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http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003004&sid=aA.VbMllsgIc&refer=jp_commodity
【ヘッジファンド、レッド・カイトの「銅取引の王者」:強気姿勢崩さず】---(ブルームバーグ)
3月25日(ブルームバーグ):米ヘッジファンド、レッド・カイト・メタルズの共同設立者、マイケル・ファーマー氏(63)は2007年6月、ロンドン金属取引所(LME)の会員たちとの昼食会を主催した。
昼食会での話題は金属相場の最近の動向ではなかった。ファーマー氏が招いた神学者がキリスト教について講演し、同氏自身も信仰について語った。
信仰を新たにしたキリスト教徒であるファーマー氏は、ここ数年間、事業と信仰が一体化しているが、そのことは同氏の成功の妨げにはなっていない。
19 歳で金属トレーダーの道を歩み始めたファーマー氏は、ロンドンに拠点を置くMGを運営した10年間に、同社を世界最大の銅取引会社に育て上げた。
MGは 2000年、米エンロンが約5億ドル(約500億円)で買収した。
ファーマー氏は05年にRKキャピタル・マネジメントを設立。同社の主要ファンドであるレッド・カイト・メタルズは、世界最大の工業用金属ヘッジファンドとなった。
06年には、ファーマー氏が現代の商品市場で最大規模と呼んだ強気相場で利益を増やし、レッド・カイト・メタルズの同年のリターン(投資収益率)は188%に上った。
商品ブームの継続を信じていたファーマー氏は、07年に一撃を食らうことになる。レッド・カイト・メタルズは相場が引き続き上昇するとみて多くの資金を投資していた。
投資家2人によると、アルミニウム相場が14%下落し、銅相場の上昇がわずかだったため、同ファンドの評価額は07年1−11月に50%下落した。
レッド・カイトは突然、生き残りをかけて戦う羽目に陥った。ファーマー氏はいま、復活しつつある。銅相場は1−2月に26%高騰し、3月6日には過去最高値の1トン当たり8820ドルに達した。20日終値は7840ドルとなっている。
リターンは20%
レッド・カイト・メタルズのリターンに詳しい関係者によると、同ファンドは1月に15%以上、2月に20%以上のリターンを上げた。
ファーマー氏と、同氏のパートナーで、同様に福音主義のキリスト教徒であるデビッド・リリー氏(41)は、ただのファンドマネジャーではない。
商品取引の経験は2人合わせて60年に及ぶが、そのうち大半の期間は先物のほか現物の取引にも携わっている。
ヘッジファンドに投資するカリブリア・ファイナンシャル・サービシズ(ジュネーブ)のマイケル・ナシフ社長は「2人は銅取引の王者として知られている。
技術も経験もあり、これらの相場を長期にわたって見てきた」と語る。
かつては流動性が低かった工業用金属などの商品市場には、相場上昇を背景に多数の投資家が新規に参入している。
コール・パートナーズ・アセット・マネジメント(シカゴ)によると、商品ヘッジファンドへの投資額は07年、83%増の約550億ドルに達し、05年時点の140億ドルから急増した。
また、英バークレイズ・キャピタルによると、商品指数に連動した投資を行う投資信託の07年末時点の資産総額は1250億ドルとなっている。03年時点では250億ドルだった。
強気な見方
07年に痛手を負ったにもかかわらず、ファーマー氏とリリー氏は金属相場に対する強気な姿勢を崩していない。
両氏は電子メールで「史上最大の産業革命が起こっており、世界の人口のうちこれまでで最も多くの人々に影響を与えている」と指摘。
「これにより、数百万人の新しい消費者と、割安な製造能力が生まれている。この現状が原料需要に対して示唆する意味は劇的であり、人々はもっとそのことに大きな価値を認めるべきである」としている。
商品相場が上昇を続けるという見方には、だれもが同意するわけではない。特にいまは、エコノミストらが米経済のリセッション(景気後退)入りや世界の経済成長の鈍化
を予想している。
USコモディティーズ(アイオワ州)のドン・ローズ社長は「わたしは70 年代から商品取引に携わっているが、商品事業の現状に関して言えば、多くの商品分野が過大評価されている」と指摘。「商品市場はバブルに近い状態であり、インターネット関連業界のバブルに非常に似た状況だ」との見方を示す。
銅在庫の保有
レッド・カイト・メタルズはアルミやニッケル、すずも扱うが、主要な事業は銅取引だ。北米や南米の銅生産会社から銅を購入し、加工業者に販売する。LMEで銅先物を取引し、売り時が来るまで世界各地の倉庫で保管する。
レッド・カイト・メタルズは、大規模な取引によって相場を動かしている。投資を望む投資家らに06年に送付された目論見書によると、当時、投資資金の平均6倍に上る額を借り入れていた。ある投資家は、投資資金を約10億ドルと推計している。
20日終値で換算すると、約60億ドルで購入できる銅の量は約75万トン。この量は、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のCOMEX部門、上海先物取引所、LMEの指定倉庫で現在保有されている銅の総量のほぼ4倍に上る。
1990年代に住友商事による銅の不正取引を指摘した米リゾルブド(アリゾナ州)のデービッド・スレルケルド社長は「約百万トンの銅を買い占めれば、相場は間違いなく上昇する」との見方を示す。
スレルケルド社長によると、一部の大手取引会社は世界の銅在庫を減少させることにより、相場をつり上げる。
つまり、南米の生産会社の在庫を買い占めてLMEの指定倉庫に保管し、それを生産会社の顧客に売却するのだ。
同社長は、レッド・カイトがこのような戦略を採用しているかどうかについてはコメントを避けた。
ファーマー氏とリリー氏は2月に送付した電子メールで「レッド・カイトは投資戦略の一環として現物在庫を保有している。わが社の方針として、特定の状況についてはコメントしない」としている。
リスク
金属相場同様にレッド・カイト・メタルズの運用成績も変動している。商品投資会社フォーウィンズ・キャピタル・マネジメント(ボストン)のキンバリー・タラ最高経営責任者(CEO)は、ファーマー氏のファンドのリターンが 07年に大幅に低下しても驚かなかった。
フォーウィンズは以前、レッド・カイト・メタルズに投資していたが、06年に投資資金を取り戻した際、タラCEOは同ファンドの金属相場への投資リスクは高過ぎるとの結論に達し、投資を中止した。
タラCEOは「投資戦略から考えて、投入される資金の規模が大き過ぎると思った。そのことはわが社にとってリスクになる」と語る。
ファーマー氏をはじめレッド・カイトのトレーダーたちは依然、金属相場の活況が続くことを信じている。銅取引の王者2人は今後も、中国とインドでの建設ブームが続くかぎり、銅投資が負けを見ることはないと考えている。
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(コメント)
驚くべきことは、実物の買い占めを示唆する以下の部分です。
>>>>一部の大手取引会社は世界の銅在庫を減少させることにより、相場をつり上げる。
>>>>つまり、南米の生産会社の在庫を買い占めてLMEの指定倉庫に保管し、
>>>>それを生産会社の顧客に売却する。
現物の買占めは相場吊り上げには非常に効果的な手段ですが「オポチュニティ・コスト(保管・持越しに係わるコスト)」が相当に高くなります。
商品の保管コストと金利はバカにならない程かかります。取引コストが相当高くなる事は明確なので、相当長期に渡って需要が増えると確信がなければできません。
現物買占めは先物取引などの金融取引につき物の時間的な制約を大きく緩和しますが、価格を長期間上昇させ、かつ売り抜けるためには先物取引などでかけるレバレッジ以上の資金力が必要であり、換金性・流動性が著しく低下する為、相場下落時には損失の拡大リスクが相当高くなります。
よほど自信があるのか、あるいは戦略物資の価格高騰を伴う戦争等を見込んでいるのかは分りませんが、相場が逆転した時のダメージは想像できない程大きくなります。