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Re:哲学は欧米人だけの思考法である。ニーチェ以降の「反哲学」なら日本人にもよく分かる/木田元
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投稿者 仁王像 日時 2008 年 5 月 03 日 21:09:39: jdZgmZ21Prm8E
 

(回答先: 西洋の反自然性、反人類性、反生命性を明確に断じた四人/大田龍 投稿者 仁王像 日時 2008 年 5 月 03 日 18:44:06)

「反哲学入門」木田元/新潮社‘07年から引用

第一章 哲学は欧米人だけの思考法である
・プラトン以来、西洋という文化圏では、超自然的な原理を参照にして自然を見るという特異な思考様式が伝統になりました。超自然的原理の呼び名は、さまざまに移り変わりますが、その思考法だけは連綿と受け継がれます。その発想法が哲学と呼ばれ、西洋における文化形成の軸になってきたわけです。
 19世紀後半、ニーチェがこのことに気づきました。ニーチェは、彼の時代のヨーロッパ文化がゆきづまりにきていると見て、その原因をさぐります。彼はその原因が、超自然的原理を立て、自然を生命のない、無機的な材料と見る反自然的な考え方自体にあると見抜きます。ニーチェは、西欧文化形成の根底に据えられたそうした思考法が無効になったということを「神は死せり」という言葉で宣言しました。ここでは、「神」とは「超自然的原理」を意味します。そして彼は、万物をおのずから生成する自然と見ていたギリシャの古い思想を復権することによって、目前にあったヨーロッパ文化の危機を打開しようとしました。

・だから、「哲学」といっても、ソクラテス/プラトンのあたりからヘーゲルあたりまでのいわゆる超自然的思考としての「哲学」と、ソクラテス以前の自然的思考や、そしてそれを復権することによって、「哲学」を批判し解体しようとするニーチェ以降の「反哲学」とは区別して考える必要があります。それを一緒に(すると)、なにがなんだか分からなくなる。
 しかし、それを区別して考えれば、超自然的思考としての「哲学」には決定的に分からないところがあるが、ニーチェ以降の「哲学批判」「反哲学」ならわれわれ日本人にもよく分かるということが分かってくる。
・ニーチェ以降の現代欧米の哲学者たちは、そうした超自然的原理の設定を積極的に批判し解体しようとしているわけ。そう思うと、これまで日本の哲学研究者たちの集団自己欺瞞がおかしくて仕方なくなりました。分からないものは分からないと、率直に認めれば、なんの問題もなかったはずなのに。しかし、わたしにしても、それを口に出して言えるようになったのは五十を過ぎてからでした。

第五章 「反哲学」の誕生
ニーチェ以前と以後
・まず、「超自然的原理」(「形而上学的原理」)と立て、それを媒介にして自然を見、自然と関わるような思考様式(「形而上学」)、これが「哲学」と呼ばれてきた知の本質であるということ、その「哲学」の原点になる「超自然的原理」が、徹底して自然のなかでものを考えるわれわれ日本人にとっては理解不可能なものであること、こういったところから、「哲学」はわれわれ日本人にとって縁遠いものだったと私は思います。
 しかし、西洋でもニーチェという思想家が登場してきたところで様相が一変します。わたしはニーチェ以前と以後を、同じ哲学史に一線に並べるのは、おかしいと思っています。ニーチェの目指したことは、これまで哲学と呼ばれてきたものをすべて批判して乗り越えようということです。その仕事を同じ「哲学」という名前で呼ぶと、ひどく紛らわしいことになります。

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