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欲望と自由(恐山あれこれ日記)
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投稿者 尾張マン 日時 2008 年 10 月 01 日 20:20:05: YdVVrdzAJeHXM
 

http://indai.blog.ocn.ne.jp/osorezan/2008/09/post_71d6.html

 最近人々の耳目を集めていることにアメリカ発の金融危機があります。私は経済をまともに論じられるような見識を持ち合わせないので、大きなことは言えないのですが、一つ、以前から議論の前提として、ここを誤解するとマズいと思っていることがあるので、若干意見を述べてみたいと思います。

 現在の世界で最もひろく受け入れられ、それを最善と考える人が多い経済システムこそ、「自由市場経済」でしょう。したがって、「自由」でない市場は、すべからず「自由化」しなければならない、という議論になります。しかし、ここに根本的な誤解があります。「自由市場」と称されるシステムは、その原動力は「欲望」であり、むしろ「欲望市場」と言うべきでしょう。

「欲望」と「自由」は、その違いをはっきり自覚しないとき、大きな災難を招きます。「欲望」の正体は「したいことをする」というものです。しかし、これに対して、「自由」とは「なすべきだと信じたことをなす」ことなのです。

「自由」が人間において現実となるのは、「自分のすることを自分で決める」、つまり「選択の自由」としてでしょう。である以上、そこには選択の基準があるはずです。これがすなわち「価値観」というものです。ということは、価値意識のない者に自由はありえないことになります。

 このとき、問題は「価値」にあるのですから、「自由」は単純に自分が「したいこと」ではありません。それは他人が見ても「なすべきこと」「したほうがよいこと」、少なくとも「してもよいこと」を問い、課題とする行為でなければなりません。

「自由」に「責任」がともなうのは、まさにここのところです。「自由」が「価値に基づいた選択」として現実となる以上、自分の「自由な決断」が「価値」を媒介に必然的に他者を巻き込み、そこに「責任」が生じるわけです。「責任」が常に他者から問われるのは、ことが「価値」にかかわるからなのです。

「自由」がそういうものだとすれば、市場に「自由」は存在しません。市場の主体は資本であり、資本それ自体は価値観を持ちません。つまり、倫理を持ちません。資本にあるのは、「もっと自分(資本)を大きくしたい」という「欲望」のみです。「欲望」が内部に倫理を持たないのは自明でしょう。それを持つとき、「欲望」は「自由」になります。「これをしたいのだが、してもよいことなのだろうか」と考えて決断し、その決断の責任を自覚するなら、それが「自由」ということでしょう。

 経済メカニズムとしてしての市場(個々の市場「参加者」ではありません)が内部に価値観も倫理も持たない以上、資本に対して圧倒的に無力な個々の市場「参加者」の「価値観」と「倫理」と「責任感」は、常に風前の灯状態に置かれるでしょう。節度をわきまえた紳士淑女だけが参加する市場などというものを、現在の世界の経済規模においてまじめに考える人がいるとは、とても思えません。

 ならば、社会が「正しい市場経済」を必要とするなら、外部から規律を与えるしかありません。その方法は二つでしょう。すなわち、市場の入り口で「参加者」をチェックする規制を設けるか、これを緩和して、誰でも「市場」に入れることにした上で、しかる後に彼らの振る舞いを監視するか。

 かつて、「変人」首相が「構造改革」を喧伝して、「規制緩和」すれば「市場経済」が万事うまくやっていくから、「小さな政府」で大丈夫というようなことを叫んでいた時代がありました。そのとき、この男には致命的に教養が足りないなあと私が感じたのは、入り口を規制緩和するなら、中で誰かが監視しなければならない以上、公的責任と負担はそうかわらない、つまり政府はそれほど小さくならないはずだと考えていたからです。

 ですから、物事を単純に考えて規制あるいは監視を手抜きすれば、市場は資本の原理として「欲望化」するだけであり、「価値」も「倫理」も「責任」も結果的に無視されるだろうことは当たり前なのです。多くの業界で「偽装」が繰り返され、金融会社が「投機」というバクチに狂奔した果てに破綻するのは、いわば市場の本質に由来するのであり、それを防げなかったのは、市場そのものに「自由」はありえず、あるのは「欲望」であるという事実を誤認したからでしょう。
 

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