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(回答先: 権原アプローチによる飢饉発生メカニズムの分析 ―― 【慶應義塾大学井庭崇研究室 2006 年度秋学期】 投稿者 hou 日時 2008 年 4 月 26 日 08:00:19)
ありがとうございます。
PDF版を印刷して読んでみました。
コンピュータシミュレーションを使った新しい経済学の手法、というのはよさそうですね。
ただし、モデルの立て方は、疑問でした。おそらく、センが分析した社会ではそのようなモデル化が妥当だったのかもしれませんが、日本でモデル化するなら、もうちょっと現実的でないと説得力に疑問がつきます。
モデルでは、
土地所有者
土地所有者は自らの土地で生産された食糧で生計を立てる人々のことである。
小作農
小作農は借りた土地で食糧を生産して生計を立てる人々のことである。
都市労働者
都市労働者は、いわゆる特権階級の人々のことである。彼らは食糧、サービス共に国家から保障されているため、食糧を自ら購入する必要はなく、市場に出された食糧の一部が、自動的に彼らの取り分となる。
地方労働者
地方労働者は賃金労働によって生計を立てる人々のことである。
地方サービス提供者
地方サービス提供者は生活必需品や、サービスの生産によって生計を立てている人々のことである。
このうちの特に「都市労働者は、いわゆる特権階級の人々のことである。彼らは食糧、サービス共に国家から保障されているため、食糧を自ら購入する必要はなく、市場に出された食糧の一部が、自動的に彼らの取り分となる」という存在が、日本の現状や世界の資本主義国で、現実的な存在にあたるのか、疑問でした。
しかも、
5.2.1 都市労働者の保障食糧(r)の影響
センのモデルの一つの特徴として、一定のパラメータを設定した上で、都市労働者に保障された食糧の量の値であるr を変動させることで、各エージェントの権原が変化するということが挙げられる。今回作成したモデルでも、最終的な結果としてr の値を上昇させると、土地所有者と都市労働者の権原は増加し、地方労働者と地方サービス提供者の権原は減少するというセンのモデルと同様の結果を得ることができた
というように、「(特権階級である)都市労働者に保障された食糧の量」が大きな役割を果たしています。しかし、そもそも、「都市労働者に保障された食糧の量の値」というのが現実的に何を意味するのか、想像できませんでした。
* それと、前の発言で問題にした価格形成における情報格差の問題は、このモデルのままでは「市場」という「エージェント」を想定したために、そのなかに隠されてしまっているようです。
まあ、しかし、コンピュータシミュレーションによる経済学という経済学の新しい流れがありそうだ、ということに期待が持てました。