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(回答先: 「間違いだらけの政府・日銀政策を総括する」 早大 田村正勝研究室 投稿者 肥筑 日時 2008 年 3 月 30 日 12:39:14)
日銀福井総裁の失敗の総括 来年辞めるに当たって。
一言で言うと、デフレを促進しただけである。
ほめるべき物は何もなかった。あるとすれば教科書どおりのことをやったということだ。ただその教科書が間違っているのである。(http:blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/アダムスミスの致命的欠陥、ケインズの致命的欠陥の章参照)
政策の責任者として理由は何であれ失敗は失敗なのであり責任を取らなければならない。
1、デフレが何たるかを知らず低金利過剰融資政策を取ったこと。
その結果、返ってデフレを急速に促進させ、国内市場の縮小により内需が停滞し、企業の多くが海外市場にシフトしたため、日本経済を輸出と輸入に依存する発展途上国型の経済構造に変えた。今や輸出と輸入に依存した経済構造は内需を崩壊させつつある。この構造は日本の将来性を著しく害するものである。
さらに低金利の弊害が円キャリーを生じさせ、海外資産の高騰、原油高騰、サブプライム問題を引き起こした。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ここまで落ちぶれた日本のパフォーマンス参照。)
2、銀行の合併統合を優先させ民間経済をないがしろにしたこと。
この銀行合併は、単に銀行だけの安定を考えたものであったため、預金金利の低下により、個人の本来入る利子を奪い市場から資金を奪い去るというデフレで一番やってはいけない事をしてしまった。
さらに債権回収の名のもとに多くの民間企業を淘汰せしめた。
さらに不良債権の削減を銀行に求めたため、銀行合併や預金金利の低金利により資本に余裕のできた銀行は、貸し剥がしという異常な債権回収を行なったため、多くの企業が倒産し、失業者が増え、経済をどん底に陥れたのであった。
この企業淘汰は、デフレというものが供給過剰から来ているとする間違った考えから行われ、その結果企業が倒産すればさらに失業が増え所得が減っていったのである。この根本的に間違った政策が、自殺者が年に3万人を越えることになった究極の原因であろう。
この間日本政府がさらに生産力を増強させるため企業に補助金等の優遇策をとったことがさらにこの弊害を増強させることになった。。
これは、資金が減少し続ける中での生産力増強となり、価格低下競争から、企業の付加価値に対して十分に価格が付けられないデフレ状態をさらに促進したのである。まさに間違った経済理論の応用がこの悲惨な状況をもたらしたのである。
その上この低価格競争は
下級財の輸入品が大量に日本に流入するきっかけとなってしまった。それがまた多くの日本企業の倒産廃業を生み出し続けている。
この政府と日銀の二つの間違った政策により日本は瞬く間にデフレスパイラルに陥り、経済をどん底に落としてしまったのである。特に小泉政権の始まりから3年ほどの間急激に経済が縮小するデフレスパイラルであった。
しかしこのデフレ現象には、実質GDPを実態以上に成長させる仕組みが存在するため、多くの経済評論家や政策担当者が、この偽りの成長を本来の成長と見なして誤った信号を送り続けたのである。それがいざ凪を越える経済成長が続いているという戯言である。
いまなを実質GDPの成長に基礎をおいた政策を取り続けているため抜本的な改革がなされないでいる。
(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/デフレに内在する生産量増強システム。参照)
「デフレの性質:デフレは資産バブルの崩壊や、金融市場の暴落などにより、ハートランドの資金が大幅に減少し、生産量に比べて大幅に消費のための資金が少なくなる事から生じる。これによって大幅な消費の減少により、低価格競争が生じ、企業は拡大再生産に必要な利鞘を稼げず、経済が縮小循環に入っていくのである。」
(http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusiデフレインフレの一般理論第3章デフレのメカニズム参照。)
それ故原因は市場の資金不足にあり、消費の減退が根本問題であり、供給過剰の問題ではない。
デフレにおいては1にも2にも資金を消費者側に送る必要がある。
しかしながら日銀がとった政策は逆に消費者からお金を奪い生産者を優遇する政策を主体としたのものであった。
1、の低金利過剰融資政策は、普通の正常な経済における需要と供給の循環から起こる不景気であれば当然推奨される政策である。しかしデフレにおいては唾棄すべきものである。
ゼロに近い低金利は、預金者にとって本来自分に入るものが銀行に奪われ、消費を減退させる方向に働く。そして外貨に預金を向かわせる。ますます国内に資金がなくなるのである。
企業側には生産刺激となって生産量を増大させるが、消費がないところへの生産増は、価格をますます下げさせ付加価値に対して価格を十分に載せるのが難しくなっていく。
その結果企業は一定又は減少する消費額に対して低価格品を多く市場に送ることになり、生産量に見合った利鞘を手に入れることができなくなる。それが統計に現れ実質GDPが増えることになる。しかしこの増加は、実際の利鞘が増えない増加なのである。
言い換えると企業は一つ一つの生産物の利益額が減少するため、より多く販売しなければならず、コスト高の体質になっているのである。
すなわち利益率の少ない原価率の高い生産物が増えたことを意味している。名目GDPと実質GDPの逆転現象は、付加価値に正常な資金量を載せられていないことを表す。常に生産物の付加価値以下の価格しか付けられず、利鞘の少ない利益率の悪い状態なのである。資金量と生産量の差が大きいほど、低価格の生産物がたくさん作られるのである。
これがいざ凪を越えたという経済成長が偽りの成長であることを物語っている。ここ9年間の民間賃金の減少はこれを証明するものである。
その結果国内で十分に利鞘を取ることができない企業は、国内への販売を見限り輸出へとシフトしていった。輸出の増加は実質GDPの増加要因となったが国内市場のデフレは一段と進み、完全に内需のない発展途上国型の経済構造に変えてしまった。ここに日本の構造改革は完全に失敗したのです。
低金利過剰融資政策は国内になんら資金が回る事なくただひたすらに外国へと資金を流し、円キャリーとなって運用され、その金で日本の資産や会社が買われた。
なぜなら国内市場に有効な投資先がなく経済が縮小状態にある時、低金利にすると不景気の金あまりというスタッグフレイションなるものを人工的に作ることになったからである。ハートランドの低迷は、投資によって資金を市場に送り込めないのである。
世界を揺るがすサブプライム問題や原油の異常な値上がりも使いでのある日本円が低金利で流出したのが遠因である。普通の発展途上国の通貨は誰も見向きしないが日本円はそうではない。
また低金利は銀行優遇策でもあった。
銀行合併は、銀行資本を強化したが、民間企業に取ってはそれが貸し剥がしとなって、民間企業から資金を奪い企業を淘汰したのであった。供給削減は多くの失業者や自己破産を生み、自殺者が急増したのである。
本来銀行は企業と共に発展するものであるが、銀行のみの生き残りが返って、企業淘汰を促したのであった。
デフレには消費者側に資金を投入することが大事であり内需を喚起することで国民所得を増やしていかねばならないのである。
そのためには金利を引き上げ、預金金利を増やし消費を喚起し、企業の生産量を刺激するのを止め、付加価値を載せ易くする方法を取るべきであったのだ。
現在の倒産の多くは売上不振からくるものであり、借金過多によるものではない。企業は売上が欲しいのである。この現実に対応せず、いたずらに低金利を実行し続けることはもはや犯罪である。
そして自らの低金利の失敗が円キャリーを生み出したことを知った日銀は早急に金利を上げようとしたが、国内の抵抗に合い、又サブプライム問題の発生により金利の引き上げは暗礁に乗り上げてしまった。
(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/低金利はデフレに役立ったか。参照)
国内の抵抗は全く理不尽な理由によるものである。今の日本の成長はほとんど輸出によるものであり、ホンのわずかな金利の引き上げが外需を縮小させたわけではない。今年の内需の不振は、住民税の引き上げと石油製品の上昇が、消費を不振に陥らせているのである。今の日本の民間消費はそれほどギリギリまできているのである。それ故金利をどんどん引き上げる指導力が必要なのである。
日銀の福井総裁は自らの低金利の失敗を是正する事なく傷口を広げたまま退職するのである。退職金より損害賠償を請求するべきであろう。
もし日本が先の将来において没落したならばこの6年間の日銀と小泉政権下の政策担当者の政策が戦犯として歴史に記されるであろう。
申し添えて置くがこのような手厳しい批判が国内や海外から出ないのは、多くの経済学者や評論家、政策担当者も同じ教科書を使っているため、批判できないだけである。なぜなら彼らもまた同じ立場なら福井総裁と同じ事をしたであろうからである。同じムジナの手合いが、彼を讃えたとしても、それは、国民の置かれている立場を無視した馴れ合いであろう。
それ故一刻も早く間違ったデフレ政策から正しいデフレ解消策へと変えなければならない。しかし残念ながら次の総裁も同じ手合いである可能性が大きい。何か気が付かせる良い方法がないのだろうか。
デフレでは資金は消費者側に投入し、生産者側の生産量を抑える方が成長し易いのである。
まず預金金利をどんどん上げることである。日銀は今できることはこれだけであろう。http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi参照デフレインフレの一般理論第26章なぜ金利を上げた方が良いのか。