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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu162.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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「世界の工場」、「輸出超大国」ともてはやされる中国だが、
実は最大の輸出品はデフレなのである。リチャード・ダンカン
2008年2月24日 日曜日
Richard Duncan
◆「ドル暴落から、世界不況が始まる」 リチャード・ダンカン:著
http://item.rakuten.co.jp/book/1703644/
◆バブルからデフレヘ
バブルがはじけた後で発生する、もう一つの困った経済現象が、物価水準の下落デフレーションである。マネー.サプライが急増して資産バブルが発生しているときには、融資の増大なり株価の暴騰なりでふんだんな資金を手に入れた企業は、資産効果で伸びている消費がいつまでも続くと錯覚して大規模な投資を行なうのが常なのである。そして気がつくと、それが生産キャパシティの過剰となっているのだ。一度作られた生産キャパシティはなかなか減らず、製品は供給過剰になり、物価上昇率が低下するディスインフレがまず訪れ、これがついにはデフレに転じてしまう。
デフレは企業にとっては、とても苦しい状況だ。というのも、利潤を上げようとすると、売上価格の下落を補うために、売上をどんどん増やしていかなくてはならないからだ。そうしたなかで企業の債務返済も困難になり、銀行の資産内容はまたしても悪化していくのである。
こんなことになってしまうのも、製造業に対する銀行融資を増やせば、総供給は確実に増えるのに対し、家計の購買力を核とする総需要を増やすのは、至難の技だからである。確かにマネー・サプライが増えれば資産価格も上昇し、資産効果によって一時的に家計の購買力は増すだろう。だが資産価格さえも、購買力からいつまでも遊離した高水準にはとどまっていられないわけで、究極的には総需要は賃金水準によって決まってくるのである。
過去三〇年間にわたる世界総準備資産(世界各国の準備資産の合計)の大膨張は、世界中で巨大な生産設備投資を可能にし、その結果、世界中の製造業の生産キャパシティは急成長した。だが世界中の人間の購買力が同じぺースで伸びてきたわけではない以上、今日の世界的な生産キャパシティの過剰は、必然的だったのである。この一〇年あまりというもの、アメリカの輸入の急増にもかかわらず、世界中でディスインフレーションが観察されているという事実が、この見方を裏づけている(図7・1)。
ところで、世界的な過剰キャパシティが存在するということを証明するのは、容易ではない。データが、いたって乏しいからだ。たとえば、世界各国で生産キャバシティのどれだけが現に使用されてきたかを示す長期統計は、存在しないのである。
議論を進めることを、さらに難しくしているのは、国によって経済のありようが著しく異なっているということだ。たとえば日本や中国は輸出志向だし、他の国々、特にアメリカは、輸入志向としか形容のしようがない経済体質を持っている。この点が重要なのは、国内市場ではなく世界市場全体を目標においた輸出志向国では輸入志向国におけるよりも民問投資の個人消費に対する比率が高くなる傾向があるために、国ごとの投資額を単純に比較することが意味をもたないからである。経済がグローバル化した今日、生産キャバシティの過剰は一国内の総供給と総需要を比べるだけではわからないのだ。
だが、いずれにせよ、多くの産業で世界全体としてのキャパシティ過剰があるというのは、よく知られた事実だ。鉄鋼、半導体、自動車、通信機器などは、最もよく知られた例だろう。現時点では、この認識を材料に、世界的なキャパシティ過剰があるものと判断するのが関の山なのである。
次は、いくつかの国の例を取り上げて、準備資産の急増がバブルを、そしてバブルが過剰キャパシティを、そしてディスインフレやデフレをもたらすにいたった過程を見てみよう。
◆日本・デフレ出ずる国?
まず、日本の例である(図7・2)。
一九八五年から一九八八年までで、日本の準備資産は二七〇億ドルから九七〇億ドルまで増えた。三年間という短期間で、ほぼ四倍に膨れ上がったのだ。すでに速すぎる観のあったマネー・サブライの伸びは、さらなる加速を遂げていく。この時に不動産と株式それぞれの価格が暴騰したことは、よく知られているし、第三章で取り上げたが、実は工業設備も大拡張していた。日本における民間投資の個人消費に対する比率は、一九九〇年には五一パーセントだったのが、一九八六年には六一パーセントにもなっていたのだ(図7・3)。当然、消費の伸びは投資の増大に追いっかなくなり、ついに一九九〇年には景気の拡張は止まってしまう。
これ以後の日本は、バブルの悪循環局面に突入することとなる。製品価格が下がりはじめるとともに、企業の利潤が下がりはじめた。その結果、今度は賃金とボーナスが削られるようになる。失業率も上昇していった。懐が寂しくなり、将来の見通しも不確かとなった国民は、消費を切り詰めだす。
消費の下落は、もちろん企業利潤にとって、さらなる痛撃となった。株価は消費・利潤と軌を一にして下落していく。企業は新規投資を素早く切り詰めるところまで追い込まれた。そして、すでにだぶついていた生産キャパシティが、さらなる投資を不利益としていたことから、融資に対する需要は落ち込んだ。
金利は下がったが、それも助けにはならなかった。企業は、投資がもたらす利潤が利払いを上回らなければ、資金を借り入れて投資をしようとはしないものだが、ポスト・バブルの日本経済にあっては、生産キャパシティはあまりに過剰で、いかなる新規投資も損失しかもたらさないような状態だったのである。金利がゼロ・パーセントすれすれまで下がっても、企業は借り入れに興味を示さないままだった。
一九九〇年代を通じて物価上昇率は下がり続けた(図7・4)。やがて一九九五年には、初めてデフレが観測される。物価はその後一九九七年と一九九八年にかけて、ごくわずかに上昇したが、一九九九年に下落を再開し、以後下がり続けている。
◆アジア危機諸国のディスインフレーション
同じ連鎖は、アジア経済危機の舞台となった国々でも観察されている。
一九八○年代後半におけるインドネシア、韓国、マレーシア、タイの準備資産の急膨張ぶりは、すでに第三章で見たとおりだ。準備資産が増えればマネー・サプライは激増する。経験則からいって、融資を五年以上連続して年間一〇パーセント増大させた国は、銀行システム危機に陥る可能性が、とても高い。ところがアジア危機の諸国は、銀行危機が発生した一九九七年に先立つ一〇年間もの間、一〇パーセントをはるかに上回る銀行融資の伸びを見ていたのである。
そして過剰な融資の伸びは、投資の行き過ぎという結果をもたらした。日本におけると同様、プームに沸くアジア危機の諸国では投資が消費よりも早く拡張していったのだ。
一九九七年に先立つ数年間、アジア危機諸国の銀行は、弱体化した企業が債務を返済放棄することを防ぐべく、ひたすらそれまでの融資に対する追い貸しを行なっていた。それだけに、いざ危機が発生すると、アジア諸国の経済は、トランプの城も同然に崩れ去ってしまった。ところが、過剰な生産キャパシティだけは、しっかりと残っているのである。
一九九八年には通貨切り下げのおかげで輸入品の価格が上がり、アジア危機の諸国はどこも急激なインフレを経験した。だが、これもすぐにデイスインフレに転じてしまったのである(図7・5)。ただ一つの例外が、インドネシアである。経済の崩壊があまりに凄まじいものだったために、政府は銀行システムの崩壊を回避するべく通貨を大増発せざるをえなかった。結果は、一九九八年の物価上昇率が五八パーセント、一九九九年が二一パーセントという、本物のハイパー・インフレだった。
◆中国、デフレの輸出国
お次は、中国である。バブルがまだはじけずにいるということを除けば、中国で見られるパターンは、日本やアジア危機の諸国が経験したものと、まったく同じだ。一九八六年から二〇〇〇年にかけて、中国の準備資産は一一五億ドルから一六八○億ドルまで増加した。一方、国内の銀行貸出残高は、七九四〇億元から一一兆九〇〇〇億元まで、それこそほぼ垂直に上昇している。まさに融資の洪水で、その結果は狂乱の投資ブームであった。おかげで民間投資の個人消費に対する比率は一九九三年に八三パーセントという高率を記録した後も、ずっと七〇パーセント以上の水準を維持している(図7・6)。
一九八○年代後半と一九九〇年代の前半には、インフレこそが中国政府にとっての頭痛の種だったが、製品供給が中国人の購買力からして現実的な需要水準を上回ってしまったおかげで、一九九五年にはディスインフレが始まってしまう。
一九九八年には、経済成長率が八パーセント近かったにもかかわらず、中国はデフレを経験した。一九九九年にも好況は続いていたが、物価はまたしても下落した。二〇〇〇年には物価は上昇したが、それもわずか○・四パーセントだった。
国内でデフレが発生するほどのキャパシティ過剰は、そのまま国際市場における中国製品の強烈な輸出競争力に反映されている。「世界の工場」、「輸出超大国」ともてはやされる中国だが、実は最大の輸出品はデフレなのである。
(私のコメント)
中国の冷凍食品の毒物混入事件は、ギョーザのみならずカツや肉まんやイカ天にまで広がりだしている。つまり中国から輸入される冷凍食品には毒物検査が行われていなかったことが明らかになった。今回の事件のJTなどの輸入業者も生協などの販売業者も中国からの輸入品に対して品質検査をせずに販売していた。
「株式日記」では中国への進出は、いつでも手を引ける程度の用意はしておくべきだと書いてきましたが、日本国内の商習慣は中国ではまったく通じない。日本国内のようなつもりで商売をすると裏切られてとんでもない目にあう可能性が強い。だからこそ中国は労働賃金を日本の20分の1にまで下げて企業誘致をしてきたのだ。
日本企業が中国に進出する場合は中国側と合弁という形になり、中国側が51%で日本側が49%の出資になる。しかしこれは中国側は工場用地などの現物出資になり、日本側は資本と技術や生産設備を出資する。つまり中国側は土地と労働力を提供するだけで只で日本の技術と資本が手に入ることになるのだ。
このようにして中国に進出した日本企業は2万社に及び900万人もの労働者が働いているそうです。それだけの企業移転が行なわれたのだから日本の労働賃金は中国とのコスト競争に晒されて低下に一途をたどった。だから日本企業は空前の好景気になっているのに労働賃金は下がり続けている。だから国内の消費は一向に伸びない。つまり中国は日本にデフレを輸出しているのだ。
このような産業構造になれば、日本は物作りは止めてアメリカのように情報化産業に転換すべきだというバカな学者やエコノミストも出てくる。しかし情報化産業は物作り産業が土台としてあって機能するものであり、アメリカのように製造業を海外に移転してしまって消費と金融だけで経済が成り立っていくものだろうか?
今回の毒入り冷凍ギョーザ事件は、安易な製造業の海外移転は非常に危険だということの警告ではないだろうか? 中国産の冷凍食品の普及で国内の冷凍食品は競争力を失い廃業していった。そして中国からの輸入がストップすると国内のスーパーから冷凍食品が無くなってしまった。こんな事でいいのだろうか? それでも学者やエコノミストは日本での物作りは止めるべきなのだと言うのだろうか?
最近になって中国も経済政策を転換して、労働法を変えたり、外資への税制優遇を変えたり、人民元を切り上げてインフレ抑制に乗り出している。だから外資は一斉に逃げ出している。だから日本の学者やエコノミストの言うことを間に受けたらひどい目にあうという例ですが、大手の家電産業や自動車メーカーも工場を国内に回帰していますが、中小企業は日本に帰ることもままならず泣いている。
中国はまだバブルがはじけ始めたばかりですが、90年代に他のアジア諸国に見られたような経済現象に見舞われるだろう。アジア諸国ではバブルがはじけることで首切りや賃金の低下に見舞われているのも関わらず、海外からの石油や原材料や食品の値上がりで不況下の物価高に見舞われる。工業製品はオーバーキャパシティーで値下がりを続けて企業は不況になる。
日本のバブル崩壊が他国と違うのは円高でガソリンも80円台なるほどすべてが値下がりをした。しかし最近の円安傾向で日本も不況下の物価高になりつつある。中国では高度成長一点張りでは歪みが社会問題化して混乱をもたらすことになるだろう。中国では水も電気も足りなくなり石油も食料も輸入国になった。このような状況で毒入り冷凍ギョウザ事件が起きたのですが、中国に生産拠点を置いては非常に危険だということだ。
現在の日本は中国の影響を受けてデフレ傾向ですが、中国の生産に何らかの混乱が起きれば供給がストップして、それらの物価が急騰するだろう。供給がストップしないまでも中国からの輸入品が値上がりで競争力を失えば国産に切り替えざるを得ない時が来るだろう。国産になれば物価は上がるがマネーは国内を循環するようになって景気は回復するようになるだろう。JTの冷凍食品も売れなければ国産に切り替えざるを得ない。
◆中国企業への委託、大幅縮小検討=JT、冷食生産体制見直し 2月23日 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080223-00000099-jij-soci
日本たばこ産業(JT)は23日、冷凍食品の生産体制を抜本的に見直し、中国企業への委託の大幅縮小を検討していることを明らかにした。JTは中国製冷凍ギョーザの中毒事件を受け品質管理体制の再構築を目指しており、安全性確保のため可能な限り自社や子会社の加ト吉の工場での製造に切り替える方針。
◆2008/02/22-12:18 中国製まな板から鉛溶出の恐れ=ベネトン、5800枚を回収 時事通信
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200802/2008022200448&rel=y&g=soc
伊ベネトンの日本法人ベネトンジャパン(東京)は22日、中国で生産したガラス製まな板「ガラスカッティングボード」を自主回収すると発表した。裏面に使われている塗料に鉛やクロムが含まれていることが理由。包丁によって付いた傷などから塗料がはがれ、溶け出す恐れがあるという。回収対象は、2005年11月の発売以降に通販や量販店向けに出荷された5817枚。
◆2008/02/21-01:32 中国カツから殺虫剤「ホレート」=自主回収指示−山東省の食品会社製造・横浜市 時事通信
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200802/2008022100016&rel=j&g=soc
神奈川、静岡、山梨各県の計6生協でつくる生活協同組合連合会ユーコープ事業連合(横浜市)が販売している中国製冷凍食品「レンジDEロールソースかつ アスパラ入り」から有機リン系殺虫剤「ホレート」が検出されたことが20日、分かった。メタミドホスより毒性が強く、横浜市は「健康に悪影響を及ぼす可能性がある」として、ユーコープに製品の自主回収を指示した。
(私のコメント)
自衛艦と漁船の衝突事件に隠されてしまった格好ですが、中国食品の毒物混入発覚は続々明らかになっている。奴隷的な超低賃金で働かされていれば労働者に不満がたまり毒物を混入させる事件が相次ぐのだろう。毒物食品だけではなく欠陥商品もたくさん出てくる。中国は世界にデフレを輸出するのみならず毒物食品を輸出して信用を失っている。もともと共産主義と資本主義は両立するはずはないのですが、どこかに無理が出てきて問題は大きくなる一方だろう。リチャード・ダンカン氏は香港在住のエコノミストだけに中国の問題点を鋭く書いている。