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[東京 30日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは30日、日本政府の円建て国内債券(日本国債)の格付けをA1からAa3に引き上げた。格付けの見通しは安定的。
ムーディーズのシニア・バイス・プレジデントのトーマス・バーン氏によると、今回の格上げは、継続的な財政引き締めあるいは再建の取り組みへの期待、デフレのマイナスの効果のなだらかな低減を背景としている。ムーディーズが今回、格付け見通しのポジティブへの変更、見直しといった通常のプロセスを経ずに1ノッチの格上げを行ったのは、政府、与党の財政再建へのコミットメントが強いと考えられること、今年度の経済成長が減速したとしても、不安定な世界経済情勢に対して日本経済はその強さを維持していくとみられることに基づいている。
バーン氏は「日本の消費者物価指数は総合ベースでもコアベースでもプラスの領域に移行しているが、その上昇ペースは他の先進諸国の例に比べて比較的緩やかで、マクロ経済の安定性を脅かしたり、日銀による予防的な引き締めにつながったりすることは考えにくい」と指摘した。日本の銀行システムについては「その再編が進み、欧米での信用危機による最悪の影響も回避しているため比較的良好な状態にある。さらに、政府系金融機関や公団などの財投セクターから多額の偶発債務が発生するリスクと、それによって既に極めて高水準にある政府債務にさらに負担が加わるという可能性も大幅に低下した」と述べた。
バーン氏はさらに「主に公共投資、地方政府に係る歳出削減を通じた継続的な財政再建の取り組みにより、財政は徐々に改善する傾向にある。赤字削減は着実に進んでおり、旧小泉政権が設定し、福田政権に引き継がれている政府目標の2011年までの一般会計プライマリー・バランスの黒字化につながるとみられる」と指摘した。
ムーディーズによると、政府債務は依然として、平時における先進諸国の状況に比べて高水準で、政府の歳入基盤、GDPとの対比でも他の先進諸国より高水準にあるが、政府の確固とした財政・金融政策スタンスにより、政府債務増大のペースが緩やかになっていく可能性がある。2008年における小幅な税収増の見込みや、世界の経済状況、商品価格の高騰による国内経済成長の阻害や企業収益の低下といった環境下でも、政府は一般政府赤字の規模を4期連続で縮小させる意向にある。
政府債務の推移が引き続き改善傾向を示すことについて、バーン氏は「より高い名目GDP成長率を確保する必要がある。つまり、インフレが初期段階にあり実質・名目GDP成長率が緩やかな中では、金融緩和政策を維持していくことが必要となろう」と指摘した。
日本は依然として多額の債務を抱えているため、日本の財政は金利の急上昇や他のマクロ経済のショックから影響を受けやすい。しかし、ムーディーズは、日本はその基礎的な構造上の強みとシステム全体の特徴により、極めて高水準の債務を維持していくことが可能とみている。
ムーディーズによると、日本国債の格付けのさらなる引き上げは、持続的な財政再建、政府債務削減の見通しが求められる。低い出生率、急速な高齢化を背景とした社会保障費、年金支出の増大という強い向かい風の中で、政策上の選択肢は限られるとみている。
日本の外貨建てカントリー・シーリングAaa、日本政府が保証して海外市場で発行された債券(ユーロ円債を含む)に対する格付けAaa、短期外貨建てシーリングPrime─1、自国通貨建て債務シーリングAaa、自国通貨建て預金シーリングAaaには変更はない。
(ロイター日本語ニュース 片山 直幸記者)