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http://news.livedoor.com/article/detail/3551054/
児童ポルノの単純所持禁止にアニメ・マンガ・ゲームは含めるべきか否か?
2008年03月13日04時53分
児童ポルノの単純所持を日本は禁止していません。そのため、日本も単純所持を禁止すべきだという「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンが展開され始めたわけですが、その内容が余りにも度を超えているため、ネットのあちこちで激論が展開され、数々の疑問や問題点の指摘などが行われています。
・「日本ユニセフ協会」は「ユニセフ」ではない
・アニメ/マンガ/ゲームと児童への性的虐待の因果関係が不明
・18歳以上が子どものフリをしただけでもアウト
・単純所持禁止によって日本人は全員「犯罪者予備軍」に
というわけで、数々の問題を整理してみましょう。
■「日本ユニセフ協会」は「ユニセフ」ではない
まず、誤解が生じやすいのがこの点。今回の要望書を提出した「日本ユニセフ協会」は「ユニセフ」ではないのです。アグネス・チャンもユニセフの大使ではありません。ユニセフの大使は黒柳徹子です。このことについてはWikipediaの以下の記述がわかりやすい。
日本ユニセフ協会 - Wikipediaより、「UNICEFとの関係」
国際連合児童基金(UNICEF、ユニセフ)と協力協定を結び、日本からの民間拠出金を取りまとめている。日本ユニセフ協会は、あくまで民間協力の団体であり、国際連合(UN)や国際連合児童基金の下部組織ではない。日本における国際連合児童基金の下部組織は、東京都渋谷区神宮前の国連大学ビルにある「国際連合児童基金東京事務所」(UNICEF東京事務所。国連機関のため職員は「国際公務員」)である。
この問題については以下のページが非常に詳しい。
野良里蔵狸 -norakura- 日本ユニセフ協会の謎
つまり、日本ユニセフ協会に募金してもその金額が100%、現地に届くわけではない、ということです。
第143話:国連ユニセフと日本ユニセフ協会(7月11日)- 日記風気まぐれエッセイ
黒柳徹子さんがユニセフ親善大使になってから16年目になりますが、これまでにも
募金を『日本ユニセフ協会』を通してユニセフ本部に納めて欲しい、という話はあったようです。
黒柳徹子さんの意向は“頂いた募金は一円も無駄にしないで現地に届けたい”というものでした。
『日本ユニセフ協会』が集める募金は経費(事務所経費、人件費、広告費、ダイレクトメール発送費など)として25%(ボクの推定)くらいを使いますから、募金金額が全部そっくり現地に届きません。
経費が掛かるのは当然ですし、それを非難しているわけではありませんが、“いいことをしているんだから、いいじゃないか”という思い上がりは、個人情報をもらう方も提供する方も謹んでもらいたいものです。
この25%というのはおそらく事実で、「協力規定により募金事業、グリーティングカード事業の収入の最大25%、及び会員の会費・補助金・雑収入を協会の活動経費としての留保が認められている」わけです。
わかりやすくすると以下のようになります。
ユニセフ:国連の補助機関(国際連合児童基金)
日本ユニセフ協会:民間団体(財団法人)
黒柳徹子:国連ユニセフ親善大使
アグネス・チャン:日本ユニセフ協会大使
つまり、日本の児童ポルノ法改定を要望しているのは、国連の機関である「ユニセフ」ではなく、あくまでも日本のローカルな団体である「日本ユニセフ協会」が勝手にやっているに過ぎないというわけ。この事実を裏付けるため、国連のサイトにある「日本にある国連関連機関の一覧表」を見てみましょう。
国連広報センター「日本にある国連関連機関の一覧表」
当然ながら、「日本ユニセフ協会」は書かれていません。
では「日本ユニセフ協会」は勝手に「ユニセフ」の名を騙っている詐欺団体なのかというとそうではありません。
日本ユニセフ協会・ユニセフについて > 日本ユニセフ協会について
ユニセフ国内委員会は、ユニセフと「協力協定」と呼ばれる公式文書を締結しており、同協定は「ユニセフ国内委員会は各国の市民社会においてユニセフの利益を代表し、かつ促進する、ユニセフの唯一のパートナーである」と定めています。
これはどういう意味かというと、「ユニセフのロゴや名称を使用してもいい団体」ということ。だから、下記ページの写真のように記者会見会場でバックにユニセフのロゴマークをばんばん使ってユニセフみたいな顔をして報道機関などに誤解を与える結果になったとしても、一切問題にはならず、むしろ日本ユニセフ協会とユニセフとは同じものではないということを知らなかった側の自己責任というわけです。
ユニセフが子どもポルノ根絶に向け署名活動、特設サイト開設
つまり、一時期問題になった募金詐欺のようなものとは一線を画していますよ〜、という意味です。だからといって、ユニセフの権威を笠に着て何をしてもイイということではないという点には注意が必要です。
■アニメ/マンガ/ゲームと児童への性的虐待の因果関係が不明
で、この民間団体が国連機関のような顔をして一体何を主張しているのかというと、以下のような内容です。
asahi.com:児童ポルノ規制強化を 日本ユニセフがキャンペーン - 暮らし
要望書は児童買春・児童ポルノ禁止法を改正し、(1)子どもポルノの単純所持を禁止し、処罰の対象とする(2)アニメ、漫画、ゲームソフトなども規制の対象とする(3)18歳以上が子どものふりをしたものも規制する――などを求めている。
「子どもポルノの単純所持を禁止し、処罰の対象とする」というだけでも、一体何を児童ポルノとして定義するのかということで、世界中で散々問題になっているにもかかわらず、因果関係を示さずに「アニメ、漫画、ゲームソフトなども規制の対象とする」と要望。挙げ句の果てには「18歳以上が子どものふりをしたものも規制する」という無軌道な暴走ぶり。誰が見てもおかしい。児童ポルノによって被害に遭う児童を本当に助けたいのであれば、このような支離滅裂の要望書を出すわけがないはずなのですが……。
ちなみに、ユニセフ自体はどのような目標に向けて活動しているのかを把握することで、日本ユニセフ協会の暴走の原因がわかってきます。日本ユニセフ協会自身のページで報告されている以下のページを見てみましょう。
児童ポルノ所持が法律で処罰されない国は138カ国
〜児童失踪・児童虐待国際センター(ICMEC)最新調査報告より〜
ICMECは、世界でも有数の法執行機関であるICPOと共同で、2006年4月6日、ワシントンDCにおいて調査結果を発表しました。それによると、児童ポルノの所持が犯罪にならない国は138カ国で、コンピューターやインターネットを通じた児童ポルノの配信を取り締まる法律がない国は122カ国にのぼっています。
つまり、児童ポルノの単純所持が違法にならない国も、コンピューターやインターネットを通じた児童ポルノの配信を取り締まる法律がない国も山ほどあるわけです。もしも民主主義の「多数決」で決めるなら、驚くべき事に児童ポルノの単純所持を違法にする方がおかしい、となってしまいます。そのため報道される際にはこのような事実は無視されてしまいます。結果、「主要8か国(G8)で児童ポルノ所有を非合法化していないのは、日本とロシアだけだ」というトーマス・シーファー駐日米国大使の発言が2008年1月30日の読売新聞「論点」に掲載され、テレビのニュースでもこの表現が際限なく使われました。が、これは現実に即していない一種のトリックに過ぎず、いわば新聞の読者やテレビの視聴者に必要な情報を渡さずにミスリードしているというわけです。日本ユニセフ協会は自分たちの活動をしやすくするためにがんばっているのかもしれませんが、過剰な印象操作は今のような時代、通じないと考えるべきでしょう。
なお、このような大部分の国において児童ポルノを取り締まる法律の整備が不十分であるという現状について、この現状を黙って見ているユニセフではありません。以下の5項目についての法整備を求めています。
1. 現行法で児童ポルノは刑事罰の対象となっているか?
2. 児童ポルノに関する法律上の定義が現行法に含まれているか?
3. 児童ポルノの所持が犯罪と規定されているか?
4. コンピュータおよびインターネット上での児童ポルノの配信は違法か?
5. インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)は、児童ポルノと疑われる画像を法執行機関へ報告するよう義務付けられているか?
このすべてを満たすのは世界中でわずか5カ国、オーストラリア、ベルギー、フランス、南アフリカ、米国のみ。日本は現時点で「1」「2」「4」については違法としていますので、実はかなり優秀な方なのです。で、今回は残った「3」と「5」のうち、まずは「児童ポルノの所持が犯罪と規定されているか?」から手を付け始めた……というわけ。今回の流れの全貌がよりはっきりと理解でき、納得できますね。
しかし、上記5つの項目の中にはどこにも「アニメ」「マンガ」「ゲーム」は含まれていません。あくまでも処罰すべきは被害者が発生する実写の児童ポルノであり、それ以外のアニメやマンガ、ゲームなどがそういった児童ポルノを誘発するかどうかというのはまず綿密で客観的な調査を行ってからでないと因果関係が証明できない以上、単なる「表現の自由の侵害」にしか過ぎないというわけです。
なお、日本ユニセフ協会が自身のページでも明らかにしているように、実はアニメやマンガではない実在する子どもを使った実写の児童ポルノ画像についてですら、そういう画像を見たから犯罪をすることになった、というような接触犯罪との因果関係は不明であり、証明するのは至難の業ですが、児童ポルノによる実在する児童の被害を減らすためにも、日本ユニセフ協会やユニセフにはがんばって欲しいところです。
日本ユニセフ協会・特集 子どもポルノから子どもを守るために
子どもポルノをオンラインで見るということと、(実際の子どもへの)接触犯罪を犯すということとの正確な関係ははっきりしていません
また、上記ページは冒頭で「子どもの性的搾取を描いたマンガ、アニメ・・・。なぜ問題なのか?」というタイトルであり、直下に「エセル・クエール博士(アイルランド・コーク大学 コーピンプロジェクト)の報告」とありますが、最下部を見ると「以上は、ECPAT/ストップ子ども買春の会作成:『ECPATシンポジウム インターネットと子どもポルノの被害 報告書』より一部抜粋」と書いてあり、なおかつ「中略」が山ほどあり、日本ユニセフ協会が主張したいことをそこら中のなんだか権威がありそうな発言などのつぎはぎで作っているのがまるわかりです。ついでに、肝心の「ECPAT/ストップ子ども買春の会」のサイトを見る限り、上記報告書の存在は確認できず、アニメやマンガについて反対しているという記述も現時点では見つけられませんでした。これも一種の印象操作であり、ミスリードであると言っても過言ではないでしょう。
■18歳以上が子どものフリをしただけでもアウト
また、「児童ポルノ」とは別に、「準児童ポルノ」というのを決めて、違法化したいらしい。ユニセフの要望を見ても、そんな曖昧模糊としたものは見あたりませんが、一体何を言っているのでしょう?これがもし実現すると以下のようなことが発生する可能性があります。
J-CASTニュース : 児童ポルノ規制強化 アニメやゲーム 持ってるだけで大変なことに
「セーラー服やメイドなどのコスプレを着ただけでも、(法律に)引っかかる恐れが出てくる」
コスプレ文化はすべて一網打尽になるでしょうし、未成年のコスプレもイベント自体がアウトになる可能性が否定できず、当然ながらコスプレ写真は単純所持によってアウト、必然的にコスプレは絶滅です。
とりあえず、毎日新聞が運営する「毎日jp」内にある「まんたんウェブ」のコスプレ写真を掲載しまくった下記のようなページは全部違法になり、毎日新聞は社内データベースにこの画像を保存しているはずなので警察の家宅捜査を受け、壊滅するということです。
コミケ73:コスプレも「初音ミク」人気 “必須アイテム”の長ネギは禁止に (まんたんウェブ) - 毎日jp(毎日新聞)
コスプレで国際親善する世界コスプレサミットも日本では開催できなくなります。
世界コスプレサミット 2008|WORLD COSPLAY SUMMIT 2008
国土交通省が関西国際空港で実施していた「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の一環としてコスプレで出迎えるのも違法になりますね。
関西空港:コスプレでようこそ日本! メイド、ガンダムで外国客誘致(まんたんウェブ) - 毎日jp(毎日新聞)
それはそうと、そもそも「準児童ポルノ」とは一体どのようなものを考えているのでしょうか?
ユニセフが子どもポルノ根絶に向け署名活動、特設サイト開設
また、児童の性的な姿態や虐待などを描写したアニメ、マンガ、ゲームだけでなく、18歳以上が児童を演じるアダルトビデオなども「準児童ポルノ」として違法化することなどを訴えた。
アニメ・漫画・ゲームも「準児童ポルノ」として違法化訴えるキャンペーン MSとヤフーが賛同 - ITmedia News
呼びかけ人の後藤啓二弁護士によると、「準児童ポルノ」は「アニメ、漫画、ゲームソフトなどと、18歳以上の人が児童を演じるようなビデオなど」。アニメや漫画、ゲームソフトは「写実的なものに限られる。ちょっと漫画で子どもの裸を描いたからといって規制はありえない」という。
また「18歳以上の人が児童を演じる」については、「子どもと見分けがつかないような、例えばセーラー服を着ているとか」といったもので、「出演者の年齢確認ができないことをもってこうしたものがはんらんしているため」と説明した。ただ、「明らかに児童でない人の場合は対象外になると思う」とした。
この論調で行けば明らかに拡大解釈でいくらでも法律を運用する側が好きなように決めることが可能になるわけで、明らかに民主主義的発想ではなく、警察国家的発想、つまりファシズム政権や共産主義諸国に多く見られた発想であると言わざるを得ません。はっきり言って論外です。
確かに児童ポルノによる子どもへの被害をなくすために努力することは当然必要ですが、それは実在する子どもが甚大な被害に実際に遭うからであって、「疑わしきは罰せず」の原則から言えば、「準児童ポルノ」によって一体どこの未成年が被害に直接遭うのかが不明で、間接的な被害があるというのであればその客観的証拠や資料が必要でしょう。そういった資料を提示することは極めて難しいことです。だからといって、そのためにそのほかの権利を無視することは認められません。完全に日本ユニセフ協会の主張は手段と目的が逆転しており、非常に幼稚で短絡的発想であると言わざるを得ません。ましてや「準児童ポルノ」などという発想そのものがもはや狂気の沙汰であると言っても差し支えないでしょう。
ちょっとした会見での発言だけでこれだけ自己矛盾を抱えてしまうことから考えても、いかに一筋縄でいかない難しい問題であるかがよくわかります。だからこそ、目に見えるわかりやすい解決方法を日本ユニセフ協会は求めており、今回のような暴走をしてしまうわけです。日本ユニセフ協会としても、児童ポルノを禁じる法律を作っても目に見えて被害が減少するわけではないのでかなりの「焦り」があるのだと考えられます。が、それとこれとは別問題、「急いては事をし損じる」という言葉をよくかみしめてみるべきではないでしょうか。
■単純所持禁止によって日本人は全員「犯罪者予備軍」に
この児童ポルノの単純所持禁止という法律が実現すると何が起きるのかを見てみましょう。簡単に言えば、ネットにつないでいるすべての日本人が「犯罪者予備軍」になり、いつ警察に逮捕されてもおかしくなくなるわけです。順に見ていきましょう。
児童ポルノ閲覧、初犯の罪が重すぎる? | WIRED VISION
ネットで手に入るデータの中で、児童ポルノは普通の人々を瞬時に犯罪者にしかねない数少ないものの1つだが、ほとんどの人はその事実を認識していない。特定のウェブサイトを自宅で――たとえほんの1度でも――閲覧するだけで、[国によっては]犯罪者になってしまうのだ。
そのため、犯罪歴もなく、児童にみだらな行為をした経歴もない人が逮捕され、ウェブを閲覧したというだけで重い罪に問われるケースが増加している。中には、性犯罪者として登録され、終生追跡される可能性に怯えなければならないケースもある。それも、インターネットがあるためなのだ。
単純所持が禁止されているアメリカやイギリスでの実際の例が上記ページにはまとめられており、以下のような事例が発見できます。
・裸で浴槽につかる幼児の写真を見たフィルム現像業者が当局に通報、母親は尋問された
・非常に古い違法化される前に撮影された写真を所持していることを犯罪とみなした
・実際の児童が関わっていない人工的に作られた画像を刑事罰の対象にしようと再三試みる
・子ども時代に虐待された経験を綴った自伝の執筆の参考にするため児童ポルノサイトへアクセスして逮捕され起訴された
つまり、パソコンの中に児童ポルノ画像があればいかなる言い訳も「ムダ」というわけです。
また、アメリカは児童ポルノ画像の単純所持を違法化していますが、効果はあるのでしょうか?
閑寂な草庵 - kanjaku - 児童ポルノ法改正問題を考える 続続続編
過去のデータ(2003年)になってしまうが、児童ポルノサイト数は、1位がアメリカ(約10,000件)で、2位の韓国(1,300件)を大きく引き離して大量の児童ポルノを発信している。
それに比べて、日本は当時で約160件。
「日本はワースト8位の児童ポルノ大国だ」ということがよく言われるが、その内実をみればこんなもんである。
日本の人口は約1億2000万人で、アメリカは約3億人なので人口の比率による差とは考えにくい。つまり画像の単純所持を禁止しても、ネット上から児童ポルノ画像を根絶できるわけがないというわけです。
なお、数が出ていないので不明ですが、「Yahoo! JAPAN - セキュリティ特集 2008春」に掲載されている中央公論2007年1月号によると、
しかし、NGO「ECPATスウェーデン」によると、05年4月から8月までに開局となったサイトのホスト先は[1]米国[2]日本[3]ロシア──の順に多い。
となっており、相変わらずアメリカは1位のままですが、そもそもどこにこの資料があるのかも発見できませんでしたので、信憑性には疑問が残ります。
また、アメリカでは「子どもがセックスをするように見えるだけのポルノ画像」の単純所持については違法とせず、むしろ憲法違反であるとしたケースが存在しています。
米最高裁、バーチャル児童ポルノを「承認」 | WIRED VISION
多数意見を代表してアンソニー・M・ケネディ裁判官は、児童ポルノ防止法の中の2つの条項は、あまりにも広範囲にわたるものであり、憲法違反であると述べた。
児童ポルノ防止法の条項は、あからさまな性的表現のうち、「未成年者であるように見える」ものや、制作に未成年者が関わっている「という印象を与える」よう宣伝されるものを禁止している。これに対して、ポルノグラフィーの業界団体『言論の自由連合』が訴えていた。
なぜこのような判決が出たかというと、アメリカの映画の中にはめちゃくちゃまじめに作った映画であってもその脚本の必要上から「子どもがセックスをするように見える」シーンがある場合があるため。そうなると映画のワンシーンであっても違法と見なされる場合が出てくるためです。例としてはアカデミー監督賞、アカデミー助演男優賞、アカデミー脚色賞、アカデミー編集賞の4部門を制覇した「トラフィック」などがあげられています。
この判決を受けてアメリカではより定義を厳密にしています。
バーチャル児童ポルノを禁じる新法案が米下院を通過 | WIRED VISION
今回可決された法案は、より定義を狭め、本物の児童ポルノ画像と「見分けがつかない」コンピューター画像のみを禁止している。また、思春期前の少年少女を扱った視覚的なポルノで、最高裁が定義する「猥褻」の範疇に当てはまるものについては、線描画、漫画、絵画、彫刻を含め、その一切を禁じている。
「単純所持」の問題点については「児童買春児童ポルノ禁止法」改正への要望書にある以下の3種類のマンガが非常にわかりやすいです。
また、単純所持が日本で違法化された場合、当然ながら過去に入手した画像はすべてその理由を問わず「法律の施行前に破棄」しなければならなくなります。それも、ただ破棄するだけではダメ。
児童ポルノの購入者や管理者が捜索差押を受けることはあるか? - 奥村徹弁護士の見解
さらに、児童ポルノなき児童ポルノ単純所持事件の立証に対抗するには、施行前に所持をやめたこと=廃棄したこと(譲渡はできませんから)を証拠化しておくことでしょうね。
実写の児童ポルノ画像ですらこのようなことになる可能性があり、アメリカなどでは散々めちゃくちゃなことが起き、なおかつさほど効果があるのか無いのかもわからないという状態で、一体どこをどうすれば、「準児童ポルノ」は「アニメ、漫画、ゲームソフトなどと、18歳以上の人が児童を演じるようなビデオなど」という法律が必要なのか、理解に苦しみます。
なお、今回の単純所持を違法化すべしという運動ですが、これは何も日本ユニセフ協会だけの暴走ではなく、米国国務省からの要請でもあります。
(PDFファイル:2.13MB)青少年問題に関する特別委員会 (3) 児童買春・児童ポルノへの対応 ウ 児童ポルノ問題に関する課題
米国国務省が発表した2007年人身売買報告書においては、日本で児童ポルノの購入及び所持が合法であることが、児童ポルノに対する世界的需要の要因になっており、児童ポルノの購入及び所持を刑事罰の対象とする法改正を求めている。
前回とは状況が違うため、超党派の議員立法が行われる可能性も大きく、アニメ・マンガ・ゲームに関係する各業界は、今後のビジネスのことを考えるのであれば、このような問題だらけのキャンペーンに対し、「自分たちには関係ない」として無視を決め込まず、今やれることをしていくべきなのではないでしょうか。
最後に、ヒトラーに抗議し、収容所に送られたドイツの牧師マルティン・ニーメラーの言葉を書いておきます。
ナチスが共産主義者を弾圧した時、共産主義者でない自分は行動しなかった。
ナチスは次に社会主義者を弾圧した。
社会主義者でない自分は抗議しなかった。
ナチスは、学生やユダヤ人に弾圧の輪を広げ、最後に教会を弾圧した。
牧師の自分は立ち上がった。
時すでに遅かった。
『抗議するには誰のためではない、自分のためだ』