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(回答先: 松浦さんへ 投稿者 影の闇 日時 2008 年 7 月 10 日 23:27:27)
貴方の書かれたもの、読ませて頂きました。 今まで見た事の無いような高度な思弁内容にびっくり、当惑というか、ここんところずっと、頭の中が些かウツ状態になっております。
内田樹が言っていた「ヘーゲル=ボルヘス的な幻影」ー古今東西全ての知識を網羅した巨大な図書館ー宇宙論的な図書館にしかなさそうな書物を覘き見た感じ、と言えばいいのか、、、
「物象化論」というから、私もまたてっきり広松学徒(斯界には広松学派があると聞いていますので)の一人と思っておりました。 学統については門外漢なので措くとしても、広松氏との違いを「あの山に登ろうと遠くから指差しただけ」とすると、学生時代広松氏からそれなりに影響を受けた者には、山を下りてきたザラツストラ=ツァラトゥストラに対しているような気がして、神経の奇妙な粟立ちすら覚えてきます。
そんな次第だから、これらを論じたり評する事自体能力の範囲を超えておりますし、私の柄でもないので、彼是言うのは控えさせてもらいます。
ただ、今回、貴方の論に刺激を受けて、従来より考えて来た物事について、改めて考えてみました。
貴方が論じる処を誤解して受け取ってるのかも知れませんが、そこはそれ、誤解も理解のよすがとご寛恕下さるよう願います。
誕生から成長して大人になり年老いてやがて死ぬ、といったようにヒトの生を捉えるのではなく、全て死へのプロセスと捉えてみる。 そうして、人間の体を(実体論的に)パーツの集合ー従って心臓病や肝臓病等を其々のパーツの不良ーと見るのではなく、諸々の関係態として見ると、病気とは、関係の偏差であり、その物象化ということだろう。 してみれば、或る”病”は或る時代や状況のメタファであろうし、理解の手掛かりにもなるだろう、例えばA.トフラーが「未来の衝撃」で紹介しているブロジェリア(早期老衰病ー10歳程で老衰死する)という病気のメカニズムは無論、その意味も見えてくるーように思える。
「人が人を所有する」という所に問題の根本をみるーそれは男女関係といった視点からみると更にその在処が見えて来るのではないだろうか?
欲望の実現を所有とし、その対極に在るものを愛とすると、所有とは愛の欠如故の代償ということなのかもしれない。 そしてその根底に愛が欠如しているが故に、欲望には際限が無い、ということだろう。
E.トッドがアングロサクソン型に特有とする<絶対核家族>、そこに共通して見られる「送り出し」(子供を年少時に外へ出す)という慣習−子供を早期に自立させる為ということだが、子供を外(での冒険)へと追いやるー現在のアメリカにおいても、男の殆どが、心に、幼少時に母親に捨てられた傷を持つとされるが、欲望の原初の光景の中に、母親からの拒絶(愛の欠如)という事を見ておくべきなのだろう。※
「アメリカの男は何故恋愛から逃亡するのか?」とか「聖母(大地母神)がいない国」等は、単にアメリカ(文学)のテーマに止まらず、資本主義の根底にある<欲望>の裏の顔を示しているように思える。
貴方が「あなたの愛が...」と些か場違いにも思える発言をしたのも、ひょっとしたらこの事が念頭にあったのかも?
※そこに”成熟”の基準を置いた事自体が逆立ちしたものであったのであり、
江藤淳の「現実主義」の挫折は必然だった、と思います。