with the beam described the sensation as similar to a blast from a very hot oven - too painful to bear without diving for cover. )」と語っており、実際にはもんぞりうつ程の苦痛があるものと思われる。
このような制圧系兵器は、例えばイラクやアフガニスタンなど「抵抗意志が強いが敵として打ち倒してはいけない対象を打ち負かす必要がある」場所でゴム弾よりもはるかに有効だ、と軍関係者は述べている。これらの装備は2010年には実際に配備使用される予定とのこと。
Active Denial Systemイメージこの「Active Denial System」はアメリカの【Raytheon】で開発されており、【制圧系装備を開発するプロジェクト(non-lethal weapons project)のサイト】でさまざまな装備と共に詳細が報告されている。それによると(【紹介パンフレット、PDF】)、このエネルギービームによる制圧兵器は1993年には対人実験が開始され、1997年には固定型の装置が完成。2002年には軍用としてのスタイルが出来上がり、現在に至っているという。また、「相手の生命を奪わず、かつ相手の対抗意識をなくすようなタイプの兵器はこれまで存在しなかった。銃では相手の命まで奪うし、ゴム弾もあまり効果がないし射程が短い。Active Denial Systemなら、それらのギャップを埋めて有効な装備として活用されうるだろう」と述べている。
【解説ページ】には動画もいくつか公開されているが、その動画や各種報道、関連資料を見る限り、電子レンジに用いられているマイクロ波(マイクロウェーブ)の一種で、波長 1ミリから1センチ程度の電波を集約したものを用いていると思われる。これは通信衛星用の電波やレーダーなどにも使用されているもの。
上記ページにはロイター通信記者が実際に「浴びた」動画もアップロードされているが、何もないところでいきなり「のぉぉぉぉ」と騒ぎ飛び跳ね、掃射地点から逃げる様子を見ると、まさに「未来指向の兵器」に見える。また、軍関係者やレポートが語っているように、「鎮圧型の装備」としてはきわめて有効なものとして重宝されることだろう。
ただこのタイプの装備には大量の電力を消耗してしまうという欠点がある。電力使用の効率化とエネルギーパックの小型化などが引き続き課題として求められよう。また、リリースなどによればあくまでもエネルギービームを「集約して」掃射するのであり、不特定多数を同時に制圧できそうにもないあたり、改良の余地があるものと思われる。
さらにマイクロ波の対人的影響はいまだに研究途上の段階。掃射を受けた人たちの中長期的な影響を考えると、課題は多いのかもしれない。