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(回答先: 【無駄な道路などを作る位なら2】投資するなら風力発電!? ドイツ風力発電事情と、公共投資はこうして資産として残る指摘 投稿者 ブッダの弟子 日時 2008 年 7 月 29 日 21:53:40)
http://d.hatena.ne.jp/rcf/20080626/1214471150
デンマークでの風力発電事情から学ぶべきこと
風力, 欧州, 温暖化
Bookmarkの方のコメントにも書いたが,イギリスのシンクタンクである政策研究センター(Center for Policy Studies)が発表した風力発電に関する報告書「風力の戦慄 風力発電がイギリスのエネルギー不足に役立たない理由(Wind Chill Why wind energy will not fill the UK's energy gap)」を読むと,改めて,風力エネルギーの実力について考えさせられるものがある。
これまでも,風力エネルギーの開発と系統網接続は,逆に化石燃料依存を一定レベルに固定する(それ以上,化石燃料依存を減らせなくなる)可能性があることを指摘したが,より一層の確信を持つようになった。
特に,報告書の2章に書いてある「デンマークでの教訓(Lessons from Denmark)」は,風力先進国デンマークの実情についてまとめてあり,非常に役立つ。
やはり,欧州での自然エネルギー開発について評価を行う際には,国際的な系統網の充実を抜きにしては考えられないことがわかる。また,それは,日本では「他国から電気を融通してもらうことはできない」と言うことでもある。もっとも,その一方で,非常に国土が狭い(たぶん,南北・東西とも200km程度であろう)と言う実情を考慮する必要もあるとは思うのだが。
以下に,報告書の2章を超訳もどきをしてみた。原文はhttp://www.cps.org.uk/latestpublications/?から無料でダウンロードできるので,ぜひ,そちらを参照して頂きたい。
デンマークでの教訓(超訳もどき)
デンマークは,ヨーロッパで最も風力発電が集約されている国である。540万人の人口に対して,6000基の風車があり,2002年の実績では国内電力使用量の19%相当の発電を行っている。理論上,デンマークのピーク需要の64%に相当する風力発電設備を擁している。
しかし,風力発電の開発が進められてきた中で,従来型の発電設備(石炭,ガス,原子力)を1基すらも閉鎖できていない。風力の持つ間欠的で変動のある性質から,実際の電力需要を完全に賄えるだけの従来型発電設備を操業させておき,バックアップとして待機させておく必要があるからだ。
さらに,ベース負荷分を担う大型発電設備を,風の強弱に合わせて出力変動させることは現実的ではないと言うことにも気付いている。石炭発電設備に代表される,それら大型発電設備の出力を急速に変動させることは,大気汚染物質や二酸化炭素の排出量を増加させる。風力発電による完結性の影響が及ぶのを防ぐために,ベース負荷を担う発電設備による発電は維持されている。そのため,風力発電設備にとって良好な風況となると,電力供給量は余剰となり,他国に非常に安値で販売されるか,風力による発電を止めるのである。コペンハーゲンの新聞紙「Politiken」によれば,1999年のデンマークの全需要の1.7%のみが風力発電によるものであった。そして,2003年では,例えば,デンマーク西側の風力発電による電力の84%は,収益を喪失した価格で輸出されている。広大な風力発電設備による電力の3.3%だけしか,デンマーク国内の系統網には受け入れられていない。この状況は,デンマークの風力発電のグリーンであるとする信用を低下させている。例えば,デンマークの系統網で見た場合,2006年度の石炭発電への依存率は2005年よりも50%増加している。この増加分は,風力による発電が行われなかった部分を補うためである。このような風力発電の低稼働率による石炭火力の需要増により,デンマークの2006年の二酸化炭素排出量は36%もの増加を見せている。
他にも問題はある。時折,デンマークの風力発電設備は,電力需要の小さいときに,最大の発電能力を発揮する。逆に,電力需要が最大の時に,全く電力を供給できない時もある。しかし,風力発電設備それ自身を維持するために電力を必要とする。ほとんど無風状態の日には,風力発電システムが再設定するのに必要とする電力需要は,それらが発電する量を超える。つまり,風力発電設備は,発電するよりも多くの電力を系統網から消費するのである。言い換えれば,風力発電設備は,実質的な電力消費者になることがあるのだ。
また,風力発電は安価ではない。デンマークの消費者向け電気料金は,欧州で最も高い。2007年の上半期には,デンマークの電力消費者は,3億2203万ユーロを風力発電への補助金として支払っている。お金は,デンマーク公共サービス義務(PSO:Poblic Service Obligation)を通じて徴収される。これらは,風力発電による電気の卸売価格とは無関係に,風力発電事業者の最低価格を保証するためのものである。デンマークの国内系統網(Energinet.dk)は,2007年の最初の6か月では,PSOの額は半分になると予想していた。
しばしば風力発電の開拓者と呼ばれるデンマークの経験に基づけば,風力エネルギーとは高価であり,非効率であり,特段に「グリーン」とは言えないことになる。