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http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-20/2008032002_01_0.html
参議院が再び日本銀行総裁の人事案を否決しました。日銀総裁が空席になるのは戦後初めてです。
アメリカ経済の混乱・ドル相場の急落など国際金融・経済情勢が激動しています。国内では家計の冷え込みが深刻化し、中小企業の資金繰りもますます厳しくなっています。
こういう重要な時期に金融政策のかじを取る日銀総裁が不在となった最大の責任は福田内閣にあります。
総裁にふさわしい人か
政府が最初に示した日銀副総裁の武藤敏郎・元財務次官の総裁昇格には、日本共産党は一貫して反対の姿勢を明らかにしてきました。武藤氏は副総裁として異常な金融緩和を推進し、財務次官として社会保障の削減路線のレールを敷いたことなど、金融・財政の両面で国民のくらしを痛めつけてきました。「国民経済の健全な発展に資する」(日銀法)という日銀の使命に照らして、総裁にふさわしくないことは明らかです。
民主党も、立場は違いますが、武藤氏の昇格に反対の姿勢を示していました。福田内閣は、野党に受け入れられないことを承知の上で、あえて武藤氏に固執したのであり、参院で否決されることは自明でした。
改めて政府が提示した国際協力銀行総裁の田波耕治・元大蔵次官も同様です。田波氏は一九九八年、当時の大蔵省が大銀行を救済するため、際限のない税金投入の枠組みをつくったときの大蔵次官です。国民の血税投入をてこにした強引な不良債権処理によって、膨大な中小企業を倒産・廃業に追い込み、地域経済の疲弊を加速させました。
国会の所信聴取で田波氏は、「銀行は不良債権を大量に抱えて大変だった」などと答え、何ら反省のない姿勢を示しました。さらに田波氏は、アメリカの圧力で超低金利政策を続け、バブル経済を招いた八〇年代後半の金融失政を肯定しました。
財界の調査機関は二〇〇五年、田波氏が委員を務めた専門委員会の報告書を発表しました。「財政破綻(はたん)の克服へ向けて」と題した報告書は、日銀に株式投資信託や金融先物、不動産投資信託の大量買い入れで人為的なインフレ政策を取るよう迫っています。同時に、消費税増税や高齢者の医療負担増を提言しています。
円の信頼を守る「通貨の番人」におよそふさわしくなく、くらしの視点を欠いた人に日銀総裁を任せることはできません。
今回、政府が副総裁に推した西村清彦・日銀審議委員は、かつて「構造改革」路線と一線を画す発言を繰り返していました。〇五年の審議委員任命の際、日本共産党は今後の発言に注目するとの条件付きで賛成しています。しかし西村氏は、日銀の金融政策決定会合では執行部に同調し、超低金利政策の継続を支持してきました。今回の副総裁の就任に、日本共産党は「賛成しがたい」と反対しました。
国会同意の本旨生かし
日銀総裁の人事を提示する権限は政府にしかありません。国会の任務は、政府が提示した人事が、日銀総裁にふさわしいかどうかを判断して賛否を表明することです。
一九九七年の日銀法改定で総裁・副総裁の任命に国会の同意が必要だと定めたのは、その選任に「国民の意見が反映されるよう」(当時の大蔵省答弁)にするためでした。
賛成しない野党が悪いという態度は、この国会同意の本旨を踏みにじる暴論です。不正常な総裁の空席を長引かせないよう、福田内閣は野党が賛成できる人事を提示することを真剣に追求すべきです。