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トヨタ自動車 <7203> 東証1部 輸送用機器
http://money.www.infoseek.co.jp/MnStock/7203.t/schart/
日経平均は40年移動平均線手前で、うろうろ
http://www.green.dti.ne.jp/protest_toyota/other/061108support.htm
トヨタ営業利益二兆円を支える「奴隷労働」!
現代日本型の強制労働
トヨタ系受入機関が研修生・技能実習生に強制労働
2006年11月8日
フィリピントヨタ労組を支援する会
トヨタ二兆円を超える利益は何処から
トヨタは製造業で世界一の利益を上げ、自動車の売上台数世界一も目前に迫っている。だが、この世界一の利益、営業利益で二兆円を超え、純利益で一兆五千億円に迫る数字は一体何処から生み出されたのだろうか。
確かに生産が増え、販売が増えた。トヨタの2000年3月決算時の売上高は12兆9千万円であったのが、2006年度には21兆円になり、6年間で1・63倍になった。生産台数も500万台から771万台、1・54%になった。しかし、この間にトヨタの利益は4100億円から1兆3700億円、実に3・4倍に膨らんだのである。当然、売上利益率は3・15%から6・52%と、2倍に拡大した。この利益の増大は一体何処から生み出されたのだろうか。
トヨタ自動車の「有価証券報告書」を見ると従業員数が載っているが、従業員数のうち臨時雇用人員が10%を超えた年次から臨時雇用人員が掲載されている。トヨタ自動車本体の従業員数は2001年3月に6万6005人であったが、2006年3月には6万5798人へじりじりと人員を削減している。そして、2004年には8147人の臨時従業員が記録され、2006年には1万9164人、全従業員の29%になった。連結ベースで見ると、2001年21万5648人、2006年28万5977人へ人員を増加させているが、ここではトヨタ自動車よりも一年早い2003年から臨時雇用が全従業員の10%を超え、2006年には7万3701人、全従業員の26%を占めることになった。
トヨタグループは2000年代から期間労働者の採用を強め、2003年からトヨタグループの不可欠の構成部分へと組み込み、現在は製造現場の30%から40%、多いところでは50%以上が期間工従業員になっている。このトヨタの期間工従業員の年収は300万円程度で、正社員の2分の一から3分の一である。加えて現在は派遣労働者も増加している。そしてトヨタ自動車が6168億円の利益から9446億円へと一挙に利益を53%も飛躍させたのはこの2003年に当たる。そして翌2004年にはトヨタはついに1兆1620億円の利益を上げるに至る。トヨタの利益増大に生産‐販売台数の増大が寄与していることは疑い得ないが、トヨタ社の生産の約半数を作ってきた日本での非正規労働者の本格的採用が決定的な役割を果たしたことは確実である。日本の労働市場の中に産業間格差、企業間格差に加えて正規・非正規間格差がパート労働とは異なったかたちで新たに構造化された。
むろんこの正規・非正規労働者間格差はトヨタやトヨタグループのような大企業にだけ持ち込まれたのではない。そして、トヨタ自動車の生産している自動車は連結決算にあらわれるトヨタグループだけで作られているのではない。トヨタ自動車が株式を持ち合っているトヨタグループの裾野には、トヨタグループが株券所有によってではなく取引関係によって実質的に支配している膨大な下請企業がいる。トヨタ自動車とトヨタグループのこの下請企業への実質的な支配の過酷さを推し量るため日本の大企業と中小企業の労働分配率を比較しておこう。
1990年代以後の日本企業の労働分配率は、2001年の約70%を頂点にしてそれ以後低下し、2006年4−6月には61・6%になった。そして自動車と自動車部品の大企業は51%、中小企業は78・2%である。27・2%も開いている。そして、最近の材料費、労賃の上昇を大企業は販売数の増大で吸収している。しかし、中小企業は販売数の増大分の利益をコストダウンすることを求められ、かつ将来の現地生産への移行による受注の縮小を考えると安易に増産に応じるわけにもいかない。そのため、今大企業の労働分配率は更に低下しているが、中小企業の労働分配率は更に上昇している。
トヨタは2000年から3年間で30%のコストダウンをめざし、一兆円のコストダウン目標に7600億円のコストダウンを進めた。そして2003年から2006年をめざして更に「総原価30%コストダウン」をめざしている。このようなトヨタのコストダウン要求によってトヨタグループの下請はその時期は明確ではないがトヨタに先行して非正規労働者を大々的に導入していたのであり、これを合法化し大々的に導入するため法制上の労働市場規制緩和の担い手となったのがトヨタ出身経団連会長奥田であった。
そしてトヨタと日本の大企業のコストダウン要求は単なる非正規労働者の導入によって解決できるレベルではなかった。下請企業はより安い外国人労働者を導入し、さらに次から次へと違法行為を積み重ねた。そのことによって日本の労働市場は不法状態が構造化していった。この規制緩和が偽装請負・違法派遣・偽装出向、残業割増・社会保健・年金未払い、年次有給休暇未支給、労災隠し、賃金未払い、違法解雇等などを生み出した。そればかりではない。このトヨタ下請企業は現代日本型の強制労働にまで手を染めていた。
現代日本型強制労働=T協同組合の研修生・実習生
トヨタ系の研修生・実習生の第一次受け入れ団体である協同組合は3つあるといわれている。この協同組合はトヨタに製品を納めている中小企業が二十数社集まって作られており、ヴェトナムから若くて優秀な労働者を受け入れている。私達が聞き取ったA社の労働条件は次のようなものであった。
@研修生・実習生は「逃亡防止」のため、日本に着くや否や会社によってパスポートを取り上げられ、収入の過半(研修生時代は2万5千円、実習生時代は4万円)を天引きで強制貯金させられ、通帳は会社が管理する。そしてこのパスポート、預金は帰国時の空港出国口まで戻ってこない。
Aヴェトナムの送りだし団体は農地所有者からは4400ドル、非所有者からは8800ドルの補償金を取り、労働組合・政党に入らないという誓約書を取っている。
B携帯電話は使用禁止、
C掃除をしなかった罰金2千円、電話を無断で使った罰金1万円。トイレへ行くと何分かかったかを書かせ、一分につき15円カットし、トイレ時間3分を2分と報告したとして、その日の12時間労働分をカット(従業員55人でトイレ1個のため休憩時間に全員がトイレを使用することは不可能)。通院のための未就労時間を残業時間から引く。
D研修手当ては5万8400円。実習生の基本賃金は月給12万2千円(出勤日277日)=時給649・8円で最低賃金を下回る、
E残業代は研修期間が350円、実習期間が1年目400円、2年目450円である。
F1部屋に6人が押し込められ、部屋代として2万2600円(大家は1部屋5万円だと行っている)取られている。
いうまでもなく資本主義社会は私有財産と契約に基礎付けられた社会である。つまり労働者も独立した人格として自主的な意思で雇用主と契約を結び契約の実行として労働する。ところが、研修生・実習生は、第一に、本国で補償金を入れること、日本で政党や労働組合に入らないことを強要されている。第二に、日本ではパスポートと強制貯金通帳を取り上げられ、第三に、携帯電話の使用は禁止され、時には在留許可証を奪われている。つまり、研修生・実習生は本国と日本の受入機関に援助されてこの第一次受入機関傘下会社によって拘束されており、自由な労働契約主体としての条件を奪われている。だからこそ会社側は研修生・実習生に一方的な劣悪な労働条件や罰則、それも法令に違反したものを押しつけることができる。これは普通の賃労働とは到底いえない。現代日本型強制労働であり、奴隷労働の一種といわねばならない。
ここでも実習生の闘いが始まった
これに対する闘いはトヨタ車の後頭部クッションを作っている50人規模のT社で始まった。はじまりは女性実習生(22−27歳)たちが「残業代が安すぎるのではないか」と雇用主に訴えたことだった。それに対し社長の弟が「とんでもないことを言うヤツだ」と様々の脅しをかけた。実習生たちはこの脅しに屈せず、仕事をボイコットして警察と労働基準監督所に訴えた。警察は最終的には不起訴にしたが、労働基準監督署はこの会社が属するT協同組合などに査察を行い、協同組合傘下22社とそれ以外の1社の計23社を摘発した。労基署は実習生の基本賃金が最低賃金以下であること、残業代が労基法に違反していることを指摘し、新聞報道によれば総額5千万円の是正を行わせた。
ところがこの労基署の是正は極めてずさんなものであった。第一に、この是正に当たって労基署は最低賃金の適用基準や残業時間の決定に当たって労働者側の意見をほとんど聞かず、使用者側の申告をうのみにしている。まず、業種別最低賃金は縫製業と自動車産業のいずれを適用するのかという問題で、この会社がトヨタの自動車部品を作っていることを知っておりながら縫製業の最低賃金を採用した。また、会社は残業時間の決定に当たって様々の操作を行っているが、労基署はそのことにメスを入れず、会社側主張をそのまま採用している。
第二に、最低賃金を下回る基本給の是正は是正に名を借りた不利益変更になっている。まず月給制を時給制に変更した。次に時給を最低賃金金額に変更して出勤日数を減らすことによって総支給額を減少させた。
それに加えて悪辣なのは、会社はこの不利益変更の新たな契約書を実習2年目に入る3人に提示し3人がそれを拒否するや否や、一方的に3人の実習生が契約する意思がないとして帰国させる手続きに入ったのである。さらに驚くことにこの3人に対して2年予定を1年で帰国するのだからとして航空運賃を当人負担分とし強制貯金から勝手に差し引いた。また、会社は先の紛争時にAさんを中心人物だとして強制帰国させようとしたが、Aさんがこれを拒否したことを理由にこの現実習2年終了者Aさんの帰国航空券費用も本人負担とした。むろん彼女たちは労働基準監督署とこの会社対応に不満であり、これらのことをNGOと労働組合に訴えた。
無様な政府機関の対応
この実習生と会社との攻防の中で最も重要なことは、日本政府の機関である警察や労働基準監督署が介入しているにもかかわらず、研修生・実習生が拘束されている条件を何等改善していないし、改善のための手続きにすら入っていないことである。労働組合(全統一労働組合)にAさんたち6人が参加し、団体交渉を開始してやっと会社側はパスポートと預金通帳、年金手帳などを当人に返却したのである。
むろん法律上研修生制度は研修が目的であり賃労働が目的ではない。しかし、受入組織の多くは海外の労働者を教育する意思も能力もないのが実態である。それゆえに、これらの送出・受入団体、受け入れ企業も研修を目的に労働者を送り出し受け入れているのではなく、現地と比較すると高く日本では安い賃労働とそこからの中間搾取を目的にしている。行政はこの弊害に気づきつつも、ほかに行政的に安上がりでかつ優秀な単純労働者を安い賃金で海外から導入する口実を見つけることができないためこの制度を維持し続けているのである。行政は送出・受入団体の中間搾取と受入会社による研修生・実習生の拘束を事実上容認しており共犯である。
そればかりでない。労働基準監督署は研修生の残業代350円について「研修生には残業が禁止されている」ことを口実に何等是正していない。すなわち、研修生は賃労働者ではなく研修生であるから残業をさせてならないことになっているが、会社はわざわざ出勤と退社のタイムレコーダを分けるなどして、「ザンギョウ」(会社は研修生にこういっている)を行っていることを隠蔽しながら研修生に「ザンギョウ」を強制している。この「ザンギョウ」とは一体何なのか。会社が監督官庁に隠しながら行っていることが示すようにこれは研修ではない。研修でないとすれば会社が行っているのは、営利組織である会社の事業活動の一貫であり、営利活動のために労働者に労働を提供させる行為であり、賃労働として扱われるべきものであることは疑いないところである。賃労働には最低賃金と残業割増賃金が適用されねばならず、労働基準監督署がそれを適用しない350円の労働を放置することは拘束された条件での強制労働、現代日本型の強制労働、奴隷労働を容認することである。
そもそも研修生に5万8400円の研修手当てなるものが支払われているが、ごく少数を除いて研修生がやっていることは研修ではなく賃労働そのものである。実際B社では、ヴェトナム人研修生と一般外国人労働者が同じ職場で同じ労働を行っている。この職場ではヴェトナム人研修生にだけは最低賃金は保証されない。研修生の後に入ってきた他の外国人労働者が最低賃金を保証されているのにその前から働き何等特別の研修を受けていない労働者が最低賃金を保証されないのである。そして日本の監督官庁はそれを容認しているのである。
トヨタの労働者に対する基本思想=「生かさず殺さず」
では政府機関は誰のために強制労働を容認しているのか。この中小零細企業のためか。そうでもあるがそれだけではない。この下請けの上に君臨し、こうした日本型の強制労働を容認するトヨタのような大企業のためでもある。この研修生の第1次受け入れ団体はトヨタ系下請け会社によって作られた協同組合である。トヨタはトヨタ財団を通じて研究機関などに金をばら撒き、世界に奨学金などを出している。ところがこのようにばら撒いている金は今私たちの見てきた現代の強制労働を行うことによって実現されたコストダウンによって得られたものなのである。
トヨタはユーザーのニーズばかり目配りをし、自分の足元は見えてないのであろうか。そうではないだろう。どんなに遅くとも労働基準監督署の査察が入った時点でトヨタは自分の足元でこのような強制労働が行われていることを知ったはずである。しかし、トヨタは労働基準監督署に任せて、労働基準監督署の指導があった部分だけを是正したに過ぎない。労働基準監督所の査察が入っていないところではこの指導以前の状態が続いている。今回労働組合が問題にしている部分は全くの手付かずのままである。彼らは行政の指導がなければ改善する必要はないのだという態度をとり続けている。トヨタは知っておりながら放置しているのである。トヨタはどうしてこのような態度をとり続けることが出来るのであろうか。
成上りの資本家たちに従業員を自分たちの持ち物のように思っている人々が多くいる。トヨタもこの成上りの資本家達と変わりがない。トヨタはフィリピンの問題については「現地の問題は現地で」と言って責任逃れをしているが、実はトヨタ自動車の生産にかかわる労働者の生殺与奪の権利を持っているかのように思っているのである。そしてかつて徳川が言い実施した「生かさず殺さず」をトヨタは今の世で実行しているのである。奥田は「豊田家はトヨタの旗だ」と言っているが、それはトヨタの経営陣に染み付いているこうした封建的な思想を自己表白しているのである。ちなみにフィリピントヨタに『チームメンバーハンドブック』なるものがあるがそこの文章は豊田佐吉の紹介から始まる。文字通り多国籍企業トヨタは豊田家を旗としている。その旗は労働者を飼い犬のごとく考え、過労死・精神疾患を不可避的に生み出す労働条件を労働者に強制し、このような日本型の強制労働を平然と行う旗なのである。
規制緩和が不法構造を作り、強制労働を拡大している
実は研修生・実習生以外にも今の日本で拘束労働が増加している。労働者が会社を辞めたいといっても、様々な理由をつけ、時には暴力に訴えて辞めさせてくれないという労働相談が増えている。言葉を変えると、労働契約を破棄したくとも労働契約を自由に破棄させてくれないのである。言うまでもなく、近代的労働者は個々の資本家に拘束され隷属しているわけではないはずである。個々の資本家との契約はいつでも破棄できるはずである。しかし、そうは思わない資本家が増え始めている。規制緩和の流れの中で、労働市場に違法行為が広がり、この違法行為を追認する規制緩和が更に立法化され、違法行為が放置され不法状態が構造化されている。この構造化された不法状態の下で資本家達の一部が直接的な支配と暴力を生み出し、事実上の奴隷労働を拡大させている。朝日新聞(2006・10・22)は古着選別会社で一方的に退寮したことを理由に集団暴行で19歳の少年が死亡したことを伝えている。つまり不法状態の放置は不可避的に直接的な支配と暴力を生み出すのであり、日本社会の底辺で今それが始まっている。研修生・実習生問題はこの流れを外国人労働者向けに制度化したものなのである。
この流れを決定的に加速したのは前経団連会長、前トヨタ自動車会長、奥田であるのだから、トヨタ自動車の足元に事実上の奴隷労働が放置されているのは何の不思議もないと私達は考えるべきなのだろうか。
「トヨタさん、本当にそれでいいのですか」と私達は問いたい。