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http://jp.rian.ru/analytics/economics/20080307/100872197.html
オレグ・ミチャエフ、ロシア・ノーボスチ通信社、経済解説員。
国際石油カルテル「OPEC」は、3月5日、ウイーンで開かれた第148回通常会議で石油を増産させるべく石油消費国側からの執拗な依頼をまたしても無視した。カルテル加盟国は、現在国際市場に供給されている石油量は十分過ぎる以上であるとの確信を持っている。これはロシアを含め産油国はオイルマネーに浸り続けることを意味する。
本年1月始めに1バレル当たり初めて100ドルに達してから、「黒い金」の価格はこの心理的に重要な目盛りの近辺にしっかりと定着している。3月3日、月曜日に、石油価格は1バレル当たり103,95ドルという歴史的ピークに達し、3月5日には1バレル100ドルより若干低い水準で揺れ動いている。
主要石油消費国のうち誰が今、全能の石油カルテル加盟国に産油量を増産するために圧力を掛けなかったろうか。
アメリカ経済が停滞し、そしてOPECが増産しないことがガソリン価格の高騰の原因になっているとの意見を持つアメリカ大統領ブッシュもOPECに圧力を掛けた。アメリカでは、OPECは日産30-50万バレル増産するだろうとの見方があった。(現在の産油量は日産3200万バレル)。
EUエネルギー委員会会員アンドリス・ピエバルグスは渾身の力をふりしぼって努力していた。OPEC会議の前夜、彼は、もし増産しなければ石油価格は1バレル当たり200ドルに達する可能性があると主張していた。増産する場合、彼は、OPECは日産50万バレル程度の増産に留まることなどあり得ず、消費国にもっと大幅に資源量の供給をすることが義務付けられるだろうことを仄めかしていた。
しかし、世界の石油産油の40%を占めるOPECメンバーは、聞き耳を持たず、「黒い金」の生産の割当てを増やさなかった。彼らは、石油の高い定価は、弱いドルと国際金融市場が不安定になっていることを利用して原料に資金を投げ込む投機家に責任があるとしている。実際、消費国は、現在石油の何らかの不足に苦しんでいるわけでない。
従い、OPEC指導部は、今後の価格高騰の可能性を否定していないながらも、現在の状況は自分達にとって危機的ではないと見なしている。会議前夜、OPEC議長シャキブ・ヘリルは、石油の1バレル当たりの価格はごく近い将来110-120ドルまで上がる可能性があると予想した。「もしアメリカで、金利引下げ政策が続けられ、ドル相場が下落し続ければ、世界石油市場には投機が拡大し、ひいては、今後の石油価格の暴騰を導く」とヘリル議長は消費者に状況を説明した。
OPECメンバーのこのような頑固さのお陰で、ロシアを含めたカルテルに加盟しておらず、何らの採掘に対する制限に拘束されていない他の産油国もオイルマネー貯蓄の恩恵に与れる。昨年1バレル当たりの年間平均石油国際価格が72,5ドルの下で、ロシアの炭化資源輸出からの利益は記録的な2200億ドルに達していた。現在の価格レヴェルならば2008年の通年利益はどれほどになるのか想像するのが難しいくらいだ。
このようなオイルマネーの流入を管理することは、非常に複雑だ。一方では、まず、収入と資金量が増えることは常に価格の押し上げ要因になりインフレを加速させる恐れがある。さらに、政府は、資金流入によりすべての問題を解決しようとし、最近発展への道を革新的分野に移行させることが最近その同義語になっていた経済の近代化に、約束しているにも拘らずに、ついには取組まないというリスクが残る。
しかし、他方では、それでも石油からの超過利益はないよりあった方が良いのは当然だ。まさに超過利益のお陰でロシアは現在、世界各国の中央銀行で3番目に多い、世界の金融破綻の際の通貨相場安定のための貯蓄を持っている。さらにもう1つの(同じように危機に陥った場合に備えて)予算不足を補う政府系ファンド、そして、つい最近の1月31日に年金資金の安定化のために設置された国民福祉基金、これらの基金は石油輸出による超過利益から設立が可能になったと言えるからだ。