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間違いだらけの政府・日銀政策を総括する----(日銀新総裁の誕生に寄せて)
早稲田大学 田村正勝研究室 (2008.03.16)コラムより
http://www.masakatu.net/main.php
(一)量的緩和策とその禍根・・・
(二)不良債権直接償却策の尻拭い-----「合成の誤謬」に陥った不良債権処理・・・
(三)超低金利と消費不況-----海外ファンドのカネも
(1)消費不況と将来不安をもたらした超低金利
可処分所得に占める貯蓄の割合である「貯蓄率」はピークの73年度の23・2%から、00年度7・9%、06年度は3・2%まで下がっている。この貯蓄率の低下と「超低金利策」とにより、家計の受け取り利子はピーク時93年度の27・7兆円から、02年度には4・7兆円にまで減少し、その後も減少し続けている。
超低金利ゆえに国民の受け取り利子は、この10年間で154兆円消え、国民は90年頃を基準とすると、今日までに受け取り利子300兆円余りを取り損なった。これが、消費不況の最大要因となったばかりでなく、年金基金その他の財団や社団の経営を狂わせ、将来不安を蔓延させた。
(2)敵対的買収と米国住宅バブルに資金提供
さらに超低金利策が、海外ファンドの「円キャリー取引」をあおり、その規模は最大1兆ドル(118兆円)にも達し、この円キャリー取引に絡むところの、06年の邦銀による外国人向け融資額は1700億ドル(約20兆円)にも達した。この外国人の資金が日本企業の敵対的買収や株式の買い取りに走った。
いうまでもなく邦人も超低金利に嫌気がさして、資金をドルで運用したが、このカネと、先の03年度の33兆円ほどのTB買いで、アメリカ経済にもカネがダブつくようになった。それが米住宅バブルを煽った大きな要因のひとつである。ちなみに米住宅バブルは03年からはじまった。
以上見てきたとおり超低金利は、日本経済ばかりでなく世界経済をも撹乱した。それゆえEU当局は、この低金利を非難してきた。金利を引き上げることが、日本の消費低迷・輸出依存経済の不安定を緩和する最大政策に違いない。
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最新の同コラム「サブプライムローン・金融不安と株価のゆくえ」(2008.03.25) もご一読を。