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インフレ懸念だけでは難しい米国の利上げ(KlugView)
2008/07/17 (木) 12:58
7月16日に発表された6月の米消費者物価指数は、前月に比べ1.1%の上昇と05年9月以来の高い伸びとなりました。また、前年の6月と比べると伸び(前年同月比)は5.0%の上昇となり、91年5月以来、約17年ぶりの伸びを記録しています。
米国の物価を押し上げているのは、日本と同じようにガソリンと食料品です。ガソリンは前月から10.1%も上昇しています。わずか1ヶ月で1割も価格が上がっているのは驚きです。また、食料品も生鮮野菜を中心に前月より0.8%上昇しています。
米消費者物価指数が発表された日(16日)には、米連邦準備理事会(FRB)が、政策金利の据え置きを決めた6月24、25日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨を公表しました。要旨では、景気底割れへの懸念が後退する一方、インフレへの警戒感を訴える意見が出されたことが示されています。
物価の伸び(上昇率)が高まっているほか、金融当局にてインフレを警戒する意見が出ていることを考えると、米国でも近い将来、利上げの動きが出てくると思う方が増えているかもしれません。一般に、物価上昇(インフレ)率を抑えるためには、金利を引き上げることが有効とされているほか、米国の政策金利(FFレート)は、現時点では2.00%と、04年11月以来の低い水準で推移しているからです。
ただ、米国の物価上昇率が今後も高まったとしても、FRBが利上げを実施するのは難しいと思われます。米国の住宅市場に回復の兆しがみられないほか、米国の実体経済も依然として悪化傾向で推移しているからです。
そもそもFRBが大幅かつ連続で利下げを実施したのは、サブプライムローンを始めとする住宅ローンの毀損(貸し倒れ)が大規模に発生したためです。米国の住宅価格が2006年のピークから2割近く下落しているものの、依然として価格下落圧力が高い状況において、利上げが実施されれば、住宅価格の下落は加速し、住宅ローンの貸し倒れがさらに増える可能性が高まります。
米国の実体経済が脆弱である点も忘れてはなりません。6月の米小売売上高は、前月比0.1%増と、市場予想(0.4%増)を大きく下回りました。米政府は、4月下旬から、納税者一人あたり一律600ドル(約6万3千円)、子供一人につき300ドル(約3万2千円)の所得税還付を実施していますが、個人消費を大きく押し上げるにはいたっていません。
為替市場では、米国の利上げ期待もあって、ドルが急落した後も、値を戻す展開を繰り返しています。ただ利上げ期待が単なる期待でしかなく、結果的に利上げが遅れることが織り込まれれば、ドルは再び下落方向で推移することになるのでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
6月の米消費者物価指数は、前年同月比5.0%の上昇
この伸び率は、いつ以来の水準?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
91年5月以来(約17年ぶり)の伸び
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/07/17/003275.php