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(回答先: ドル市場は壊滅状態。資金の出し手がいなくなり、翌日物以外は取引が皆無となっている。レートそのものが存在しない 投稿者 TORA 日時 2008 年 9 月 27 日 14:15:03)
【米経済コラム】金融支援案はゴールドマン報酬支援策?−M・ルイス
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=aPs08FxDm77s
9月24日(ブルームバーグ):23日に上院議会の公聴会で議論された米財務省の金融安定化策についてほんのわずかでも見聞きした人なら、現在の金融危機が終息には程遠いことが分かる。以前では考えられなかった大惨事ですら起こりそうな感じだ。
世界の金融システムの全面的崩壊がその一つで、1月にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(通称:ダボス会議)では参加者が皆それを予想していた。もう一つには、米証券大手ゴールドマン・サックス・グループのボーナス原資減少の恐れが挙げられる。米財務省の対応がどういった形に行き着くとしても、ゴールドマン従業員が報酬削減に苦しむようなことがあれば、失敗と判断されることを承知しなければならない。そして、米国の復活もないだろう。
昨年、ゴールドマンは従業員に対して200億ドル(約2兆1000億円)を報酬として支払った。その額は総収入の44%に相当する。同社のロイド・ブランクフェイン最高経営責任者(CEO)は6850万ドルを受け取り、その他の一般的な従業員も1000万ドル以上を手にした人が多かった。
この事実は、至るところで多くの若者の心を動かした。そうした若者の多くは今後も、投資銀行家になることは依然として価値のあることかどうか自問自答したかもしれない。将来の法律とメザニン債務担保証券(CDO)の組成との板挟みとなり、彼らは勇気を奮い起こしてウォール街に賭けたのだ。ありがたいことには、この混乱にわれわれを招き入れたのはそうした最も賢い人たちで、われわれをそこから脱却させてくれるのもその最も賢い人たちになるだろうということだ。
そこが問題なのだ。ゴールドマンの従業員の給料やボーナスが減るようなことがあれば、最も賢い人たちはゴールドマンに就職したいと思うだろうか。
ゴールドマンの痛み
米政府当局はこれまで、ゴールドマン社内の痛みを回避するためにできることは十分行ってきている。米政府のこれまでの対応は、ゴールドマンの痛みに極めて敏感であるということでしか説明のしようがない。だが、政府の取り組み方は極めて粗雑で、外科用のメスが必要な作業に大きなハンマーを振りかざしているようなものだ。政府当局は金融関連の極めて多くの銘柄について空売り禁止とし、それによってゴールドマンは廃業に追い込まれずに済んだのかもしれない。確かに、この禁止措置がなければゴールドマン株の下落はもっと大規模だっただろう。しかしこの賢明な措置は、ゴールドマンが恐らくほかのどの金融機関以上に、証券関連株の空売りで利益を上げているという事実を無視している。
大胆な政策
ゴールドマンには今すぐに収入が必要だ。ゴールドマン株だけについて空売りを禁止し、残りの925の金融関連企業の破たんを容認する政策のほうが、より賢明だっただろう。ゴールドマンはそれでなくても、米大手証券リーマン・ブラザーズ・ホールディングスや米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の残骸(ざんがい)を拾い集める上で、良い位置にあった。ほかの金融機関がさらに困難に陥れば、ゴールドマンはそうした企業の資産の中で最も価値の高い部分を取得し、一層基盤を強化するだろう。考えてみると、ゴールドマンはこの件を片付け、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスを買収し、自社の証券に自ら格付けを付与すればよいのだ。多分、同社の株価下落に歯止めがかかるだろう。
このことは、大胆な政策をとることを恐れる米証券取引委員会(SEC)内部の性格上の欠点が生み出す代償を明白にしている。金融株は再び下落トレンドとなり、ゴールドマン株の空売り禁止だけでは十分でなかったことは確かだ。必要なのは、より広範囲にいかなる悲観論についても禁止することだ。不安をあおる新聞記事やうわさ、やや懐疑的な考え方など、ゴールドマンの株価に悪影響を及ぼしかねないすべてのことは、非合法としなければならない。
ポールソン長官の財産
最近、ヘッジファンドの運用担当者数人からポールソン米財務長官の懐具合に関する話を耳にした。運用担当者たちが指摘した点の一つに、ポールソン氏は古巣のゴールドマンを退職して財務長官に就任するという一世一代の取引を行ったというものがあった。ポールソン氏は就任に備え、当時最高値付近にあったゴールドマン株の売却に迫られ、50億ドル相当で売り抜けた。さらに財務長官としてキャピタルゲイン(資産売却益)税を免除されたのだ。抜群のタイミングでゴールドマンを退職し、ポールソン長官の正味財産は倍増した可能性がある。
ヘッジファンドの運用担当者たちは、わずか数日前にはゴールドマン株の空売りを行っていたが、今はゴールドマン株を絶妙に売り抜けた財務長官のうわさ話ぐらいしかすることがない。彼らの暇つぶしのうわさ話は、政府による禁止が必要な消極性の一つだ。
しかし、政府の失政を長々論じるつもりはない。これまでのところ、政府はゴールドマンの従業員がひどい苦境に陥らないことを確実にする上でよくやってきている。今後を検討しよう。
ポーカーの試合
財務省は、ゴールドマンなどが作り出して消費者に販売した不安定な金融商品の買い取りに向け、7000億ドルの公的資金投入を提案した。多くの明確な理由、そしてその裏に隠れている別の理由からも、これは良いことだ。間違いなくこの政策によって、ゴールドマン破たんを望む市場の動きは鈍化している。加えて、ゴールドマンは市場価値を十分上回る額で不良資産を差し出す機会を得ることになる。
財務省のこの計画によって、ゴールドマンはこっそり大もうけする素晴らしい機会に恵まれることになり、今後も長きにわたりボーナス原資を守ることになるのだ。
ウォール街の動きをトランプのポーカーに例えれば、ゴールドマンはゲーム巧者ということになる。ウォール街の資金の多くが退場を余儀なくされたことを考えると悲しい。テーブルにはもう誰も残っていない。ゴールドマンがまさにゲームの賞金を荒稼ぎしようとするなか、米政府当局が介入してきて、同社は満足げに何らかの行動を期待している。ゴールドマン社内の最も賢い人たちが今この瞬間に、自社の不良資産を高く売却するだけでなく、他人の資産を安く購入する上で財務省をどのように利用しようかと考えていることは容易に想像される。
いずれにしても、ゴールドマンが7000億ドルをどのように自社のために利用するかについて答えをはじき出すまで、長くはかからないだろう。そのことは信じていい。つまりは、米資産家ウォーレン・バフェット氏がそうしたように。
更新日時 : 2008/09/25 14:43 JST