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Re: お金の普遍性への疑問
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投稿者 kanon 日時 2008 年 2 月 03 日 22:17:40: FUgy0.1v81/ao
 

(回答先: お金の普遍性への疑問 投稿者 haru 日時 2008 年 2 月 02 日 21:18:57)

haruさん。ご返信ありがとうございます。

>田中角栄以降の高度経済成長のあり方が、拝金主義を呼び、もはや金で買えないものはなくなってしまった。
金権政治が表す様に、金によって人の思考や、心までもがコントロールされてしまう世の中になった。

田中角栄は、日本の政治の金権と利権の体質を露呈させ、「政・官・財」の癒着構造を引率した人物という評価は聞きますし、一方で対中国との国交回復に尽力を注いだ人物として知られています。いずれにしましても、この時期の政策では、ケインズ的な財政公共投資による経済復興を主眼としている点では、現在のマネー・ゲームを誘発する状況までには至っていなかったと存じます。ここ「金によって人の思考や、心までもがコントロールされてしまう世の中になった」に至るのは、ドル−金の兌換停止によってアメリカが大量の国債を放出して、ドルが他国から買い支えられるという循環が機能してからなのでしょう。それで、このまま話を少し脱線して進めますと、日本に影響が現われるのが具体的にはプラザ合意以降からなのですが…(ドルが基軸通貨として機能するためには、強いドルを固持するする必要があるわけで、擲ったドルを円が買い支えるようにして、アメリカの双子の赤字の補填をしていった)この辺の詳細は、マイケル・ハドソンの「超帝国主義国家アメリカの内幕」(徳間書店)に書かれています。1971年のいわゆる「ニクソンショック」でドルは基軸通貨である正当性を失ったわけですが、ここが端緒になってドルが国際決算通貨として生き残るために、アメリカは赤字を垂れ流してでもドルを世界に供給する役回りを演じ、そして日本の円がそれを担ぐ役割を担うことになったのですが、つまりこれが悪循環(新帝国循環)の始まりです。そのようにして、ドルの投機がグローバルに邁進していくことになったのです。やや遠回りしての説明になった感がありますが、一言で申しますと、新たな手法(投機)によって世界の富が一部の特権階級に独占される流れが加速し定着することで、多数を犠牲にしながら少数の金持ちが恩恵に授かっている仕組みがイニシアティブを握り、それで、人心が益々荒むことになっていくのだと思います。
国連の人間開発報告書のデーターからですが、

『世界の最富裕層20%が世界の総生産の86%を受け取り、中間の60%が13%、最下層の20%は1%を受け取るだけだというのですが、最富裕層と最貧層の開きが2000年前当時には74対1だったのが、71年より前の1960年にはそれは30対1に過ぎなかった』

このような流れは90年代に入ってから、ネオリベ、市場原理主義の台頭で更に拍車がかかったわけですが、それは下記のようにです。

『1994年から1998年のたったの4年間でなんと世界の金持ちの上位200人の資産は倍増し、一兆ドルを越えた』

ですから、人心の腐敗が蔓延するのは、労働で汗を流した者に富を行き渡らせない仕組みが招いたことだといえるでしょう。ついでなのですが、手元にありましたステグリッツの「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」(徳間書店)を読んでいたら、貧富の差が数値で示されていましたので、その箇所を引用します。

『広がりつづける貧富の差は、ますます増える第三世界の貧困層に、一日一ドル以下の生活を強いてきた。二十世紀の最後の一〇年間、繰り返し貧困の緩和が約束されていたにもかかわらず、実際の貧困層の数は約一億人増えていた。その一方で、世界全体の収入は年に平均二・五パーセントずつ上昇しているのだ』(P22)
『一日一ドル以下で暮らしている人びとは、世界で一二億人もいる。一日二ドル以下の人びと二八億人だ。世界人口の四五パーセントを上回る』(P47)

>私たちは、目に見える一切を信じますが、それ以外の事象についての認識は年を追うごとに失われつつあるようです。
科学的な証拠、歴史の証拠を、提示することは出来ますが、提示する側の解説が真実だという確証はないのに安易に妄信する人々があまりにも増えました。それは、親や年長者が時代に翻弄されてきたが故に自己を見失い、立つ柱を失ってしまったことに因があるのだと思います。

見世物社会の様相を呈した状況で、一部のタレントや芸人がテレビの画面上で、日常や非日常を表現し、私たちが現実の世界で満たすことのできない部分を、それらを享受することで知らぬ間に昇華できるように仕組まれていく手法がマインド・コントロールなのですが、こうした操作により自己と大衆の区別よりも大衆に同化させられてしまう方向へ傾いていくにしたがって、個人は世間の流行というものにアンテナを張り巡らせることにもなるのですが、そこには確たる個が希薄でつかみ難いものになっているかと存じます。

>生鮮食料品が、すぐにその価値を失う様に、普遍的価値を持つものの所有を許すからこそ、矛盾と混沌が生まれるのではないでしょうか?

そうですね。労働価値を重視した立場では貨幣は労働力に内在しているものですので、労働証券などを貨幣の代替物にしましたね。それから、記憶が今ひとつ定かではないのですが、シルビオ・ゲゼルが減価する貨幣を考案し、それが地域で一部拡がったのですが国家の介入で消滅した話を聞いたことがございます。
貨幣の普遍性などについては、マルクスがより繊細に分析していると存じます。私が考えるところでは、貨幣には矛盾や混沌を超えるようなある神秘性が備わっている気がしております。

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