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少し長くなってしまいました。今年最後の投稿になります。正月にかけて気長に読んでやってください。
現在の日本の状態:日本は今経済的にどんな状態にあるのか。(経済的位置関係)理論的な位置
一体今の日本の政策担当者や経済学者は、日本経済をどのような状況であると理解しているのであろうか。
現在の日本はなおデフレの渦中に有り、金融危機を克服したのではない。日本の経済学者や政策担当者が正確に日本の経済を把握していないことが傷口を広げている。バブルの崩壊後20年近くデフレに悩まされ日本経済は最悪の事態に陥っていることを知らなければならない。
デフレの根本的原因は地軸が下がったままであることである。所得線が45度以下に下がったままであることが、さまざまな困難をもたらし、資金を減少させ続けているのである。
その原因はバブルの崩壊による資産の暴落であったことは誰もが知っていよう。それにより所得線の角度が45度以下に下がり、その状態が20年来続いているからである。その根本原因を取り除かなければデフレは解消されない。所得線の角度を上げる必要があるということだ。
近ごろ失われた十年という言い方をする人達が増えているが、それは政府の見解や政策担当者の世迷いごとに過ぎない。実際は20年である。自分たちの失政を隠しているのである。隠してなければ単なる現状の無知から来ているものだ。あるいは統計を読めないのであろう。
特にこの十年は激しい低所得化が起こっており、デフレ循環に完全にはまっている。借金の増大がまだ続いており、そこから抜け出す手立てを立てることができないでいるのが日本政府の現状である。
この5、6年は輸出が増大したことにより、資金の減少による所得線の角度のさらなる低下を杭止めていたに過ぎない。内需は減退し続けているのである。
特に消費税を3%から5%に上げた事により、市場から資金が2%奪われたことが、再び激しい消費不足を招き、企業は、低価格を余儀無くされた。それを販売量を増やすことで補おうとしたが、補えず、1単位辺りの付加価値が減じたため、賃金カットや雇用削減というリストラをせざる負えなくなったのである。
その後小泉政権になり間違ったデフレ政策を取ったため一挙に日本経済は急降下し始めた。それを辛うじて輸出の増大により止めていたに過ぎなかった。
小泉政権では、デフレ対策として最も重要な消費を増やす算段を全くする事なく、骨太政策という名のもとに、低金利、銀行優遇策、生産者への補助金政策が取られた。
しかしそれは全く効果を上げず、返って個人の所得が減り、名目GDPが世界で18番目に下がってしまったのである。
これは、資金量が一定のままか、あるいは減少している中で、生産量を増やす政策であったため、生産物の低価格競争が熾烈を極め、企業利潤の圧縮から、賃金の低下を招いたからである。デフレという消費不足から生じた生産過剰の状態の上に、さらに増産することを促したのであった。極めて馬鹿げた政策と言えるが真面にやったのである。
この個人所得の低下、低所得化現象を格差社会の到来と呼んで新聞等の媒体網で騒いでいるが、それはデフレが続いていることの証明であり、本当は日本全体の所得の偏差値が下がった事を意味しているのである。
借金の過剰から公共投資ができなくなり、また銀行への公的資金の投入と銀行の合併が行われその結果、市場に貸し剥がしという不信用創造が行われた。と同時に、低金利過剰融資が行われたのである。
不良債権の多い企業は徹底的に資金を回収され、企業は廃業、倒産をさせられたのであった。銀行の資本が増大したため、銀行の共倒れの危険がなくなったからである。
銀行合併と公的資金の投入は、低金利過剰融資と平行して行われたが、これは政府がいかにも企業に対して融資をしていますよという、外見上のメッセージになっていた。しかしその真実は、銀行合併と公的資金の投入は、不良債権の多い企業からの貸し剥がしを促し、資金をさらに市場から奪うことになり、激しい企業淘汰が行われたのである。
低金利過剰融資は、内需主体の中小零細企業の運転資金に苦しむところへは回らず、主に輸出関連企業で外需に期待できる企業にまわり、その他は、円キャリー等となり海外へ流れたのであった。
低金利は預金金利を長い期間低くしたため、消費者の資金を奪うことになる。このため余計に消費が減少することになった。。中小企業の多くは内需関連であり、内需が全くの不振で減少している時に、お金を貸さないのは銀行の経営として当然の結果である。
ここに輸出企業と国内企業との格差が生じるに至った。
小泉政権時代の最も気違いじみた理念は、デフレは本来消費不足であるにもかかわらず、供給過剰からくるものと判断し中小零細企業を平気で潰しにかかったことである。
もしこれが正しければ既に景気は回復基調にあるだろうが、そのような兆候は伺えず、企業の減少淘汰と共に所得の低下が激しくなっている。中小零細企業の雇用の受け皿がなくなったのである。デフレにおける企業淘汰はさらなる景気縮小を促すのである。これは犯罪であった。(自己破産、自殺者の増加が顕著になったのはこの頃から。)
日本経済の現在の位置は、なお所得線が四十五度以下に下がったままの状態になっている。
日本の多くの経済学者や、政策担当者は、このことをを否定したいであろうが、日本の名目GDPが世界で19番目になり下がりまだ下がりつつある。これが日本経済が今なおデフレ状態にあり、所得線が45度以下であることを証明しているのである。
日本は生産量をどんどん伸ばしても、名目所得がそれ以下の成長しかしないのである。統計的にそれは名目GDPの成長率が実質GDPの成長率より低いことで現れる。これが所得線の角度が45度以下になっている事から生じる現象である。なっていなければこのような現象は起こらないのである。
それ故日本は今なおデフレ所得線のまま進んでいる。
これは、一人一人の所得が伸びない中で、税金などの負担が変わらないため、年々消費額が減少している事を意味する。このような時、生産量だけをどんどん伸ばしても、一向に資金は増えない。逆にどんどん減少していくのである。
そして2千7年より始まったサブプライム問題による欧米の景気減退は、日本の輸出産業を直撃し、さらに原油高騰が日本の資金を海外に流出させたのである。
日本が震源地でないにもかかわらず、他の国より落ち込みが激しいのは、所得線が45度以下のままであり、いまだデフレが続いていたからである。
所得線が45度以下の角度の経済では、見た目で分かるように、生産量が大きく増えても所得がわずかづつしか増えないことが分かる。逆にわずかな資金減少が大きく生産量を減退させるのである。
輸出用の生産高が大幅に減少すると、それによる還流資金も減少する。今まで国内市場の資金の減少を輸出による還流資金で補完して所得線の角度の低下を阻止していたものが、還流資金が無くなったため所得線の角度が再び下降する局面を迎えつつある。
この所得線の角度の下降こそがデフレスパイラルである。
これが現在の日本が他の国より激しい景気後退局面を迎えている理由である。外需がなくなるともともと悪かった内需との連用により、循環的に経済が縮小し始めるのである。デフレがさらに進むだろう。
一言主 http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
お疲れさまです。まだ続きますが、少し間を置いてまた気長にお読みいただければ幸いです。
「失われた20年の図表に続く」。
失われた20年の図表http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/20nennzuhyou.html
普通のマクロの経済学、主にケインズの経済学は、資金量と生産量が1対1の割合で存在し、貯蓄が存在する程度の生産量がある所得線で描かれる。45度の所得線である。
ケインズ経済学が分析しているのは、この経済状態である。
したがって所得線が下降したり上昇した経済は分析していない。したがって、この経済学を所得線の角度が45度より下がったデフレや上がったインフレに応用することはできない。これが今の経済学がなんら役立たない理由である。
1、バブル期の図表 http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/20nennzuhyou.html
1985年から始まった日本の低金利は、国内市場の過熱をもたらし、そこへ洪水的な輸出とあいまって、日本の生産量は完全雇用以上に達したため、労働不足から賃金が高騰し他の物の値段も上昇し、急速なインフレ状態となった。資金が国内にあふれ、国内の金融資産や土地、外国資産に向かった。1990年頃には所得線が45度以上になっていたと考えられる。(バブルのインフレ、ケインズ経済の言うインフレとは違う。)
(所得線の角度が45度以上になると、資金が大量にハートランドから資産や外貨に放出されることになる。)
2、所得線の下降:総量規制から1997年の消費税を上げるまで。資産の暴落により、大借金ができ、その返済のためハートランドの資金が流出していく過程。 http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/20nennzuhyou.html
政府のバブル潰し:バブルの絶頂期にそこへ突然の総量規制により資金の供給源が切断されたことにより、資産価格の大暴落が始まった。その暴落によりできた借金が日本の全貯蓄量以上に増えたため、生産力に比べ消費が極度に一気に減少した。それにより所得線が45度以下の角度になったのである。
この間約6年が専ら資産価格の減少と、それに伴う借金返しのために、国民所得の貯蓄に回る部分以上の資金が費やされた。それが消費不足を招いていた理由である。
(所得線が徐々に貯蓄量以下の所得線まで下がっていく過程)所得線の角度の下降によるデフレスパイラルの発生。
この間さまざまな経済対策が取られたが、いずれも公共投資や、生産者への補助金政策、低金利などで、
生産量を増大させる方向に働き、販売競争の激化、付加価値に対する貨幣量の圧縮(低価格競争)、企業利潤の減少を招いた。
消費に回される資金が増える算段がなされることは無かった。逆に医療費の値上げ、介護保険の設定や公共料金の値上げが消費をさらに悪化させた。
生産量の増大が資金の増大を招くのは、所得線が45度以上の角度にある場合であり、この時は生産量の増大に応じて資金が伸び、あるいは逓増していく。
しかしながら所得線の角度が45度以下の場合、生産量の増大の度合いよりも資金の増大が少なくなり、借金が嵩んでいく。
この地軸(所得線)の変動は正常な経済状態と違うさまざまな現象をひき起こす。特に経済対策の処方箋が違ってくる。
3、消費税引き上げによる顕著なデフレスパイラル。 http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/20nennzuhyou.html
所得線の2度目の下降。愚かな日本政府はデフレの打ち続く中で資金を市場から引き上げるという暴挙をしてしまった。
次に1997年頃の消費税の税率2%アップは、所得線を貯蓄線以下に押し下げてしまった。そこから循環的な激しい所得の低下が始まった。所得線の角度の低下はデフレスパイラルを意味する。
それは2千3年頃まで続いた。日本はこの間に一気に資金の底まで下がったのであった。政府による資金の市場からの回収(消費税2%の増税)は、さらなる消費不足を生み、低価格競争が熾烈になり、企業は生産量を増大した。
この間企業は売上を維持するため価格を下げ、販売量で補おうとしたため、生産量は伸びたが、売上が下がり、利潤も下がってしまった。この間の激しい日本経済の消耗は、実質GDPの成長率が名目GDPの成長率以下になったことでよくわかる。
各企業は生産量を増やしているにもかかわらず、売上を減少させたのである。企業は物を赤字で売っていたことになる。
私自身の経験ではこの2千零年から2千3年かけてが最も激しいデフレスパイラルであったと思う。多くの内需関連企業は内部留保や、原価のゆとり、雇用のゆとりをなくしてしまった。
この落ち込みが激しい低所得化をもたらし、マスコミの間違った格差社会という言葉が生まれる元凶となった。低所得化の悪いところは、最下層が生活保護所帯以下の所得水準になり、食えないことである。
このような急激な消費税率2%引き上げによる資金減少により、国内需要の低迷が、大企業の外需頼みの体質を作ったのである。
4、輸出の増大による生産量の増加:輸出の増大により所得線の角度の下降がくい止められた。しかし所得線の角度が上昇する事なくそのままで、所得が伸びた。 http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/20nennzuhyou.html
激しい国内需要の低下と価格競争により、日本の多くの企業は外需に活路を求めた。そして中国の輸出力の増大と中国の内需の増大に伴い、日本の輸出が増大していった。それが2千四年から六年までの輸出拡大による生産量増加である。しかし如何に輸出が増えようと所得線の角度が上昇することはなかった。
輸出用の生産量の増大は、国内の所得をほとんど形成しないため、それが所得線の角度が低下したままで、生産量が伸びていく。資金も増えるが、しかしその資金の増え方は、生産量の伸びに比例しない。
デフレにおける輸出の増大は、還流資金が国内に回らないため、外貨の獲得や金融資産の増大と同じような性質をもつ。そのため国内の流通機構に資金が直接入らないため、輸出用の生産量が伸びても、資金量が生産量の割に伸びないのである。
それ故デフレ下の輸出向けの生産増は、所得線の角度が45度以下のままで、増えることになり、所得線の角度を上げることは無い。
どちらかと言えば、日本は輸出用の生産量を増やしながらも、内需の減退が大きく、そのため国内資金が逓減していたと言えよう。これが日本の国民所得に対する外需寄与度が大きくなっても、資金が逓減していた理由である。
サブプライム問題 http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/20nennzuhyou.html
しかし2千七年より輸出不振と、原油価格の上昇により、資金が再び減少し始めたため、急激に生産量が減少している状態である。
日本が他の国より経済の落ち込みが激しく、また急速なのは、所得線の角度が45度より下がった状態であるからである。
デフレ線の下では、資金のわずかな減少が大きく生産量を落ち込ませる。また生産量の大きな落ち込みは、労働量の大きな減退を伴い、所得を減じさせる。所得の減少は資金の低下を意味し、所得線の角度が下降する。
我々の負担量が一向に変わらず、所得が減少する事から、それがまた資金を市場から奪う。このような悪循環から再び所得線が下降する。現在は所得線が下降する端緒にある。
このように私達は、いまなおデフレで所得線が下がった状態の経済状態にあり、上に昇りにくく、下に下がり易く、今また輸出減から生産量が大きく落ち込み、雇用が少なくなり、所得が減少している。
2千9年度は、欧米諸国の資産の暴落の影響と外需の不振により、再び国内資金の減少が起こり、所得線の角度が下がり、デフレスパイラルが顕著に表れるであろう。
一刻も早く所得線の角度上げなくてはならない。その方法は既に我々は知っている。後はそれを信じ実行するだけである。急がれる。
(ハートランド理論による。デフレ・インフレの一般理論参照)
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