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株式日記と経済展望
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu164.htm
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Economistの記事が指摘していたところによると、ベアー社が行って
いたデリバティブ取引の総額は、約1,000兆円にも及んでいたそうです。
2008年3月28日 金曜日
◆回復が遅れるアメリカ経済 3月25日 増田俊男
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h20/jiji080325_460.htm
今後の世界経済はアメリカ経済の行方に掛かってきた。前回の本誌で福田内閣に、日本には多少財政負担がかかるとはいえ同盟国アメリカの経済危機を救うと同時に、日本の国民の所得増につながる積極財政、公共投資増の選択肢があることを指摘した。前述のようにアメリカ経済とドルに対する不信からグローバル金融が十分に機能せず、アメリカを始め他の赤字国に黒字国の資金が適度に循環しなくなっている。弱体の赤字国のデフォルト(債務不履行)の発生が世界恐慌のきっかけとなる前に日本が率先して中国など黒字国と共同で内需拡大政策とBuy Americaを促進しなくてはならない。少しでもドル不信を和らげるために、100円を越す円高には為替介入でドルを買い支えることも躊躇してはならない。
前回世界恐慌の兆しがアメリカに現れてきたと述べたが、もう少し細部にわたって説明しよう。
先ず、アメリカの投資銀行と商業銀行のことを知っていただきたい。今回買収されることで話題になったBear StearnsやLehman Brothersなどは投資銀行。買収するMorgan ChaseやCitigroup、Bank of Americaなどは商業銀行である。投資銀行は株や金融商品等の金融取引と不動産関連債権取引の資金供給窓口であり、商業銀行は軍産複合体をはじめ実体のある産業向けの資金供給窓口である。投資銀行の資産は市場によって評価される時価会計が原則であるが、商業銀行は固定金利の預金債権のように市場の変化に関わりない債権が中心であるという理由や、実体産業に大きな影響力を持つことから一定の資産に対しては時価会計を免れ、また一定の債券に対しては非開示の特権(ブラックボックス)が与えられている。
不況時以外でFRBが資金供給する相手は商業銀行であって投資銀行ではない。だから今日のように投資銀行が危機状態にあるときFRBの資金は商業銀行に流れて投資銀行の買収や統合のために使われる。私は、かつてサブプライムローン問題が発生したとき、これがきっかけでアメリカの銀行の再編成が起きると述べたが、まさに今それが始まったことになる。今後商業銀行が投資銀行を傘下に収めるか統合することでアメリカの金融界が一本化されることになる。
ところが時価会計に縛られずブラックボックスの特権を持つ上にワシントン(政治)に庇護されている商業銀行に危機が訪れようとしている。Citigroupの2005年12月から2007年12月までの四半期ごとの会計報告によると、レバレッジ取引額の総資産に対する倍率が12.3から18.2倍に跳ね上がっている。市場に左右されない真水の資産(Tangible equity)に対する倍率はなんと41.6倍になっている。総資産(Total equity)に対する真水の資産(Tangible equity)はわずか2.3%。今日のマーケット状況ではCitigroupが手持ち債券を売ってレバレッジのかかったリスク債権を減らすことは難しい。アメリカの実体産業への資金供給窓口である頼みの商業銀行も今や危険水域に入り、融資能力が落ち込み始めた。
今後大手商業銀行のブラックボックスの中身が表ざたになってくると、ドル安を手がかりにアメリカ経済の牽引車になろうとしている製造業(兵器産業等)への資金供給問題が起きる。さらに保守主義になりつつある黒字国からの資金流入の激減でアメリカは赤字補填のためさらにドルと債券発行を迫られる。その結果は更なるドル不信につながる。このアメリカの悪循環がスパイラル化する前に日本と中国が思い切った内需拡大策を採ることと、ドル買い介入をして少しでもドル信認の回復に努めるべきである。もはやアメリカの経済危機はアメリカの金融・財政政策だけでは救えないことを知るべきである。
◆ウォールストリート「危機の時」 3月24日 ウォールストリート日記
http://wallstny.exblog.jp/7586303/
まず、今回の危機の根幹となった問題は何かという点ですが、簡単に言ってしまえば、金融システムに重大な役割を果たす投資銀行が過剰のレバレッジを抱えており、その結果「流動性危機」に極めて脆弱である事実が露見したこと、と言える気がします。
同誌が指摘するところによると、80年代から長らく続いた低金利状態がもたらした株式・債券のブルマーケットと、90年代に急速に進んだIT技術の発展によるリスク管理能力の向上は、ウォースストリートに「レバレッジをかけて儲けを拡大させよう」というメンタリティを植え付けてしまったそうです。
1980年代前半頃、金融セクターは、アメリカの企業利益の1割と時価総額の6%を占めるていたそうですが、07年時点で労働人口全体の5%を占めるに過ぎない金融セクターは、実に企業利益全体の4割、株式時価総額の2割を占めているそうです。
ただその地位に至るに当たってウォールストリートは、本来の役割であった「キャッシュフローに基づく資金融通」という、いわば「投資銀行」機能を大きく超越し、レバレッジを効かせてフィーや投機利益の獲得に奔走するようになってしまったと、Economistでは指摘していました。
実際金融セクターが抱える負債は、1980年には非金融セクターの1割に過ぎなかったのが、現在では実に5割にも及んでいるそうです。GoldmanとMerrillという大手証券二社の例が挙げられていましたが、前者は$40bn(約4兆円)の自己資本に対して$1.1tril(約110兆円)の資産を、後者は$30bn(約3兆円)の自己資本に対して$1tril(約100兆円)の資産を運用しているそうです。
危機に直面した金融機関がレバレッジを下げようとすると、抱えている資産を「投げ売り」する必要が出て来ます。しかしそのような時、つまり現在のような時には、リスクアセットへの投資意欲は消失している事が多く、叩き売られる資産の反対に買い手がいないという「流動性リスク」が顕在化します。このことは、現在金融システムを混乱させている、大きな要因の一つとなっている気がします。
更にEconomistでは、規制の網の目をかいくぐることが利益追求の手段の一つとなってしまったことの問題も指摘していました。証券化に用いられるSIV(特別投資ビークル)については、山一證券が破綻した原因となった「飛ばし」に近い仕組みだと指摘する声も聞かれ、サブプライム証券につけられたAAAという格付の問題も、金融業界内外で頻繁に議論されています。
ただEconomistは、「だからこそ不用意な規制強化では問題解決にならない」と指摘しており、また現在の金融システムは「あまりに便利なもの」であるため、「多くの欠点を認めた上で、十分に救う価値のあるものだ」と主張していました。
その上で「今日の危機により、ウォールストリートは金融商品が内在するリスクについて再考する必要があり、業界史は新たなチャプターに入る必要がある」とも述べていましたが、そのことは最近のBear Stearnsの救済劇と関連して考えると、分かりやすいかもしれません。
(Bear Stearnsの一連の破綻危機は、市場に大きなインパクトを与え、現時点でも多くの金融メディアに報道されています。よってまた機会があれば、その流れについても触れてみたいと思います。)
Bear Stearnsは、Goldman、Morgan、Lehman、Merrillと並ぶ、アメリカ五大証券会社の一つです。
ニューヨークのグランドセントラル駅の近くに壮大な緑色の高層本社ビルを保有する同社は、モーゲージ証券業務とヘッジファンド取引(プライムブローカレッジ)業務に強みを持つ証券会社と言える気がします。
3月中旬に同社に関する信用不安の噂が流れ、同社が短期の資金繰りに困窮して破綻の憂き目にあった際、アメリカの中央銀行(FED)は、同社救済のために$30bn(約3兆円)の公的資金を提供し、また大手銀JP Morgan Chaseによる買収をお膳立てしました。
このことについてアメリカでは、何故一企業を公的資金をつぎ込んで救済する必要があったのか、従業員が破綻してボーナスを取り上げられることを恐れたからではないかなど、多くの批判の声が上がりました。
ただ色々な話を聞いていると、本当の救済理由は別のところにあったようです。
Economistの記事が指摘していたところによると、同社が行っていたデリバティブ取引の総額は、$10tril(約1,000兆円)にも及んでいたそうです。そんな同社が破綻してしまったら、金融市場に広範なダメージを与えた可能性が高かったと思われます。
そのような重大な役割をシステムの中で担っている大手証券会社が、利益追求のために自らのレバレッジ(リスク量)を膨張させ続けてて来た結果、信用不安による「短期流動性の枯渇」という単純な理由で、破綻しかかったという事実。これは今回の金融危機にあたっての、本質的問題の一つと言える気がします。
昨年の夏にBear Stearnsが運用していたヘッジファンドが破綻し、金融メディアやアナリストの多くがまだ今回の危機の重大さに気づいていなかった頃、経済専門チャンネルであるCNBCの人気番組「Mad Money」のホストで、元ヘッジファンドマネージャーでもあるJim Cramer氏が、「これはアルマゲドンだ!FEDは寝ているのか!」と絶叫していたのは、記憶に新しいところです。(なかなかユニークな人なので、YouTubeのビデオをご覧下さい。)
彼の主張がFEDに聞き入れられたとまでは言いませんが、今回FEDが大きく一歩踏み込んで、証券会社(プライムブローカー)に対してリスクアセットを担保にした資金供給を実行したのは、単に「リスク管理のミスだろう」と言って見捨てることの出来ない「システミックリスク」に対処する為であったと言えるかもしれません。
ただ残念ながら、今回のFEDの行動により、サブプライムに端を発した「クレジットバブルの崩壊」という問題が落着したと考えるのは、時期尚早な気がします。
というのは、FEDによるプライムブローカー(証券大手)に対する直接資金融通のメカニズムは、短期流動性の枯渇というリスクの解決にはなるものの、住宅価格やデット価値の下落といった根本的問題を、解決するわけではないからです。
住宅価格の下落の連鎖が止まらず、その影響がその他のコンシューマーローン市場に波及すると、個人消費も急速に冷え込んで、経済は下落スパイラルに突入してしまうかもしれません。その結果もたらされる不景気は、クレジット市場を更に悪化させると思われるため、「問題の底が見えない」と指摘する声にも、一理ある気がします。
こうして見てみると、現在のアメリカの金融危機が、米英が80年代より推進して来た金融セクターを中心とした経済システムと、ドルを基軸通貨としてアメリカの信用膨張を支え、アメリカの個人消費を最終消費地としている今日の世界経済システムの「根幹」に関る問題であることが、理解出来る気がします。
Economistが言うように、そのシステムは現時点でも正常に機能しており、今後も正常に機能し続けることが期待されます。ただ今回露見した様々な問題にどう対処し、システムを安定した状態に導けるか、ウォールストリートとアメリカ金融当局の叡智が試されているのは、間違いない気がします。
(私のコメント)
今アメリカの金融中枢で何が起きているのか、部外者にはまったくわからない。当事者たちも全くわからずベアースターンズ社の幹部ですら破綻を知らなかったくらいだ。前日60ドルの株価が2ドルになっていた。財務省もFRBもまだ全貌はつかめていないだろう。特に投資銀行の中身は全く分からない。マスコミもわからないから報道しない。
「株式日記」ではサブプライム問題は1年以上も前から警鐘を鳴らしていましたが、アメリカのバブル崩壊がいよいよやって来たということだ。ベアー社がJPモルガンに吸収合併されましたが、これは潰すに潰せない事情があって、1000兆円ものデリバティブの取引残高があったからだ。ベアー社だけでこれだけの残高だから清算するとなるとアメリカの金融が大混乱する。
アメリカの投資ファンドは利益を最大化するためにレバレッジを効かせた投資をしているから、損失もそれだけ大きな金額になる。しかしデリバティブはいわば金融のブラックボックスだから透明性が全くない。当事者しか分からないからだ。年中売買されている株式なら時価もわかりやすいが、ほとんど売買されない債券などは時価で評価の仕様がない。
土地や建物などの実物資産なら売買されなくとも算定は可能ですが、売却したくても買い手がいない債券は只の紙切れに等しい。利回りが良いことで買われてきたのですが、元本が毀損されて不透明なものは買い手がつかない。だから債券市場では国債が買われていますが、米国債が格付けで引き下げにでもなれば巨額の評価損が出る。
アメリカは金利の引き下げで実質金利がゼロとなりドルのまま持っていたのでは金利が稼げない。だから世界からの投資も集まらなくなりドルは外に逃げて行く。アメリカの投資銀行もキャッシュを増やす為に海外の投資を投売りして上海の株式市場は暴落している。当面は出て行くドルと返ってくるドルとが均衡してドル高も一時的にはあるだろう。
日米の金利差が縮小して円も逆円キャリーで高くなるだろう。中東の産油国もドルを手放してユーロや円を買って投資に回ってくるだろう。アメリカが当面ダメとなれば安心して投資が出来るのがEUか日本ということになる。しかし日本の金融業界はアメリカほどファンドの運用能力が無く実績もない。サブプライムでビックリしているくらいだから程度が低いのだ。
感心するのはアメリカ政府の金融危機に対する素早い対策だ。日本の場合は政府も日銀も右往左往するばかりで、先送りばかりで傷口をさらに大きくしてしまった。住専に6000億の公的資金にもマスコミは非難攻撃しましたが、アメリカは政府が不良債権を買いまくっているのに日本のマスコミは何の非難もしない。
◆NY連銀、「国債貸出」の担保拡大 3月25日 日経新聞
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/us/20080321D2M2102I21.html
NY連銀、「国債貸出」の担保拡大
【ニューヨーク=発田真人】ニューヨーク連銀は20日、今月27日に創設する証券会社向けの「国債貸出制度」の担保を、商業用不動産ローン担保証券(CMBS)にも拡大すると発表した。多額の住宅ローン担保証券(RMBS)の売れ残りで、手元資金の確保が難しくなっている証券会社の資金繰りを支援するのが狙い。
国債貸出制度は一定期間、最大2000億ドルの国債を貸し出し、証券会社の資金繰りを支援する仕組み。担保は当初、高格付けにもかかわらず市場で投げ売りされている連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)債や優良住宅ローン証券に限るとしていた。
◆住宅ローン「担保割れ」も債務保証・米政府、借り手救済新提案 3月25日 日経新聞
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/us/20080321D2M2103R21.html
【ワシントン=藤井一明】ジャクソン米住宅都市開発長官は信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の返済に苦しむ借り手を救う新たな対策として、ローンの借り換えを支援するための債務保証の拡大を提案していることを明らかにした。市場で取引される実勢価格が担保価値を下回る「担保割れ」の物件を保有する人を対象に、国が借り換え前のローンの80―85%を債務保証する内容だ。
21日付の米紙ワシントン・タイムズとの会見で表明した。長官はすでにホワイトハウスに原案を示しており、近く承認されるとの見通しを示した。
(私のコメント)
「株式日記」では銀行の不良債権を簿価で買い取れと主張してきましたが、アメリカ政府は素早くそれをしている。日本のバブル崩壊で日本政府の後手後手の対策をよく研究しているからだ。東大法学部卒の大蔵官僚たちは経済の事も市場のこともよくわからない。むしろ市場経験者をスカウトして外部の人間の登用をすべきなのですが、スペシャリストでないと金融市場が分からない。
欧米にも公的資金による救済には批判があることも事実ですが、日本のような「失われた15年」になるよりかはいいと判断している。政府日銀の無能なのはもとより、日本のエコノミストや経済記者たちの経済センスも最低だ。山一證券にしても何も潰してメリルリンチに売ることは無かったと思うのですが、社長の泣く姿が世界中に配信されて日本の恥をさらした。ベアー社のようにプレミアをつけて野村あたりに合併させれば済んだのではないかと思う。
あるいは政府日銀が無能なのではなく、アメリカの指図どおりにしなければ何も出来ない密約が出来ているのかもしれない。金利の上げ下げすらアメリカの顔色を伺いながらする態度はまさに卑屈そのものだ。ドル安が進めば再びドルの買い支えを命じてくる事だろう。マスコミは円高で輸出企業が苦しいためと言い訳するのだろう。国民はそんな風にみんな騙されているのだ。