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(回答先: 特集:「墓場鬼太郎」40年目の原点アニメ化(1)“悪の鬼太郎”誕生の裏側(毎日新聞) 投稿者 シジミ 日時 2008 年 3 月 14 日 21:46:49)
恐ろしい結末を迎えてしまう猫娘の原型で、鬼太郎が恋する少女「寝子」(右) (C)水木プロダクション・墓場鬼太郎製作委員会
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20080307mog00m200006000c.html
水木しげるさんが1960年に発表した貸本マンガ「墓場鬼太郎」。鬼太郎の“悪”の側面が描かれた作品に、「映像化不可能」とも言われていたが、「ゲゲゲ」連載開始40年を記念して、ついにアニメ化された。その裏側は……?【渡辺圭】
■1作目と同じキャストで
アニメ「墓場鬼太郎」のスタッフには、シリーズ構成に「プリキュア」の成田良美さん、シリーズディレクターに「デジモン」の地岡公俊さんを配置。キャラクターデザインと総作画監督に、「ドラゴンボール」シリーズで、原作者の鳥山明さんも絶賛したという山室直儀さんを起用した。特に山室さんの作画には水木さんが「うまいね」と太鼓判を押したという。また、鬼太郎役に野沢雅子さん、目玉おやじ役に田の中勇さん、ねずみ男役に大塚周夫さんと1作目の「ゲゲゲの鬼太郎」と同じキャストが演じる。
アニメ版「墓場鬼太郎」は、原作の絵をそのまま使ったオープニングや常にかすみがかかったような雰囲気の背景など、貸本時代の雰囲気があふれる。さらに、目をギラギラと光らせ、落ちているタバコを拾って、「ああ、うまい」と煙をくゆらせる鬼太郎。ねずみ男に棒で殴られ、金を持ち逃げされたり、育ての親の「水木さん」から金をせびって、「ウヒヒヒ」と喜んだり、と悪い妖怪を退治するヒーローとはかけ離れた姿を見せる。
猫娘の原型で、鬼太郎が恋する少女「寝子」は、妖怪にとりつかれ、恐ろしい姿を見せて破滅。おなじみのねずみ男も「妖怪大学不潔学科で博士号を取得」した鼻持ちならないエリートとして登場し、ドラキュラと妖怪「夜叉」が取っ組み合いで殴り合う。「ゲゲゲ」しか知らないファンには、驚くほどの違いがある。
清水さんは「『ゲゲゲの鬼太郎』は40年の積み重ねの中から生まれた進化した姿。水木さん含め、我々も視聴者もそうなってほしいと願った光の当たる鬼太郎です。『墓場』の鬼太郎は、原点だけでなく、今まであまりにも知られていなかった“闇”の部分なんです」と語る。
■遺伝子に残る原風景
昭和30年代、戦後復興から高度経済成長へと変ぼうを遂げつつあった日本。水木さんも戦時中にラバウルで片腕を失って、マラリアで死のふちをさまよい、引き揚げ後も染め物工場の下絵描きやアパートの管理人などをしながら、マンガ家になる夢をあきらめずに生きていた。そんな時期に描かれた「墓場鬼太郎」に、清水さんは「生きるんだという強いエネルギーを感じる」といい、「24時間ネオンが輝く現代。妖怪がこっそりとうごめいていた闇がなくなりつつある。でも、『墓場』にはその闇がある。日本人の心に遺伝子として残っている原風景を思い出させてくれる」と話す。
◇ ◇ ◇ ◇
「墓場鬼太郎」は初回4・8%、2回目が4・9%と深夜帯としてはかなりの高視聴率を記録した。大人だけでなく、高校生を中心とした若い世代からの支持もあるという。「闇」がなくなり、深夜になっても人々は眠らない現代の日本。もはや妖怪が生きられる世界は、アニメの中にしか存在しないのかも知れない。
2008年3月7日