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リヒテンシュタインの隠し口座、欧米各国が一斉調査
http://www.asahi.com/international/update/0229/TKY200802290362.html
「タックスヘイブン」(租税回避地)と指摘されるアルプスの小国リヒテンシュタインの銀行顧客情報をドイツや英国の当局が入手し、欧米各国が脱税容疑で口座所有者への捜査に乗り出した。日本の当局にも情報が提供されたとの報道もある。富豪や犯罪組織の隠し口座の存在が取りざたされてきたタックスヘイブンにメスが入るのか注目されている。
独当局は2月18日、リヒテンシュタインの主要銀行のひとつ、LTG銀行の顧客情報を元職員から400万ユーロ(約7億円)以上の対価を払って入手したことを明らかにした。その中に記載されていたドイツポストのツムウィンケル会長をめぐる脱税容疑事件を摘発。会長は辞任した。
さらに独当局は2月後半までに150人を対象に強制捜査。100人近くが脱税を認めた。追徴課税は計2800万ユーロ(約45億円)に及んだという。当局者は顧客情報の購入について、地元紙に「いい投資だった」と語った。
顧客情報には、70年代までさかのぼる口座所有者約1400人の名前などが記載されていたとされる。ドイツ以外の顧客の情報も含まれ、独当局は経済協力開発機構(OECD)関係国などに無償提供を表明している。
英国も独自に同様の顧客データを購入。スウェーデンやフランスが調査を始めたことを明らかにしたほか、報道によると、イタリア、米国なども対象者への調査を開始。解明の動きは世界に広がっている。独経済誌は「日本の税務当局にも顧客データが提供された」と報じた。
これに対し、リヒテンシュタインのアロイス皇太子は「銀行から盗まれた情報を多額の金で買い取った」としてドイツを批判。秘密保持が売り物だっただけに、情報流出による信用失墜の回復に躍起になっている。
タックスヘイブンについては近年、テロ組織や犯罪組織に利用されているとの批判が国際社会で広がっている。
OECDは02年、税制の透明性が確保されていないなどとして非協力的タックスヘイブンと判定した7カ国・地域のリストを公表。このうちリヒテンシュタイン、アンドラ、モナコは依然改善が見られないとの理由で、OECDのグリア事務総長が今年2月19日、名指しで非難した。リヒテンシュタインはOECDへの協力を拒否している。