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(回答先: 本紙連載「命をつなぐに」に平和・協同ジャーナリスト基金賞の奨励賞(下野新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 12 月 02 日 18:01:33)
http://www.shimotsuke.co.jp/hensyu/kikaku/zisatu/php/kikaku.php?f=p&k=67
命をつなぐ 自殺社会の現場から
自殺が後を絶たない。国内の年間自殺者は9年連続で3万人を超え、本県でも1998年から500人台で推移している。毎年交通死者数の2−3倍強に上る。社会的な要因はなかったのか。予兆やSOSは。そして何がそこまで本人たちを追いつめたのか。9月10日から16日までは、初めての「自殺予防週間」が実施された(2007年)。対策への道筋を探るため、遺族の肉声や遺書を頼りに県内の現状を追う。
自殺が多発する社会の在り様や連載の感想、提言などをお寄せ下さい
FAX 028−621−4414
e-mail syakai@shimotsuke.co.jp
「一人で悩まずに相談を 大切ないのちだから」 ■■相談窓口一覧■■
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連載を終えて/「必ず助けてくれる人がいる」(2008/9/24)
10年連続で国内の自殺者が年間3万人を超え、県内でも500人以上が自ら命を絶つ「心の戦争」時代。2007年9月に始めた自殺防止企画「栃木・07−08自殺社会の現場から 命をつなぐ」は、今年9月の自殺予防週間(10−16日)に合わせた第六部で1年間にわたる長期連載を終えた。この間に読者から寄せられた連載の感想や提言は手紙やメール、電話を含め百数十件。これまで掲載できなかった読者の声を紹介するとともに、人とのつながりが一人の遺族を救ったエピソードを伝えたい。
一枚のはがき大のカードがある。
両親を自殺で失ったつらい経験を生かし、同じ遺族と手を取り合おうと自助グループ「オレンジいろの会」を県内に立ち上げた壬生町の会社員山崎真由美(やまざきまゆみ)さん(31)。山崎さんはそのカードをいつもバッグに大切にしまっている。
宇都宮公共職業安定所の「ハローワークカード」。就労先の紹介を求める人たちが、相談に来た日時と担当者印を裏面に記録してもらう個人票だ。
山崎さんのカードの裏を見た。
母親を亡くして三カ月後の〇七年十月十一日。病気で仕事を辞めていた山崎さんが初めて相談に行った日だ。その後は同年十二月末まで三、四日おきのペースで訪問が続く。
「ひどく落ち込んだ私の様子に、担当者の女性が心配してくれたんです」。山崎さんはカードを見つめた。「『とにかくここに来なさい。毎日でもいいからね』と。その言葉に、救われました」
うつろな目と帰り際の重い足取り。同職安の就労支援コーディネーター椿(つばき)かづさんは、娘のような山崎さんの当時の姿が今も忘れられない。
「『私のようなつらい体験をしながら、元気になった人の話が聞きたい』。初めて会った日、彼女はそんな話をしていました」
両親を失った悲しみのどん底、「何をしていいのか分からない」という絶望感…。椿さんは最低でも一時間、多い日は二時間近く耳を傾け、寄り添った。
しかし就労先の話題になると、乗り気を示さない山崎さん。しばらくして椿さんは「どうしてここに来るの」と優しく尋ねてみた。すると山崎さんは、こう短く答えた。
「生きるため」と。
「自宅にいると気がめいる。とにかく誰かと会っていたかった」
宇都宮職安に通う一方、山崎さんは「とちぎ若者サポートステーション」の中野謙作(なかのけんさく)さんやドメスティックバイオレンス(DV)被害者らを支援する民間団体の代表仲村久代(なかむらひさよ)さんらに助けを求め、足を運んだ。
「中野さんには将来への不安を何度も聞いてもらった。仲村さんの勧めでDV被害者の集いにも参加させてもらい、自分よりつらい経験をした人たちがいることを知りました」
前向きな思い、少しずつ出てきた就労意欲。明るさも徐々に取り戻した山崎さんは今年一月下旬、条件の合う会社を職安で見つけ無事採用された。
「多くの人に助けられ、支えられ、命をつないできた。今度は私が恩返しをする番です」。山崎さんは言葉に力を込める。「後追い自殺した母は、生前自助グループのような会を望んでいたはず。苦しむ人に寄り添い、助け合う社会にしたい」
一番苦しかった時期を見守った椿さん。就職が決まった報告とお礼に訪れた山崎さんに、こう語りかけた。
「初めて会った時、『つらい体験をしながらも、元気になった人の話が聞きたい』と言っていたわね。捜し続けた『元気な人』、それがあなたなのよ」
■読者から多くの反響/共感、励ましメール、手紙100件以上/「残された人の苦しみ分かる」/「生きているだけで価値ある」/「必ず助けてくれる人がいる」
「第1部 追いつめられた末に」(七回)と「第2部 死なないで… 遺児たちの叫び」(五回)では、これまで真正面から取り上げることのなかった県内の遺族を取材。夫や息子、娘を亡くした妻や両親の肉声を通じて深い悲しみや社会の歪みを浮き彫りにする一方、苦しみやつらさを乗り越え今を生きる十−二十代の遺児たちの姿を描いた。
「新聞読みました。私の父も同じ自殺でこの世を去りました」。ファクスで感想を寄せた遺族は、転職を機に父親が不眠症になった経緯や勤務先の対応に疑問を投げ掛けつつ、自殺を考える人にこう訴えた。「嫌な事があれば、そこから逃げて楽になればいい。何もしなくても、生きているだけで人には価値がある。大切な人と一緒にいるだけでいいのだから」
■自殺社会
遺児たちに声援を送る主婦からの書面も届いた。夫の病死後、三人の子供を育てたという主婦は「必ず助けてくれる人が周りにいる。目標を決めて一歩一歩前に進んでください。家族を失った苦しみを越えて、頑張れ!」と励ましの言葉を力強い筆致でつづった。
自殺を考えたり、実行しようとした人から思いとどまった内容のメールやファクスも多数寄せられ、反響の大きさとともに自殺社会の現状をあらためて痛感した。
「第3部 あなたを守りたい」(八回)はうつ病の早期発見・治療に向けた医療機関の連携や自治体の多重債務相談窓口の体制強化など予防対策を提言。「第4部 悲しみに寄り添う」(六回)では遺族や遺児を孤立させない相談支援の必要性などを訴えた。
連載中、自殺未遂を繰り返す身内がいるという高齢の女性から「どうすればいいのか教えてほしい」という切実な電話を受け、相談を公的機関に引き継いだこともあった。
■自助組織
遺族の全国組織を立ち上げた仙台市の女性や福井・東尋坊で巡回活動を続ける元警察官らを取り上げた「第5部 水際の救い人」(五回)。遺族による県内初の自助グループ「オレンジいろの会」は連載をきっかけに七月発足した。九月二十八日、宇都宮市昭和二丁目のとちぎボランティアNPOセンターぽぽらで三回目の集いを開く予定だ。
精神科医療の現状や課題をテーマにした「第6部 『最後の砦(とりで)』は、いま」(六回)にも三十数件のファクスや電話が相次いだ。
「医療機関を受診しながら自殺したケースはたくさん見受けられる。『早めに医療機関へ…』という呼び掛けや受診のみでは自殺を防げない現状がある」。こうした指摘がある半面、躁(そう)うつ病に苦しむ宇都宮市内の公務員男性から次のようなメールも届いた。
「自殺する人の気持ちも分かります。でも、そこまではしません。私がいなくなれば、残された人がどれだけ苦しむのか知っているから」。病気と闘う男性は生への強い思いを打ち明けつつ、文章をこう結んだ。
「主治医をはじめ周りに理解してくれる人たちがいることが救いです。私の病気はいつ治るか分かりません。が、支えてくれる人々に感謝しながら毎日を生きています」
連載を終えて/「必ず助けてくれる人がいる」(2008/9/24)
<第6部>1.後悔/「治療受けていたのに」(2008/9/10)
<第6部>2.信頼/たどり着いた「診断名」(2008/9/11)
<第6部>3.脳内物質/自殺行動との関連研究 (2008/9/12)
<第6部>4.医師の苦悩/患者急増に対応「限界」(2008/9/13)
<第6部>5.患者の姿勢/信頼できる主治医を (2008/9/14)
<第6部>6.課題/問われる政策、現場の力 (2008/9/15)
<第5部>1.仙台・田中幸子さん/遺族が遺族の支えに (2008/6/7)
<第5部>2.下野市・田村兄弟/遺族雇い自立を支援 (2008/6/8)
<第5部>3.東尋坊・茂幸雄さん/絶壁巡り130人救う (2008/6/11)
<第5部>4.滋賀・生水裕美さん/一歩踏み込む行政 (2008/6/12)
<第5部>5.宇都宮・剣持直明さん/ミュージカルで自殺防止 (2008/6/13)
<第4部>1.救い求めて/孤独癒やす窓口どこに… (2008/4/21)
<第4部>2.県内にも支援の芽/「心の嵐」受け止めて (2008/4/22)
<第4部>3.遺族への相談対応/動き始めた保健師 (2008/4/24)
<第4部>4.自治体の積極介入/心のケアへ遺族訪問 (2008/4/25)
<第4部>5.警察との連携/求められる配慮、支援 (2008/4/26)
<第4部>6.遺児のつどい/「もう、ひとりじゃない」 (2008/4/27)
<第3部>1.多重債務(上)/断崖から弁護士事務所へ (2008/2/18)
<第3部>2.多重債務(下)/“最悪”防いだ相談と連携 (2008/2/19)
<第3部>3.職場のメンタルケア/問われる経営者の意識 (2008/2/20)
<第3部>4.増える“うつ”(上)/身内の気付き、救いに (2008/2/21)
<第3部>5.増える“うつ”(下)/動き始めた医療の連携 (2008/2/22)
<第3部>6.未遂者ケア(上)/繰り返される「自傷」 (2008/2/23)
<第3部>7.未遂者ケア(下)/救急現場に精神科医を (2008/2/24)
<第3部>8.学校現場は、いま/模索始まる予防教育 (2008/2/25)
<第3部>9.いのちの電話/孤独、絶望に寄り添う (2008/2/26)
<第2部>1.長女、23歳(上) 「悲嘆」/2年後に知った遺書 (2007/12/04)
<第2部>2.長女、23歳(下) 「転機」/集いで消えた孤独感 (2007/12/05)
<第2部>3.長男、23歳 「非情」/社会の冷たさ痛感 (2007/12/06)
<第2部>4.長男、20歳 「葛藤」/追憶の中、消えぬ疑問 (2007/12/07)
<第2部>5.長男、26歳 「自責」/もう逃げない、前へ進む (2007/12/08)
<第1部>1.自営業、54歳(上) 鉄工所を畳んだ「全部終わり」/失った自分の「価値」 (2007/09/12)
<第1部>2.自営業、54歳(下) 残された悲しみ、悔しさ/夫の死再び、偶然なのか… (2007/09/13)
<第1部>3.男性医師、38歳 10枚に及ぶ遺書/父は当日「医療ミス」を知った (2007/09/14)
<第1部>4.中3男子、14歳 目の下に傷…/いじめの事実、父は後で知った (2007/09/15)
<第1部>5.佐野市幹部、59歳 残業は月100時間/“合併へ”重責一身に (2007/09/16)
<第1部>6.女子高生、18歳 止まった過呼吸、不眠/思春期に潜む心の闇 (2007/09/17)
<第1部>7.商店主、62歳 多重債務、妻の死…/4通の遺書が残った (2007/09/18)
<第1部>番外編(上) 読者の声/思いとどまる手紙、メール届く (2007/09/22)
<第1部>番外編(下) 「孤立」防ぐ環境、社会へ/取材班から (2007/09/23)
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