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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu165.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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『中国工場 製造部長のぼやき』 豊かな上海の人たちは、
もの作りから離れ、投資や商売に走ってしまう現状がある。
2008年4月13日 日曜日
◆『中国工場 製造部長のぼやき』・・・『目次』
http://www007.upp.so-net.ne.jp/boyaki/mokuji/mokuji.htm
◆◇ 整理整頓は誰の仕事 ◇ 2001.08.20
http://www007.upp.so-net.ne.jp/boyaki/mokuji/010820.txt
いつものように検査をしていると、製品の中から変な音が聞こえてきた。早速分解してみると、なんと中から爪の切りくずが出てきたのだ。「なんでこんな物が?」 私は急いでラインへ向かった。班長を呼び、先ほどの製品を見せると、班長の顔は、嫌そうな顔に変わった。
曹: 「何でこんなものが入っているの?」
班長:「分かりません。」
曹: 「どう対策するの?」
班長:しばらく考えた後で、「検査工程追加しましょうか。」
曹: 「だめ!!、先ず掃除しなさい。」
班長:「だって今、掃除のおばさんが、掃除したばかりですよ。」
私は、もう班長には任せておけないと思い、一工程ずつゴミを拾ってまわった。ラインを一周すると、有るは有るはゴミの山。ごみの代表的なものを揚げると、輪ゴム、ネジ、半田くず、ヘヤピン、消しゴムカス、爪、テープカス、テープ芯、鉛筆の削りカス、プラスチック片、小部品、釘、発泡粉、髪の毛、ホッチキスの芯、ビニル袋、鼻くそ?、指サック、ボタン・・・・・。おまけに、作業者は自分の部屋のキーホルダーや、腕時計等なども作業台の上において仕事をしていることが分かった。
さらに、驚いたことに、自分の工程で出たゴミを、ラインのコンベアの上にのせているではないか!?。
(注:この工場のラインはベルトコンベアで、ラインの最後にゴミ箱が敷設してある)
この「コンベアの上にゴミをのせる」のは、彼らにとっては、活気的な発案だそうだ。なぜなら、各工程にゴミ箱が無くても、ゴミを一括収集できるからだそうだ。
体の力がどっと抜けた。どうして、ゴミと製品を一緒に流さなければならないの?これを考えた管理者は、職歴7年の上級管理者さんだそうだ。
私は、早速ゴミの処理方法について、長い取り組みを始めるのだった。
まず、最初に始めたのは、自分の作業台を掃除させることだった。毎日、昼、夜、晩の退勤時には必ず作業台を掃除させた。そして、私も姑のようにラインのゴミを集めた。
しかし、そのうちに管理者からこんな声もあがった。「掃除は掃除婦の仕事なのに・・」私は、言った。「汚い職場でよい製品は作れない。自分の作業場は、自分で掃除するのが、一番綺麗になるんだよ。」その管理者は複雑な目で私を見つめていた。
◆◇ 豊かな中国の歪んだ労働者 ◇ 2003.10.13
http://www007.upp.so-net.ne.jp/boyaki/mokuji/031013.txt
「そんなに厳しいのなら、私はもう辞めます。」
「厳しいって、大きな声で、挨拶してくださいと、言っただけでしょう?何でそんな事くらい、できないのですか?」
「ハッキリ言いますけど、私は1000元位の給料なんか、ゴミみたいなものなのです。ただ、家で、友達達と、マージャンをしているのも、刺激がなくて、つまらないので、働きに来ただけです。」
「それ、どういうことですか?」
「私の夫は、トラックの運転手をしていて、一ヶ月の収入は、1万元以上、それに、開発区ができて、土地を提供したので、その保証金が、数万元単位で入ってくるので生活には、全然困りません。だから、こんな会社に居なくても全然困りませんし、いくらでも、仕事は、見つかります。」
言葉を失っている私を横目に、その女性は、サッサと工場の門を出て行きました。 上海から車で数時間のところにある、ある小さな経済開発区に来て数日後の事です。工場の雰囲気は、とても生ぬるく、ダラダラとした雰囲気を改善すべく、ちょっと刺激を与えた私に帰ってきた反応は、こんな激しいものだったのです。
ちょっとショックを受けた私は、この土地柄のことを調べるべく、地元の「対外経済貿易合作局」という、外資企業のお手伝いをしてくれる、政府機関を訪れるのでした。
対応してくれた、合作局の幹部は、時さんと言い、地元の人ではありませんが、ちょっとスマートな感じがする、40代前半の男性です。
「時さん。この地域は、一体どうなっているのですか?」
今回の出来事を、一通り説明した私は、時さんにすがるような気持ちで、こう質問をぶつけます。すると、時さん口から、思いもよらない言葉が、帰ってきたのです。
「この地域で、地元の人を雇っている工場は、とても少ないですよ。そもそも、このあたりの人は、数年前までは、とても貧乏だったのですが、開発区ができてから、一変したのです。地元の人で、一生懸命工場で働こうとする人なんか、いません。」
「それじゃあ、地元の人たちは、どうやって生活しているのですか?」
「小さな、商売をやったり、投資をしたりしています。工場で働きに来る人なんかは、多分、何か理由がある人たちじゃないですか?」
「それじゃあ、私たちは、どうやって人を募集したら良いのですか?」
「ほとんどの工場は、外地から人を入れています。ただ、このあたりで、募集するのは、難しいかもしれません。シンセンと違って、人口が大量に入ってきているわけではありませんし、工場も、その工場単位で、独自の募集方法をとっているみたいですから・・・・・。ただ、できるだけの協力はしますから、安心してください。」
「長期間、在職してほしい」、「将来、会社の幹部になってほしい」という社長の思いとうらはらに、豊かな地元の人たちは、もの作りから離れ、投資や商売に走ってしまう現状、移り行く時代の中国で、私たちは、どう人を使っていくべきなのでしょうか?
●後書き
私の友達の工場(中国)のコンピューターから、突然エッチな写真が出てくるので、修理してほしいという依頼を受けたので、ちょっと調査を含めて行ってきました。その会社の社長の依頼を受けて、インターネットのアクセス・ログが保存できるように設定したのですが、その後、友達から、面白い話を聞きました。地元出身で、将来の幹部と思っていた人が、人材センターに、自分の求職登録を、していたり、仕事時間中に、映画を見ていたりと、すごい状況だったそうです。
(私のコメント)
北京オリンピックの聖火リレーにおける妨害行為に対する中国人の反応は、繁栄する中国への妬みであるといった中華思想を反映するものが多いようだ。冷静な意見もなくはないのですが、中国人は何よりも面子を重んじてプライドばかりが高くなってしまう傾向があるようです。
『中国工場 製造部長のぼやき』というメルマガは、実際に中国の製造工場で働いてきた人のメルマガなのですが、中国に進出しようという企業の社長さんなども読んで欲しいものですが、実際に日本の中小企業の社長さんが抱えたトラブルも沢山出てくる。
中国に進出している日系企業は約2万社にも及んで、雇用数は900万人にもなるから、日系企業は中国における経済発展に貢献している役割は大きいものがあります。もし立場が正反対だったら日本人はどのように感ずるだろうか? 中国企業が2万社も日本に進出してきて900万人もそこで働いている光景は想像できない。
日本における外資系の企業数は4276社であり雇用者数は102万人です。それに比べてみればいかに多くの日本企業が中国に進出しているかがわかりますが、日本のGDPが90年代からほとんど横ばいなのは、中国などに進出した日本企業の経済拡大が日本のGDPに反映されない為であり、アメリカなどへの経済摩擦回避の為に中国などで製品を作ってアメリカに輸出している。
今から考えてみればアメリカによるジャパンバッシングは貿易赤字によるものではなくて、日本から中国に進出させる為に計算されたものだったのだろう。今では中国がアメリカの一番の赤字相手国になりましたがチャイナバッシングは小さい。この違いはどこにあるのか? 考えてみれば中国は戦略核ミサイルを持っているが日本は持っていないからだろう。
中国人はかっとなれば何をするか分からないから怒らせれば核ボタンも押しかねない。そのことを知っているのはロシア人であり、毛沢東は核戦争で半数は死んでも半数は生き残ると平然と言ってのけた。毛沢東は大躍進の失敗や文化大革命で数千万人もの餓死や殺戮を行ないましたが、そんな中国にクリントン政権は核ミサイル弾頭の技術を輸出している。
アメリカが中国に対してどんな思惑があるのか分かりませんが、北京オリンピックもアメリカの後押しが無ければ実現は無理だっただろう。アメリカの奥の院の中国に対する援助は並々ならぬものがあるのですが、ブッシュ大統領もチベットの人権問題があっても開会式には出席すると言明している。
アメリカ人から見れば日本人も中国人もよく似ているから、日本で成功した経済成長が中国でも可能だろうと考えるのは当然だ。日本人ですら中国に進出した企業の経営者達は日本人と同じと考えてしまいがちですが、それで思わぬトラブルを起こしてしまう。
最初のメルマガを読んでもらえばわかるように、中国人には整理整頓や掃除をするという意識は全くない。掃除は掃除係がやるもので工員がやるものではないと考えているからだ。中国に進出した企業はそのような事から工員を教育していかなければなりませんが、日本人と中国人は見かけはよく似ていますが、文明度はかなりかけ離れている。
上海などの沿岸部は経済発展で豊かになり、超高層ビルや高速道路が出来て外国の高級車が走るようになって来た。現在では中国の生産コストはかなり高くなり、ベトナムなどの東南アジアのほうがコストが安くなっている。人民元も上がり始めて1ドル=6元台にまで上がってきている。ドルとのリンクを止めればもっと上がるだろう。
労働法や外資系企業への優遇税制もなくなって中国を脱出する外資系企業が続出していますが、このような事は予測できた事であり「株式日記」でも警告してきた。豊かになった中国人が手のひらを返して外資系企業を追い出しにかかるのも時間の問題だろう。中国政府も国内矛盾を外資のせいにして責任逃れをしようとするだろう。
上海あたりでは工場で働こうと言う人はほとんどいなくなり、商売や投資で生活しようとしている。この辺が日本人と中国人の違いですが、豊かになれば日本人は大企業で働きたがり、中国人は商売を経営したり投資などで働きたがる。中国人は博打が何よりも大好きで株式投資に夢中だ。
中国人は企業に対する忠誠心もなく1円でも高い給料のところにすぐ転職してしまう。メルマガでも中国人社員が一斉に辞めてしまった日本企業が出てきますが、日本人ですら中国人の意識の違いを理解できていない。だからアメリカ人が中国人と日本人とを同じと考えても無理はない。だからアメリカ人は中国が豊かになれば日本のように民主化されると考えたのだろう。しかしそうではない事が北京オリンピックでよく分かることだろう。